「胃ろうのまわりがいつも赤くて、ジュクジュクしている」「穴のふちに赤い肉のようなものが盛り上がってきた」「ガーゼに茶色い汚れが付く」。ご家族や介護をされている方から寄せられることの多い相談です。胃ろうのまわりの皮膚は毎日の手入れで状態が大きく変わります。原因の見分け方と、毎日のケアを整理します。
胃ろうのまわりで皮膚トラブルが起きる仕組み
胃ろうは、おなかの皮膚から胃まで通じる小さな穴に、チューブやボタン型の器具を留置したものです。器具は、胃の内側と、おなかの外側の固定具(外部ストッパー)ではさむようにして留まっています。この構造から、次のようなトラブルが起こります。
- 漏れ…穴のすき間から栄養剤や胃液がにじみ出ると、胃液の酸や消化酵素が皮膚を傷め、赤みやただれになります。
- 締め付け…外部ストッパーがきつすぎると、皮膚が押されて血の巡りが悪くなり、赤み・ただれ・潰瘍になります。
- ゆるすぎ・動き…逆にゆるすぎると、器具が動いて穴のふちがこすれ、肉芽ができたり、漏れが増えたりします。
- 湿った状態…ガーゼの当てすぎや汗で湿った状態が続くと、カビの一種(カンジダ)が増えやすくなります。
- テープ…チューブを留めるテープの所がかぶれることがあります。
症状と見分け方
| 考えられるもの | 見た目・特徴 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| 漏れによるただれ | 穴のまわりの赤み、ジュクジュク、ヒリヒリ | ガーゼに栄養剤や胃液の汚れが付く |
| 肉芽 | 穴のふちに赤くやわらかい盛り上がり。出血しやすい | 器具がこすれる所にできる。ジュクジュクした液が出る |
| カンジダ(カビ) | 赤みのまわりに小さな赤いブツブツが散らばる。白っぽい皮むけ | 湿った状態が続いたときに出る。かゆみがある |
| 締め付けによる傷 | ストッパーの形に沿った赤み、ただれ、潰瘍 | 外部ストッパーと皮膚の間にゆとりがない |
| 細菌の感染 | 腫れ、熱っぽさ、膿、痛み、発熱 | 赤みが広がっていく。早めの連絡が必要 |
| テープかぶれ | テープの形どおりの赤み、かゆみ | 貼った場所だけに出る |
毎日のスキンケア
- ぬるま湯と石けんで洗う。石けんをよく泡立て、穴のまわりをやさしくなでるように洗い、ぬるま湯で十分に流します。こすると皮膚が傷み、肉芽のきっかけにもなります。
- よく乾かす。洗った後は、清潔なタオルで押さえるように水分を取ります。湿ったままにすると、カビが増えやすくなります。
- 外部ストッパーのゆとりを確かめる。皮膚とストッパーの間に適度なすき間があるか、毎日見ます。どのくらいのゆとりにするか、器具を回してよいかは器具の種類によって違うので、管理している医療機関の指示に従ってください。
- ガーゼは必要なときだけ。漏れや浸出液がなければ、ガーゼを当てずに乾いた状態にしておくほうがよいことが多いです。当てるときは、汚れたらすぐに交換します。
- 漏れがあるときは皮膚を守る。撥水性のある皮膚保護のクリームなどで、漏れが直接皮膚に触れないようにする方法があります。
- テープは貼る場所をずらす。毎回少しずつ位置を変え、はがすときはゆっくりはがします。
治療
皮膚のただれには、皮膚を保護する塗り薬や被覆材を使います。カンジダにはカビを抑える塗り薬、テープかぶれには炎症を抑える塗り薬(ステロイド外用薬)を使います。肉芽には、炎症を抑える塗り薬のほか、薬剤で小さくする処置や、切り取る処置を行うことがあります。
漏れや締め付けが原因のときは、器具のサイズや種類の調整が必要になることがあり、これは胃ろうを管理している医療機関の役割です。皮膚の状態と器具の調整を、両方の側から進めることが大切です。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 胃ろうのまわりは、毎日消毒したほうがいいですか?
A. 穴が安定していれば、毎日の消毒は必要ないとされることが多く、石けんで洗って清潔に保つことが基本です。消毒薬は、皮膚を治そうとする細胞も傷めることがあるためです。ただし、造設して間もない時期などは指示が異なるので、管理している医療機関の方針に従ってください。
Q. 盛り上がった赤い肉を、家で切ったり焼いたりしてもいいですか?
A. 自分では処置しないでください。出血しやすく、感染のもとにもなります。肉芽は器具のこすれが原因のことが多いので、医療機関で処置と、器具の調整の両方を相談しましょう。
Q. お風呂に入れてもいいですか?
A. 穴が安定していて、管理している医療機関の許可があれば、そのまま入浴できることが多いです。入浴後は、穴のまわりをよく乾かしてください。
連絡・受診の目安
- チューブや器具が抜けた(穴は数時間で狭くなることがあるため、すぐに連絡)
- 漏れが急に増えた
- 出血が止まらない
- 赤み・腫れ・熱っぽさが広がる、膿が出る、熱が出た
- ただれやかゆみが1週間以上治らない
- 肉芽が大きくなってきた
夜間や休日で判断に迷うときは、救急安心センター(#7119)に相談できます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ(接触皮膚炎)」(確認日: 2026-10-21)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-21)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

