「背中を洗っていて、肩甲骨の下にこぶのようなものがあるのに気づいた」「腕を前に伸ばすと出てきて、下ろすと分からなくなる」「両側にある」。中高年の方の背中、とくに肩甲骨の下のあたりにできるしこりのひとつに、弾性線維腫があります。皮膚のすぐ下にできる粉瘤や脂肪腫とは違い、筋肉の下の深い場所にできるのが特徴です。仕組みと見分け方、治療の考え方を説明します。
弾性線維腫とは(できる仕組み)
弾性線維腫は、肩甲骨の下の端あたりで、肩甲骨と肋骨(胸の骨)の間にできる、硬い線維のかたまりです。皮膚のすぐ下ではなく、背中の筋肉のさらに下にあります。
原因ははっきり分かっていませんが、肩甲骨が肋骨の上を動くときのこすれが長年繰り返されることで、組織が少しずつ増えて厚くなると考えられています。そのため、中高年以降に多く、腕をよく使う仕事や作業をしてきた方に見つかることがあります。左右両方にできることもあります。
がん(悪性)に変わることは基本的にないとされています。
症状・ほかのしこりとの見分け方
- 腕を前に伸ばす・肩をすくめると浮き出る:肩甲骨が動いてしこりが押し出されるため。腕を下ろすと隠れて分かりにくくなります
- 硬く、皮膚とはくっついていない
- 多くは痛みがない。ときに、肩を動かすと引っかかる感じ、ゴリゴリした音、重い感じ、軽い痛みがあります
- ゆっくり大きくなることがありますが、急に大きくなることは少ないとされています
| しこり | 深さ・場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| 弾性線維腫 | 深い(筋肉の下)。肩甲骨の下の端 | 硬い。腕を前に出すと浮き出る。中高年。両側のことも |
| 脂肪腫 | 皮膚の下の脂肪の層(ときに筋肉の中) | やわらかく、ゆっくり大きくなる。背中・肩・首に多い |
| 粉瘤 | 皮膚のすぐ下 | 皮膚とくっついて動く。中央に黒い点。炎症で赤く腫れる |
| 悪性の軟部腫瘍(肉腫など) | さまざま | 数か月で急に大きくなる、5cmを超える、硬く動きにくい、痛みが増す |
検査・治療
しこりの場所と特徴から弾性線維腫が疑われる場合は、超音波(エコー)検査やMRIで、しこりの深さや中身の性質を確認します。典型的な画像の所見があり、症状がなければ、それだけで診断して経過をみることが多くなります。画像で判断が難しい場合は、組織の一部を取って調べることもあります。
- 症状がない場合:手術はせずに経過をみます。大きさの変化に気づけるよう、ときどき触って確認します
- 症状がある場合:肩を動かすときの引っかかりや痛みが生活に支障をきたす、大きくなってきた場合は、手術で取り除くことを検討します。深い場所にあるため、手術後に血液がたまる(血腫)などの合併症に注意が必要です
弾性線維腫は筋肉の下にある深いしこりのため、診療は整形外科で行われることが多い病気です。皮膚の表面に近いしこり(粉瘤・脂肪腫など)との見分けを含めて、まずは皮膚科や整形外科で相談してください。
日常生活での注意(セルフケア)
- しこりを強く押したり、もんだりしないようにします
- 大きさを記録しておくと、変化に気づきやすくなります。家族に写真を撮ってもらう、腕を前に出したときの見え方を覚えておくなどの方法があります
- 肩の痛みが続く場合は、しこりとは別の肩の病気のこともあるため、自己判断せずに相談します
よくある質問
Q. 両側にあると言われました。悪いものですか?
A. 弾性線維腫は両側にできることも珍しくなく、両側にあること自体は悪いサインではありません。画像検査で典型的な所見であれば、経過をみることが一般的です。
Q. 放っておくと大きくなり続けますか?
A. ゆっくり大きくなることはありますが、多くは大きな変化がないまま経過します。急に大きくなる、痛みが強くなるといった変化があれば、受診して画像で確認し直してください。
受診の目安
- 背中にしこりを見つけたが、何か分からない
- しこりが数か月で目に見えて大きくなっている、5cmを超えている
- 痛みが強くなってきた、肩を動かすと引っかかって困る
- しこりが硬く、周りにくっついて動かない
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 皮膚悪性腫瘍(確認日: 2026-11-02)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-11-02)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

