「かゆいところは冷やすの?温めるの?」「腫れたら冷やすって聞いたけど、これも?」。診察室でとてもよく聞かれる質問です。冷やすと温めるは正反対なので、間違えると症状が強くなることがあります。
冷やす・温めるで何が起きるか(仕組み)
- 冷やす: 血管が縮み、赤み・腫れ・熱っぽさが引く。かゆみを伝える神経の働きも落ち着く
- 温める: 血管が広がり、血の巡りが良くなる。こわばりや冷えからくる痛みが和らぐ。一方で、かゆみや炎症は強くなる
かゆみや赤みの多くは、皮膚の中で炎症が起き、血管が広がっている状態です。そこを温めると、さらに血管が広がって、かゆみも赤みも強くなります。お風呂上がりや布団の中でかゆくなるのはこのためです。
症状別の早見表(見分け)
| 症状 | どちら | 理由・ポイント |
|---|---|---|
| じんましん | 冷やす | 温まると広がる。ただし寒冷じんましんは冷やさない |
| 虫刺され | 冷やす | 腫れとかゆみが落ち着く |
| かぶれ・湿疹のかゆみ | 冷やす | かき壊しを防ぐ |
| やけど | すぐ冷やす(流水で15〜20分ほど) | 熱が奥へ伝わるのを止める |
| ぶつけた直後の腫れ・あざ | はじめは冷やす | 内出血と腫れを抑える |
| 日焼けのほてり | 冷やす | やけどと同じ考え方 |
| しもやけ | 温める(ぬるめのお湯) | 血の巡りが悪くて起こるため。熱いお湯は避ける |
| 帯状疱疹のあとの痛み | 温める | 冷えると痛みが強くなりやすい |
| 粉瘤やおできの腫れ | 温めない | 炎症が強くなる。冷やすと痛みが楽になることがある |
上手な冷やし方・温め方(セルフケア)
冷やすとき
- 保冷剤や氷はタオルで包む。直接当てると、皮膚が冷えすぎて凍傷のようになることがある
- 1回10〜15分を目安に、冷たすぎると感じたら外す
- 冷たいタオルや、冷蔵庫で冷やした濡れタオルでもよい
- メントール(ハッカ)入りの塗り薬や保湿剤は、冷たい感覚でかゆみを紛らわせられる
温めるとき
- 熱いお湯ではなく、ぬるめ(38〜40度ほど)のお湯に浸す
- カイロや湯たんぽは、同じ場所に長く当てない。低温やけどの原因になるため
- しもやけの指は、急に温めるとかゆみが強くなることがあるので、ゆっくり温める
冷やす・温めるは、あくまで症状を和らげる方法で、原因を治すものではありません。かゆみや腫れが続くときは、原因に合った治療が必要です。
注意が必要なケース
冷やすことで悪化するものもあります。
- 寒冷じんましん: 冷たいものに触れるとじんましんが出るタイプ。保冷剤で冷やすと悪化する
- レイノー現象: 冷えると指が白や紫になるもの。冷やさない
- 感覚が鈍い場所: 糖尿病などで感覚が弱い方は、冷やしすぎ・温めすぎに気づきにくい。短時間にして、皮膚の色をこまめに見る
受診の目安
- 冷やしても腫れや赤みが広がっていく
- 腫れた場所が熱く、痛みが強い・熱がある(細菌の感染の可能性)
- やけどで水ぶくれができた、範囲が広い
- しもやけが崩れて傷になった、温めても色が戻らない
- 体の片側にピリピリした痛みと赤いブツブツが出てきた(帯状疱疹の可能性)
じんましんと一緒に、息苦しさ・唇やまぶたの腫れ・ぐったりする様子がある場合は、冷やすより先に救急要請してください。迷うときは救急安心センター(#7119)、子どもは子ども医療電話相談(#8000)が使えます。
診察室でよく聞かれる質問
かゆいときに熱いシャワーを当てると気持ちいいのですが?
一瞬かゆみが消えたように感じますが、そのあと血管が広がって、かえってかゆみが強くなります。皮膚の乾燥も進むので、熱いシャワーでかゆみを抑えるのはおすすめしません。
帯状疱疹の発疹が出ているときも温めていいですか?
水ぶくれが出ている時期は、温めるより、薬を塗って覆い、清潔に保つことが優先です。痛みが残っている時期になったら、入浴などで温めると楽になる方が多いです。
赤ちゃんのかゆみも冷やしていいですか?
大丈夫ですが、冷やしすぎに気をつけてください。保冷剤は必ずタオルで包み、短い時間にします。濡れタオルで押さえる程度でも十分です。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-17)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 虫さされ(確認日: 2026-10-17)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ヘルペスと帯状疱疹(確認日: 2026-10-17)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

