「着替えのときに、わきの下から胸にかけて、皮膚の下にすじのようなものが触れた」「腕を上げると、そこだけ皮膚が引っぱられてへこむ」「押すと少し痛い」。初めて気づくと、悪い病気ではないかと不安になる症状です。モンドール病の仕組みと経過、確認しておきたいことを説明します。
モンドール病とは(仕組み)
モンドール病は、胸や腹の皮膚のすぐ下を走る細い静脈に、血のかたまり(血栓)ができて炎症を起こす病気です。医学的には表在性の血栓性静脈炎の一種にあたります。静脈が硬くなるので、皮膚の下にひもやすじのようなものとして触れます。
きっかけとしては、次のようなものが知られています。
- 乳房やわきの手術、けが、注射などの後
- きつい下着や衣類による締めつけ
- 腕や胸を強く使う運動や作業
- はっきりしたきっかけがないことも多い
まれに、乳がんなど乳腺の病気がきっかけになっていることが報告されています。そのため、とくに乳房やその周りにできた場合は、乳房そのものにしこりがないかを確認しておくことが大切です。
症状と見分け方
典型的な症状は次のとおりです。
- 皮膚の下に、数cm〜十数cmの長さの硬いひも状のすじが縦に触れる
- 腕を上げたり、体をひねったりすると、すじに沿って皮膚が引っぱられ、溝のようにへこむ
- 押すと痛む、つっぱる感じがある
- 皮膚の表面の赤みは目立たないことが多い
胸やわき腹にできる、ほかのしこりや症状との見分けの目安です。
| 病気 | 特徴 |
|---|---|
| モンドール病 | ひも状で細長い。腕を上げると皮膚がへこむ。数週間〜数か月で消えていく |
| リンパ管炎 | 傷などから、赤い線が体の中心に向かってのびる。熱や痛みを伴い、発熱することもある |
| 帯状疱疹 | 体の片側に帯状のピリピリした痛み。数日のうちに赤みと水ぶくれが出る |
| 粉瘤・脂肪腫 | 丸い、またはやわらかいかたまり。ひも状にはならない |
| 乳房のしこり | 乳房の中にかたまりが触れる。乳頭からの分泌、皮膚のひきつれを伴うことがある |
治療・セルフケア
モンドール病の多くは、特別な治療をしなくても自然に治っていきます。静脈の詰まりが少しずつ解消し、すじは数週間から数か月かけてやわらかくなり、触れなくなります。
- 痛みが強いときは痛み止め:消炎鎮痛薬の飲み薬や湿布などで和らげます。
- 締めつけを避ける:ワイヤー入りの下着やきつい衣類は、治るまでの間、ゆるめのものにします。
- 強く揉まない:すじをほぐそうとして強く揉んだり押したりする必要はありません。
日常生活の制限は基本的にありませんが、腕を大きく使う運動で痛むときは、痛みが落ち着くまで控えめにしてください。
なお、男性の陰茎の背中側に、同じようなひも状の硬いすじが出ることもあります。これも同じ仕組みの病気で、多くは自然に治りますが、泌尿器科や皮膚科で確認しておくと安心です。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 乳がんの検査は必要ですか?
A. モンドール病そのものは良性の病気です。ただ、まれに乳腺の病気が隠れていることがあるため、乳房やその周りにできた場合は、乳腺外科で乳房の検査(超音波やマンモグラフィ)を受けておくことを勧めます。最近の乳がん検診で異常がなかった方も、その結果を受診のときに伝えてください。
Q. また同じところにできますか?
A. 多くは一度きりで治まります。締めつけの強い下着や、同じ動作の繰り返しがきっかけになっていた場合は、それを見直すと再発しにくくなります。
Q. 温めたほうがいいですか、冷やしたほうがいいですか?
A. どちらかで治りが大きく変わるものではありません。痛みが和らぐほうを選んでかまいません。
受診の目安
- 胸やわき腹の皮膚の下に、ひもやすじのようなものが新しく触れた
- 乳房の中にしこりがある、乳頭から分泌がある
- 赤みや熱、腫れが強い、発熱を伴う
- 3か月ほどたっても小さくならない、または大きくなってきた
- 足や腕など、ほかの場所にも同じようなすじや腫れがある
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-27)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

