「頭のかゆみで塗り薬をもらったけれど、髪がベタベタになるだけで効いている気がしない」「ローションが髪に流れて、どこに塗れたかわからない」「薬のシャンプーはどのくらい置けばいいの?」。脂漏性皮膚炎・乾癬・円形脱毛症・頭皮の湿疹などで頭に薬を使う方から、診察室でよく聞かれる質問です。頭皮は髪があるぶん、塗り方のコツで効き方が大きく変わります。
なぜ頭皮は塗りにくいのか
頭皮の病気は、髪の毛の根もとの皮膚で起きています。ところが、薬をそのまま頭に垂らすと、ほとんどが髪に付いてしまい、肝心の頭皮には少ししか届きません。そのため頭皮用の薬は、液体のローション、泡状のフォーム、シャンプー剤など、髪の間を通りやすい形のものが使われます。
塗っても良くならないとき、薬が合っていないのではなく、「頭皮に届いていない」ことが原因のことは少なくありません。塗り方を見直すだけで良くなる方もいます。
薬の形と使い分け
| 薬の形 | 特徴 | 使い方のポイント |
|---|---|---|
| ローション | 液体で髪の間を通りやすい。ベタつきにくい | 容器の先を頭皮に当てて、分け目に沿って点々と出す |
| フォーム(泡) | 広がりやすく、垂れにくい | 指先に取ってから、分け目の頭皮に置いてなじませる |
| シャンプー剤 | 洗うついでに使える | 医師に指示された時間だけ置いてから、しっかり洗い流す |
| 軟膏・ゲル | 厚いかさぶたや、生え際など狭い範囲に | 髪の中では使いにくい。生え際や耳のまわりに |
塗り方の手順
- 入浴後、髪と頭皮をよく乾かす。濡れたままだと薬が薄まり、流れやすくなるためです。ドライヤーは熱くしすぎないようにします。
- 鏡の前で、症状のある場所を確かめる。家族に見てもらえると確実です。
- 髪を指やくしで分けて、分け目をつくる。
- 分け目の頭皮に、薬を点々と置く。ローションは容器の先を頭皮に軽く当てて出すと、髪に流れにくくなります。
- 指の腹で、やさしくなじませる。爪を立ててこするのは、かゆみや炎症を悪化させるので避けます。
- 1〜2cmずらして、次の分け目をつくり、くり返す。症状のある範囲全体に届くまで続けます。
- 塗った後は手を洗う。手についた薬が目に入らないようにするためです。
朝に塗ると髪型が気になる方は、夜の入浴後に塗るのが続けやすい方法です。1日に何回塗るかは、医師の指示に従ってください。
薬用シャンプーの使い方
ステロイドなどの成分を含むシャンプー剤は、乾いた頭皮に塗って、決められた時間だけ置いてから洗い流す使い方(短時間の接触療法)をすることがあります。置く時間を長くすれば効くわけではなく、副作用のもとになるため、医師の指示どおりの時間を守ってください。カビ(真菌)の一種が関わる脂漏性皮膚炎では、抗真菌成分配合のシャンプーを使うこともあります。市販品ではコラージュフルフルなどが代表的です。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 塗った翌朝、髪を洗っても大丈夫ですか?
A. 基本的には大丈夫です。夜に塗れば、寝ている間に薬は頭皮になじみます。朝のシャンプーで洗い流しても、効果が失われるわけではありません。
Q. 薬を塗った後に、ヘアカラーやパーマをしてもいいですか?
A. 頭皮に炎症がある時期は、カラーやパーマの薬剤がしみたり、かぶれを悪化させたりすることがあります。治療中は控えるか、医師に相談してからにしてください。
Q. 良くなったら、すぐにやめていいですか?
A. 脂漏性皮膚炎や乾癬は、くり返しやすい病気です。急にやめるとぶり返すことがあるため、回数を減らしていく、シャンプー剤で維持する、など医師と相談しながら減らしていきます。
受診の目安
- 指示どおりに塗っても、2〜4週間で良くならない
- かゆみが強くて眠れない、かき壊してジュクジュクする
- 厚いかさぶたが重なって、薬が頭皮に届かない
- 髪が抜けて地肌が見える範囲が広がっている
- 塗るとしみる、赤みがかえって強くなる
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-22)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-22)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

