「子どもの首の黒ずみが、お風呂で洗っても落ちない」「足首だけ茶色くなっていて、体の病気ではと心配になった」。こうした黒ずみの中には、皮膚の色が変わったのではなく、表面に角質がこびりついているだけのものがあります。ふだんの石けんでは落ちず、アルコールで拭くと落ちる、という不思議な特徴を持つのがこの皮膚症です。
テラ・フィルマ・フォルメ皮膚症とは(仕組み)
名前はラテン語で「土のような皮膚」という意味で、見た目が土汚れに似ていることからつけられました。
皮膚のいちばん外側では、古い角質が少しずつはがれ落ちて入れ替わっています。何らかの理由でこの角質がはがれにくくなると、メラニン(肌の色素)を含んだ角質が重なって残り、茶色〜黒っぽく見えます。洗い方が足りないことだけが原因ではありません。毎日きちんと入浴している方にも起こり、ふつうの石けんとタオルでは落ちにくいのが特徴です。
子どもから若い方に多く、首・足首・おへそのまわり・すね・背中などに出やすいとされています。乾燥しやすい肌の方や、こすると痛い場所で洗い方がやさしくなりがちな部位に起こりやすいと考えられています。
症状・見分け
痛みやかゆみはほとんどなく、茶色〜黒っぽい、やや細かいうろこ状やしま模様の黒ずみが見られます。触ると少しザラッとすることがあります。
首やわきの黒ずみでは、黒色表皮腫との見分けが大切です。黒色表皮腫は、皮膚そのものが厚く黒くなる状態で、肥満や糖尿病などのホルモンの変化、まれに内臓の病気と関係することがあります。
| 見るポイント | テラ・フィルマ・フォルメ皮膚症 | 黒色表皮腫 |
|---|---|---|
| 正体 | 表面に残った古い角質 | 皮膚そのものが厚く黒くなる |
| アルコール綿でこすると | 落ちる | 落ちない |
| 手ざわり | 少しザラザラ、うろこ状 | ビロードのようにやわらかく厚い |
| よく出る場所 | 首・足首・おへそのまわり・すね | 首の後ろ・わき・足の付け根 |
| 体の状態との関係 | ほとんどない | 肥満・糖尿病などと関係することがある |
皮膚科では、消毒用アルコールを含ませた綿で黒ずみを軽くこすり、色が落ちるかどうかを確かめます。落ちればテラ・フィルマ・フォルメ皮膚症と考えられ、同時に治療にもなります。落ちない場合は、黒色表皮腫や摩擦による色素沈着、炎症のあとの色素沈着など、ほかの原因を考えます。
治療・セルフケア
治療は、消毒用アルコールを含ませた綿やガーゼで、黒ずみを軽くこすって落とすことです。多くはその場で目に見えて薄くなります。落ちたあとの皮膚はきれいな肌色をしていることがほとんどです。
家で行うときは、次の点に気をつけてください。
- 力を入れずに、なでるように拭く。強くこすると皮膚を傷めて、かえって色素沈着の原因になる
- 傷やただれのある場所、目の周りには使わない
- アルコールで赤くなる・しみる方は使わない
- 拭いたあとは、保湿剤を塗って乾燥を防ぐ
一度落としても、時間がたつと再び角質がたまることがあります。保湿で角質の入れ替わりを整えておくと、再発を減らすことが期待できます。ガサガサが強い場合は、尿素やサリチル酸など角質をやわらかくする塗り薬を使うこともあります。ナイロンタオルでゴシゴシ洗うのは、摩擦による黒ずみの原因になるので避けてください。
受診の目安
- 首やわきの黒ずみが、アルコールで拭いても落ちない
- 黒ずみの部分が厚く、ビロードのような手ざわりになってきた
- 体重の増加や、のどの渇き・尿が多いなど体の変化を伴っている
- 短い期間で黒ずみが広がってきた
- 赤み・かゆみ・ただれがある
アルコールで落ちない黒ずみは、自己判断でこすり続けず、一度皮膚科で確かめてもらってください。
診察室でよく聞かれる質問
洗い方が悪いのでしょうか?
そうとは限りません。毎日入浴している方にも起こり、ふつうの石けんでは落ちにくいのがこの皮膚症の特徴です。「不潔だから」と気にしすぎる必要はありません。
子どもの首の黒ずみも、アルコールで拭いて大丈夫ですか?
子どもの皮膚は大人より薄く刺激に弱いので、まず皮膚科で確かめてから行うと安心です。拭くときはやさしく、赤くなったらすぐにやめて保湿してください。
アルコールの代わりにウェットティッシュでもいいですか?
アルコールを含まないものでは落ちにくいことが多いです。手指用の消毒液はほかの成分が入っていることがあるため、使うなら薬局で売っている消毒用エタノールを綿に含ませる方法が向いています。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-19)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-19)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

