「赤ちゃんの顔の湿疹がなかなか治らない。アトピーなのでは」「アトピーと言われるのが怖くて、受診をためらっている」。生後まもない時期の湿疹は多くの赤ちゃんに出るため、どこからがアトピーなのか、迷う親御さんはとても多いです。名前がどちらになるかよりも、今ある湿疹をどう治すかが大切です。
乳児湿疹とアトピー性皮膚炎とは(仕組み)
乳児湿疹は、赤ちゃんに出る湿疹の総称でもあり、ひとつの状態の名前でもあります。生後数週〜数か月は皮脂の分泌が一時的に多く、頭や眉、額に黄色いかさぶたやニキビのようなブツブツが出やすくなります(脂漏性湿疹、新生児ニキビ)。その後、皮脂が減る時期には乾燥による湿疹が増えます。
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア(外からの刺激を防ぐ働き)が弱く、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。日本皮膚科学会の診断基準では、乳児では湿疹が2か月以上続くこと(乳児以外は6か月以上)が目安のひとつとされています。
つまり、生後1〜2か月の時点では、ほとんどの湿疹は「乳児湿疹」としか言えません。経過を見て、はじめてアトピー性皮膚炎と診断されます。
症状・見分け
| 項目 | 乳児湿疹(脂漏性湿疹など) | アトピー性皮膚炎 |
|---|---|---|
| 出やすい時期 | 生後数週〜数か月 | 生後2〜3か月ごろから出はじめ、続く |
| 出やすい場所 | 頭・眉・額・頬など、皮脂の多いところ | 顔・頭から始まり、首・体・手足、ひじやひざの内側へ広がる |
| 見た目 | 黄色いかさぶた、ニキビのようなブツブツ | 赤み・カサカサ・じくじく。左右対称に出やすい |
| かゆみ | あまり強くないことが多い | 強い。顔をこすりつける、寝つきが悪い |
| 経過 | スキンケアで数週〜数か月で落ち着く | 良くなったり悪くなったりを2か月以上繰り返す |
家族にアトピー性皮膚炎、ぜんそく、花粉症などがある場合は、アトピー性皮膚炎になりやすいことが知られています。ただし家族歴がなくてもなることはあります。
治療・セルフケア
どちらでも共通: 洗って、保湿する
- 泡でやさしく洗う: 皮脂や汗、よだれの汚れを、よく泡立てた石けんで手で洗い、すすぎ残しのないように流します
- 入浴後すぐに保湿: 皮膚の水分が逃げる前に、顔から足まで全身に塗ります。量はティッシュが貼りつくくらいが目安です
- 爪を短く切る: かきこわすと湿疹が悪化し、とびひ(細菌の感染)の原因になります
赤みやかゆみがあるなら、塗り薬で早く治す
保湿だけで赤みが引かない湿疹には、炎症を抑える塗り薬(ステロイド外用薬など)を使います。赤ちゃんの皮膚は薬がよく効くため、弱めのものを短い期間使うことが多く、医師の指示どおりに使えば心配しすぎる必要はありません。
湿疹を長く放っておかないことには理由があります。荒れた皮膚から食べ物などの成分が入ると、食物アレルギーにつながることが分かってきているためです。「アトピーかどうか分かるまで様子を見る」のではなく、分かる前から湿疹を落ち着かせることが大切です。
受診の目安
- 保湿を1〜2週間続けても、赤みやじくじくが良くならない
- かゆがって顔をこすりつける、眠れない
- 湿疹が顔だけでなく、体や手足に広がってきた
- 黄色い汁が出る、急に水ぶくれが増えた(細菌やウイルスの感染のことがあり、早めに)
- 発熱し、ぐったりしている(この場合は小児科を早めに。夜間は #8000 子ども医療電話相談へ)
診察室でよく聞かれる質問
アトピーと言われたら、一生治らないのですか?
そうとは限りません。乳児期に始まったアトピー性皮膚炎は、成長とともに落ち着いていく子も多くいます。早いうちから湿疹をしっかり治し、良い状態を保つことが、その後の経過にも大切です。
湿疹の原因になりそうな食べ物は、やめたほうがいいですか?
自己判断で食べ物を除去するのはおすすめしません。必要のない除去で栄養が偏ることがあり、かえって食べられるようになる機会を逃すこともあるためです。食べたあとに口のまわりが赤くなる、じんましんが出るなどがあれば、医師に相談してください。
赤ちゃんにステロイドを塗っても大丈夫ですか?
医師の指示どおりの強さ・量・期間で使えば、大丈夫です。「強い薬」というイメージがありますが、湿疹を早く治して、使う期間を短くするための薬です。赤みが引いたら自己判断でやめず、減らし方を医師と相談してください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A アトピー性皮膚炎(確認日: 2026-10-13)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-13)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

