「旅行先の温泉に入った次の日から、お腹や背中に赤いブツブツが出てきた」「ジムのジャグジーのあと、水着の跡に沿ってかゆい」。こうした相談は、ニキビやあせも、虫刺されと思われていることがよくあります。原因と見分け方、自宅での過ごし方を説明します。
緑膿菌毛包炎とは(起こる仕組み)
緑膿菌は、水回りにふつうにいる細菌です。健康な皮膚にはふだん悪さをしませんが、温かい湯に長くつかると、皮膚がふやけて毛穴の入り口がゆるみ、そこへ菌が入り込んで毛穴の中で炎症を起こすことがあります。毛穴に起こる炎症を「毛包炎」と呼びます。
塩素の管理が行き届きにくい循環式の浴槽、ジャグジー、ビニールプール、温水プールなどで起こりやすいとされています。湿った水着をしばらく着ていると、菌を含む水が皮膚に長く触れるため、水着で覆われていた部分に多く出るのが特徴です。同じ湯に入った家族や友人にも同時に出ることがあり、これも見分けのヒントになります。
症状と見分け方
入浴から数時間〜2日ほどして、毛穴に一致した赤いブツブツや、頭が少し白っぽい小さな膿のブツブツが、お腹・背中・お尻・太ももにまとまって出ます。かゆみや軽い痛みを伴うことが多いです。
| 考えられるもの | 見分けのポイント |
|---|---|
| 緑膿菌毛包炎 | 温泉・ジャグジー・プールの1〜2日後。水着の当たっていた部分に多い。一緒に入った人にも出ることがある |
| あせも | 汗のたまりやすい首・ひじの内側・背中。汗をかいた当日から出る |
| マラセチア毛包炎 | 胸や背中に、同じ大きさのブツブツが数週間以上続く。入浴とは関係なく続く |
| 虫刺され | 服から出ていた部分に多い。数がまばらで、1つ1つのかゆみが強い |
| ニキビ | 顔・胸・背中に、白や黒の芯(面ぽう)をもつブツブツが混ざる |
治療・セルフケア
基本的には、多くが1〜2週間ほどで自然に治っていきます。ただし、ブツブツの数が多い、かゆみが強い、膿をもって痛む場合は、皮膚科で炎症やかゆみを抑える塗り薬を使います。範囲が広い場合や、腫れて痛むおできのようになった場合は、緑膿菌にも効く抗菌薬の飲み薬を使うことがあります。
- つぶさない・かきこわさない。膿を出そうとすると、毛穴の奥まで炎症が広がり、跡が残りやすくなるためです。
- 入浴後はシャワーで体を流し、早めに水着を脱いで乾かす。菌を含む湯が肌に残る時間を短くするためです。
- 使った水着やタオルは、洗ってからよく乾かす。
- 治るまでは、同じ浴槽やジャグジーに入るのを控える。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 家族にうつりますか?
A. 人から人へうつることは、ほとんどないと考えられています。家族に同時に出るのは、同じ湯に入ったためです。タオルを分ける程度で十分です。
Q. 次に温泉に入るときに、気をつけることはありますか?
A. 長湯を避け、上がったらシャワーで体を流して、水着はすぐに脱ぐようにしてください。自宅のビニールプールや循環式の浴槽は、水をこまめに替えて清掃することが予防になります。
受診の目安
- 熱が出る、体がだるい
- ブツブツが大きく赤く腫れて、強く痛む(おできのようになる)
- 1〜2週間たっても引かない、または広がり続ける
- 耳の痛みや、目の充血を伴う(同じ菌が耳や目に炎症を起こすことがあります)
- 糖尿病がある、抗がん剤などで免疫が下がる治療を受けている
受診の際は、いつ・どこで入浴したか、一緒に入った人にも出ているかを伝えると、診断の手がかりになります。
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-26)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

