「天井裏の断熱材を触ってから、腕と首がチクチクして眠れない」「DIYで断熱材を入れたら全身がかゆい」。グラスウールやロックウールは、住宅の断熱材や防音材として広く使われており、リフォーム・引っ越し・点検の作業のあとに相談の多いトラブルです。
なぜチクチクするのか(仕組み)
グラスウールは、ガラスを細い繊維状にしたものです。作業中に折れた細かい繊維が、皮膚の表面や毛穴に刺さり、神経を刺激してチクチクとしたかゆみや痛みを起こします。
これはアレルギーではなく、物理的な刺激によるものです。そのため、誰にでも起こりえます。ただし、こすったりかいたりすると繊維がさらに奥に入り、皮膚のバリアが傷ついて湿疹(皮膚炎)に変わっていくことがあります。
症状・見分け
作業中から数時間のうちに、腕・首・手首・ウエストなど、服のすき間や汗をかいた部分にチクチク感が出ます。小さな赤いブツブツが出ることもあります。
| 状態 | 考えられること |
|---|---|
| 作業直後からチクチク、触るとザラッとする | 繊維が皮膚に残っている |
| 数日たっても赤いブツブツとかゆみが続く | かき壊しや刺激による湿疹(皮膚炎) |
| 目がゴロゴロする、痛い | 繊維が目に入った(こすらず洗い流し、眼科へ) |
| 咳・のどのイガイガ | 繊維を吸い込んだ刺激 |
治療・セルフケア
繊維を取り除く
- こすらない・かかない。タオルでゴシゴシ拭くと、繊維が奥に入ります
- 粘着テープ(ガムテープなど)を軽く当てて、そっとはがし、繊維を取る
- そのあとシャワーの流水でやさしく洗い流す。ナイロンタオルは使わず、泡で包むように洗う
- 洗ったあとは、保湿剤で皮膚を守る
服の扱い
作業着は、ほかの洗濯物と分けて洗います。繊維がほかの服に移ると、家族がチクチクすることがあるためです。作業着をはたくと繊維が舞うので、屋内でははたかないようにします。
かゆみが残るとき
冷たいタオルで冷やすと、一時的にかゆみが和らぎます。赤いブツブツが出て湿疹になっている場合は、ステロイドの塗り薬が効きます。市販薬で様子を見ても改善しない場合は、受診してください。
次の作業の予防
- 長袖・長ズボン・手袋を着用し、袖口・首元のすき間をふさぐ
- 防じんマスク・ゴーグルを使う
- 作業後は、服を脱いでからすぐにシャワーを浴びる
受診の目安
- 洗い流しても、チクチク・かゆみが1週間以上続く
- 赤いブツブツが広がる、かき壊してじくじくする
- 目に入った、目の痛みや充血が続く(眼科へ)
- 咳や息苦しさが続く(内科へ)
診察室でよく聞かれる質問
熱いお湯で洗えば早く取れますか?
熱いお湯はかゆみを強くし、皮膚の乾燥も進めるため、ぬるめのお湯か水で洗い流すほうがよいです。
ガラスなので、体の中に入って悪さをしませんか?
皮膚に刺さった繊維は、皮膚の表面の入れ替わりとともに自然に出ていきます。体の奥に入りこんで残ることは通常ありません。
アレルギー体質ですが、関係ありますか?
グラスウールによるかゆみはアレルギーではないため、誰にでも起こります。ただ、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリアが弱い方は、刺激を受けやすく湿疹になりやすいので、より念入りに肌を覆ってください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-16)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A かぶれ(確認日: 2026-10-16)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

