「食べ物で治せないの?」「お酒は一切だめ?」「太っていると悪くなるって本当?」。乾癬と診断された方から、薬と同じくらい多く聞かれるのが生活の質問です。インターネットには「これを食べれば治る」という情報もありますが、根拠がはっきりしないものも少なくありません。分かっていることと、分かっていないことを分けて説明します。
乾癬とは(なぜ生活習慣が関係するのか)
乾癬は、免疫の働きが過剰になり、皮膚の細胞がふつうよりずっと速いペースで作られてしまう病気です。その結果、皮膚が赤く盛り上がり、表面に銀白色のフケのような皮(鱗屑)が厚く積み重なります。頭、ひじ、ひざ、腰、おしりなど、こすれやすい場所によくできます。人にうつる病気ではありません。
乾癬の炎症にかかわる物質の一部は、脂肪組織からも出ていることが分かってきました。また、喫煙やお酒も免疫や炎症に影響します。こうした理由から、体質に加えて生活の要因が、乾癬の出やすさや重さにかかわると考えられています。
悪化させる要因と、見直しのポイント
乾癬を悪くしやすいとされる要因を、見直しのポイントとあわせて表にしました。
| 要因 | 乾癬との関係 | 見直しのポイント |
|---|---|---|
| 肥満 | 重症化しやすく、薬が効きにくくなることがある | 減量で皮膚の症状が軽くなることがある |
| 喫煙 | 発症・悪化しやすくなるとされる | 禁煙をすすめます。禁煙外来も利用できます |
| お酒の飲みすぎ | 悪化要因とされ、一部の飲み薬では肝臓への負担も重なる | 量を控えめにする |
| こすれ・けが | 傷ついた場所に新しく乾癬が出ることがある(ケブネル現象) | かきこわさない、きつい衣類やベルトで擦らない |
| 感染症 | のどの炎症(扁桃炎)などをきっかけに出たり悪くなったりすることがある | のどの痛みが続くときは早めに受診 |
| ストレス・睡眠不足 | 悪化のきっかけになることがある | 完全に避けることは難しいので、できる範囲で |
| 乾燥 | 冬に悪くなりやすい | 保湿を続ける |
食事について分かっていること
特定の食べ物やサプリメントで乾癬が治る、という確かな証拠はありません。「◯◯を食べると治った」という話は、個人の経験としてはあっても、すべての人に当てはまるわけではありません。高価な健康食品に頼る必要はありません。
一方で、乾癬の方は糖尿病・高血圧・脂質異常症などのメタボリックシンドロームを合併しやすいことが知られています。脂っこいものや甘いもの、お酒に偏らない食事と、体重の管理は、乾癬のためにも、全身の健康のためにも意味があります。健診の結果も、乾癬の治療方針を考えるうえで参考になるので、受診のときに持ってきてください。
治療・スキンケア
生活の見直しは治療の土台ですが、それだけで皮膚の症状を抑えるのは難しいことが多いです。症状に合わせて、次の治療を組み合わせます。
- 塗り薬:ステロイドと活性型ビタミンD3の塗り薬が基本です。両方を合わせた薬もあります。
- 光線療法:特定の波長の紫外線を当てる治療です。
- 飲み薬:塗り薬で抑えきれない場合に使います。
- 生物学的製剤(注射):炎症にかかわる物質をピンポイントで抑える薬で、中等症〜重症の方に使われます。
スキンケアでは、鱗屑を無理にはがさないことが大切です。はがすと皮膚が傷つき、その刺激でかえって悪くなることがあります。入浴でふやかして自然に取れる分だけにし、お風呂上がりに保湿します。
診察室でよく聞かれる質問
Q. お酒は一切飲んではいけませんか?
A. 一切だめというわけではありませんが、飲む量が多いほど悪化しやすいとされています。また、乾癬の飲み薬の中には肝臓に負担がかかるものがあり、お酒との組み合わせに注意が必要です。飲む習慣がある方は、量も含めて正直に伝えてください。
Q. 日光に当たったほうがいいと聞きました。
A. 適度な日光で症状が軽くなる方はいます。ただし、日焼けするほど浴びると、その刺激で逆に悪化することがあります。治療としての紫外線は、量を管理して医療機関で行うものです。
Q. 温泉に入ってもいいですか?
A. 入って大丈夫です。乾癬はうつる病気ではありません。熱いお湯に長く入ると乾燥やかゆみが強くなることがあるので、長湯は控えめにし、上がったら保湿してください。
受診の目安
- 頭やひじ、ひざに、フケのような皮をかぶった赤い盛り上がりが続いている
- 市販の薬を塗っても広がってくる
- 爪に点状のへこみや、はがれ・にごりが出てきた
- 手足の指やかかと、腰などの関節が痛む・腫れる(乾癬性関節炎のことがあります)
- 治療中だが、生活の工夫も含めて今のやり方でよいか相談したい
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-27)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-27)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

