「顔の赤みとカサカサは、脂漏性皮膚炎?それともアトピー?」「赤ちゃんの頭や眉にフケのようなものが付いているけれど、アトピーの始まり?」。どちらも顔や頭に赤みとカサカサが出るため、見た目が似ています。しかし原因と治療が違うため、見分けることが大切です。大人と赤ちゃんに分けて、違いと治し方を説明します。
それぞれの病気の仕組み
脂漏性皮膚炎は、皮脂の多い場所で、皮膚にもともといるカビ(真菌)の一種・マラセチアが皮脂を分解してできる物質が刺激となって起こる炎症です。頭・眉・眉間・小鼻のわき・耳の周り・胸の中央など、皮脂腺が多い場所に出ます。
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が弱く、外からの刺激やアレルギーの原因が入り込みやすい体質に、免疫の過剰な反応が重なって起こる、かゆみの強い湿疹です。良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。
見分け方(大人の場合)
| 比べるポイント | 脂漏性皮膚炎 | アトピー性皮膚炎 |
|---|---|---|
| 出る場所 | 頭、眉、眉間、小鼻のわき、耳の周り、胸の中央 | 顔全体、首、ひじの内側、ひざの裏、体幹など広い範囲 |
| かゆみ | 軽い〜中くらい | 強い。夜に掻いてしまう |
| 皮膚の見た目 | 赤みの上に黄色っぽい脂っぽいフケ・かさぶた | 赤み、カサカサ、掻き壊し、長く続くと皮膚が厚く硬くなる |
| 経過 | 季節や疲れ、ストレスで増減 | 子どもの頃からの経過があることが多い。季節で増減 |
| 本人・家族の傾向 | 特になし | ぜんそく、花粉症、アレルギー性鼻炎などがあることが多い |
大人のアトピー性皮膚炎で、とくに顔・首に症状が強い方では、マラセチアが悪化に関わっていることがあり、脂漏性皮膚炎と重なったような状態になることがあります。この場合、片方の治療だけでは良くなりきらないことがあります。
見分け方(赤ちゃんの場合)
生まれて間もない赤ちゃんは、お母さんからのホルモンの影響で皮脂が多く、生後2〜3か月ごろまでは頭や眉に黄色いかさぶたのような脂漏性皮膚炎(乳児脂漏性湿疹)が出ることがよくあります。これは多くの場合、やさしい洗浄と保湿で自然に落ち着いていきます。
一方、次のような場合はアトピー性皮膚炎を考えます。
- かゆみが強く、顔をこすりつける、掻く様子がある
- 顔だけでなく、首・体・手足にも湿疹が広がってきた
- 良くなったり悪くなったりしながら、2か月以上続いている(乳児の場合)
赤ちゃんの湿疹はどちらとも決めにくい時期があり、最初から「アトピー」と決めつけず、経過を見ながら判断するのが実際です。湿疹を放置せず早めに治すことは、どちらの場合でも大切です。
治療の違い
脂漏性皮膚炎は、マラセチアを減らす抗真菌薬(ケトコナゾールなど)の塗り薬が治療の中心です。赤みやかゆみが強い時期は、弱めのステロイドの塗り薬を短期間組み合わせます。頭には抗真菌成分を含むシャンプーも使われます。
アトピー性皮膚炎は、ステロイドの塗り薬で炎症をしっかり抑え、保湿で皮膚のバリアを補うのが基本です。顔や首には、タクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラストといったステロイド以外の塗り薬も使えます。良くなった後も、間隔をあけて塗り続けて再発を防ぐ方法(プロアクティブ療法)がとられます。症状が重い場合は、飲み薬や注射の治療もあります。
両方が重なっている場合は、アトピーの治療に、顔や頭の抗真菌薬を組み合わせることで改善することがあります。
自分でできるケア
- 洗いすぎず、洗い残さない。脂漏性皮膚炎は皮脂を適度に落とすことが大切ですが、ゴシゴシ洗うとアトピーの皮膚には刺激になります。泡でなでるように洗い、しっかりすすぎます
- 洗った後はすぐ保湿。とくにアトピー性皮膚炎では欠かせません
- 髪の生え際・眉・小鼻のわきのすすぎ残しに注意。シャンプーや洗顔料の残りは刺激になります
- 睡眠不足や疲れをためない。どちらも疲れやストレスで悪化しやすいことが知られています
よくある質問
Q. 市販の薬で様子を見てもいいですか?
A. 範囲が狭く、軽い赤みであれば、保湿や市販の薬で数日様子を見ることはできます。ただ、どちらの病気かで合う薬が違うため、1〜2週間で良くならない、繰り返す場合は皮膚科で診断を受けてください。
Q. 顔にステロイドを塗っても大丈夫ですか?
A. 顔は薬の吸収がよいため、弱めのものを、期間を決めて使います。正しく使えば強い味方になる薬です。長く使う必要がある場合は、ステロイド以外の塗り薬に切り替える方法もあります。
受診の目安
- 顔や頭の赤み・カサカサが2週間以上続く、繰り返す
- かゆみで眠れない、掻き壊してジュクジュクしている
- 赤ちゃんの湿疹が顔から体に広がってきた、かゆがっている
- 湿疹の上に、急に水ぶくれや小さなただれが広がり、熱が出た(カポジ水痘様発疹症などの可能性があり、早めの受診が必要です)
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A アトピー性皮膚炎(確認日: 2026-10-31)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-31)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

