「手のひらに硬いしこりがあって、だんだん大きくなっている気がする」「薬指が完全に伸びなくなってきた」。皮膚のできものだと思って皮膚科を受診される方も多い病気です。しこりは皮膚ではなく、その下の膜が厚くなったものです。
デュピュイトラン拘縮とは(仕組み)
手のひらの皮膚のすぐ下には、手掌腱膜(しゅしょうけんまく)という薄くて丈夫な膜があり、手のひらの皮膚を支えています。この膜が少しずつ厚く硬くなり、しこりやすじ(索状物)になるのがデュピュイトラン拘縮です。
すじが縮むと、指が手のひら側に引っ張られて曲がったまま伸びにくくなります(拘縮)。曲げる動きはできるので、初めのうちは日常生活で困らないことが多いです。
中高年の男性に多く、家族に同じ病気の方がいる場合や、糖尿病のある方で起こりやすいとされています。飲酒や喫煙との関連も言われています。足の裏に似たしこりができる病気(足底線維腫症)を一緒に持つ方もいます(関連記事: 足の裏のしこり(足底線維腫症))。
症状・見分け
進み方の順に並べます。
- 手のひらのしこり: 薬指・小指の付け根あたりに多く、硬く、皮膚と一体になって動きません。押すと少し痛むこともありますが、多くは痛みがありません
- 皮膚のくぼみ・ひきつれ: しこりの近くの皮膚が引き込まれてくぼみます
- 指に向かうすじ: しこりから指に向かって、硬いひも状のすじが触れるようになります
- 指が伸びにくくなる: 手袋に指が入れにくい、顔を洗うときに指が当たる、ポケットに手を入れにくい、といった不便が出てきます
| 病気 | できる場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| デュピュイトラン拘縮 | 手のひら(薬指・小指の付け根に多い) | 硬く皮膚とくっついている。すじになり、指が伸びにくくなる |
| ばね指(腱鞘炎) | 指の付け根の手のひら側 | 指を曲げ伸ばしするときに引っかかる・痛む。朝にこわばる |
| ガングリオン | 手首、指の付け根 | やわらかい〜弾力のあるしこり。大きさが変わることがある |
| 腱鞘巨細胞腫 | 指 | 硬くて動きにくいしこりが、ゆっくり大きくなる |
| 粉瘤 | どこでも | 皮膚の中のふくらみ。中央に黒い点があることも。炎症で赤く腫れる |
自分でできるチェック
手のひらを下にして、机の上にぺたっと置いてみてください。手のひらと指が机に全部つけば、まだ経過観察でよい段階であることが多いです。指の付け根が浮いてしまう場合は、治療を相談する目安になります。
治療
しこりがあっても指がまっすぐ伸びるうちは、治療を急ぐ必要はありません。進み方は人によって違い、何年もほとんど変わらない方もいれば、数年で指が曲がってくる方もいます。定期的に「机テスト」で確かめていきます。
指の曲がりが進んで生活に不便が出てきたら、手の外科(整形外科・形成外科)で治療を検討します。主な方法は、厚くなった膜を切り取る手術や、皮膚の上から針ですじを切る方法などです。どの方法が向いているかは、曲がりの程度やすじの位置で決まります。治療後に再発することもあるため、治療後も経過を見ていきます。
マッサージやストレッチで、すじを伸ばしたり、しこりを小さくしたりすることはできません。強く伸ばそうとすると、かえって痛みや炎症を起こすことがあります。
受診の目安
- 手のひらに硬いしこりがあり、何なのかを確かめたい
- 手のひらを机にぺたっとつけられなくなった
- 指が曲がったままで、生活に不便が出てきた
- しこりが急に大きくなる、赤く腫れる、強く痛む(別の病気のことがあるため早めに)
皮膚科では、しこりがデュピュイトラン拘縮か、ほかのできもの(粉瘤や腫瘍など)かを見分け、必要に応じて手の外科へ紹介します。
診察室でよく聞かれる質問
悪いもの(がん)ではありませんか?
デュピュイトラン拘縮は、がんではありません。ほかの場所に広がることもありません。ただし、手のひらのしこりがすべてデュピュイトラン拘縮とは限らないため、一度診察で確かめておくと安心です。
仕事で手をよく使います。使いすぎが原因ですか?
体質や家族歴の影響が大きいと考えられており、手の使いすぎだけで起こるとは言い切れません。手を使う仕事を急にやめる必要はありません。
両手にできることはありますか?
あります。片方の手から始まり、時間をおいてもう片方にも出ることがあります。反対の手もときどき「机テスト」で確かめてください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-14)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-14)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

