「股のつけ根の赤みが、市販の薬を塗ってもまったく引かない」「おしりの割れ目がずっと赤くてヒリヒリする」「デリケートな場所なので受診をためらっていた」。こうした赤みの中に、乾癬が隠れていることがあります。乾癬はうつる病気ではなく、治療で落ち着かせることができます。見分け方と治療を説明します。
間擦部の乾癬とは(なぜ見た目が違うのか)
乾癬は、免疫の働きが過剰になり、皮膚の細胞が速いペースで作られてしまう病気です。ひじやひざでは、赤い盛り上がりの上に銀白色の皮(鱗屑)が厚く積み重なるのが典型です。
ところが、皮膚どうしがこすれ合い、汗で湿りやすい場所(間擦部)では、鱗屑が湿ってすぐにはがれてしまうため、表面がつるっとした、てかりのある赤みとして見えます。そのため「乾癬らしい皮」が見当たらず、ほかの病気と区別しにくくなります。頭やひじ、ひざ、爪などにも乾癬の症状がないかを合わせて確認することが、見分ける手がかりになります。
症状と見分け方
同じような場所に赤みが出る病気を比べます。見た目だけで区別しきれないことも多く、皮膚科では、こすり取った皮膚を顕微鏡で見てカビの有無を確かめる検査を行います。
| 病気 | 見た目の特徴 | 見分けの手がかり |
|---|---|---|
| 間擦部の乾癬 | 境界がはっきりした、つるっとした赤み。皮むけは少ない | 頭・ひじ・ひざ・爪にも症状があることがある。カビの検査は陰性 |
| カンジダ症 | じゅくじゅくした赤みの周りに、小さな赤いポツポツや膿が散らばる | おむつ、寝たきり、糖尿病、ステロイドの塗りすぎなどで起こりやすい。検査でカンジダが見つかる |
| 股部白癬(いんきんたむし) | ふちが堤防のように盛り上がり、中心は薄くなる輪のような形 | 足の水虫がある人に多い。検査で白癬菌が見つかる |
| 間擦疹(すれ・ただれ) | 重なり合う部分に沿った赤み・ただれ | 汗や肥満、暑い時期に悪化しやすい |
| 紅色陰癬 | 境界のはっきりした、茶色っぽい赤み | 特殊なライトを当てると赤く光る |
注意したいのは、市販の水虫薬やかゆみ止めを長く塗った後だと、検査や見た目の判断が難しくなることです。治らない赤みに何種類も薬を試すより、早めに受診したほうが結果的に早く治ります。
治療・セルフケア
陰部やわきの皮膚は薄く、薬の吸収がよいため、ほかの部位より穏やかな治療から始めます。
- 弱め〜中程度のステロイドの塗り薬:短い期間で炎症を落ち着かせます。皮膚が薄い場所なので、強い薬を長く使い続けないよう、塗る期間を医師と決めます。
- 活性型ビタミンD3の塗り薬:ステロイドと組み合わせたり、落ち着いた後の維持に使ったりします。刺激を感じることがあるので、ヒリヒリが強いときは伝えてください。
- ステロイド以外の塗り薬:長く塗る必要がある場合に、皮膚が薄くなる副作用を避けるため選ばれることがあります(部位によっては乾癬への使用が保険の適応外になる薬もあるため、医師と相談のうえで使います)。
- 全身の治療:ほかの部位にも広く乾癬がある場合は、飲み薬や注射の治療を検討します。
セルフケアでは、こすらないこと、蒸れを減らすことが大切です。汗をかいたらやわらかい布で押さえるように拭き、通気性のよい綿の下着を選びます。締めつけの強い下着や衣類は、こすれの刺激で乾癬を悪化させることがあるため避けてください。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 性行為でパートナーにうつりますか?
A. 乾癬は人にうつる病気ではありません。性感染症とも関係ありません。ただ、こすれや刺激で悪化することはあるので、ヒリヒリが強い時期は無理をしないでください。
Q. 市販のデリケートゾーン用のかゆみ止めを使っています。
A. 一時的にかゆみが楽になっても、乾癬の炎症そのものは治まりにくく、成分によってはかぶれることもあります。2週間ほど使っても改善しない場合は、いったん使うのをやめて受診してください。
Q. 恥ずかしくて受診をためらっています。
A. 陰部やおしりの赤みは、皮膚科でよく診ている症状です。診察では必要な範囲だけを確認します。気になることは受付や診察室で遠慮なく伝えてください。
受診の目安
- 陰部・わき・おしりの赤みが、市販薬を2週間ほど使っても治らない
- いったん治っても、同じ場所に何度もぶり返す
- 頭のフケが多い、ひじやひざにも皮をかぶった赤みがある、爪の変形がある
- ただれて痛い、膿が出る、急に広がってきた
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 白癬(水虫・たむし)(確認日: 2026-10-27)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-27)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

