「川遊びや牧場で、大きなハエのような虫に刺されて血が出た」「刺された所が次の日に手のひらほど腫れた」「ブユに刺されたのか、アブなのか分からない」。夏から秋にかけて、山や川、牧場、ゴルフ場などで多い相談です。アブに刺されたときの見分け方と応急処置、受診の目安を整理します。
アブ刺されとは(仕組み)
アブはハエを大きくしたような姿の虫で、血を吸うのはメスです。蚊のように細い針を刺すのではなく、鋭い口で皮膚を切り開き、にじんだ血をなめとります。そのため、刺された瞬間に強い痛みがあり、小さな出血を伴うことがあります。
このとき、アブの唾液の成分が皮膚に入り、体がそれに反応して赤み・腫れ・かゆみが起きます。反応の強さには個人差があり、何度も刺されたことのある方や、子どもでは大きく腫れることがあります。
症状と見分け方
屋外で刺される虫の中でも、アブ・ブユ・蚊はまちがえやすい組み合わせです。
| 虫 | 刺されたとき | その後の経過 |
|---|---|---|
| アブ | すぐにチクッと強い痛み。小さな出血があることも | 数時間〜翌日に赤く腫れ、かゆくなる |
| ブユ(ブヨ) | 刺されたときはほとんど気づかない。小さな出血点 | 半日〜翌日に大きく腫れ、強いかゆみが長く続く |
| 蚊 | ほとんど痛みはない | すぐにかゆいふくらみ。子どもは翌日に腫れることも |
| ハチ | 激しい痛み。刺された後に針が残ることがある | 腫れが強い。アナフィラキシーに特に注意 |
刺した虫を見ていない場合でも、刺された瞬間に痛みがあったかどうかは見分けの手がかりになります。痛みがなく、後から大きく腫れた場合はブユを疑います。
応急処置とセルフケア
- 流水と石けんで洗う。傷口についた唾液や汚れを落とし、細菌が入るのを防ぎます。
- 冷やす。保冷剤や冷たいタオルで冷やすと、痛みと腫れがやわらぎます。凍傷を防ぐため、保冷剤はタオルで包んでください。
- 市販のステロイド入りの塗り薬を使う。赤みとかゆみが強い場合は、ステロイドを含む虫刺され用の塗り薬を数日使います。炎症を抑えることで、かき壊しを防げます。
- かかない。かき壊すと、とびひ(細菌の皮膚感染)や、跡が長く残る原因になります。子どもは爪を短く切っておきます。
皮膚科での治療
腫れやかゆみが強い場合は、市販薬より強いステロイドの塗り薬と、かゆみを抑える飲み薬(抗ヒスタミン薬)を使います。腫れが広範囲に及ぶ場合は、短期間ステロイドの飲み薬を使うこともあります。
刺された所から赤みが広がり、熱をもって痛む場合は、細菌が入って起きる蜂窩織炎(皮膚の深いところの感染)の可能性があり、抗菌薬で治療します。かき壊してジュクジュクしている場合も、とびひにならないよう早めに治療します。
予防のポイント
- アブは黒や濃い色に寄ってきやすいとされます。屋外では明るい色の長袖・長ズボンを選びます。
- 虫よけ剤を、肌の出ている所にむらなく使います。汗で落ちるため、こまめに塗り直します。
- 水辺や牧場、晴れて暑い日中の屋外では、特に気をつけます。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 腫れた所を温めたほうがいいですか、冷やしたほうがいいですか?
A. 冷やしてください。温めると血の流れが良くなり、腫れやかゆみが強くなります。ただし、冷やしすぎると皮膚を傷めるため、保冷剤はタオルで包み、長時間当て続けないようにします。
Q. 毒を口で吸い出したほうがいいですか?
A. 口で吸い出すことはおすすめしません。口の中の細菌が傷に入るおそれがあり、効果もはっきりしません。流水で洗い流すほうが確実です。
Q. 前に刺されたときより、今回のほうが大きく腫れました。
A. 何度か刺されるうちに、体の反応が強くなることがあります。息苦しさやじんましんが出たことがある方は、アレルギーの検査や、万一のときの備えについて医療機関で相談してください。
受診の目安
- 刺された後に、息苦しさ、全身のじんましん、めまい、顔や唇の腫れ、吐き気が出た(アナフィラキシーの可能性。すぐに119番)
- 腫れが手のひらより大きく広がる、関節をまたいで腫れる
- 赤みが広がり、熱をもって痛む、発熱がある(蜂窩織炎の可能性)
- ジュクジュクする、黄色いかさぶたができる(とびひの可能性)
- 市販薬を使っても1週間以上かゆみや腫れが続く
夜間や休日に受診すべきか迷う場合は、#7119(救急安心センター)に相談できます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「虫さされ」(確認日: 2026-10-23)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-23)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

