「子どもがコンセントにヘアピンを差し込んで、指先が黒くなった」「電気コードをかじって口の端をやけどした」「DIY中にビリッときて、手のひらに小さな傷ができた」。感電は家庭でも起こる事故です。電気によるやけどは、熱湯や火によるやけどとは傷の深さの考え方が違います。皮膚に出る症状と、受診が必要な理由、応急処置を説明します。
電撃傷とは(普通のやけどとの違い)
電気が体に流れると、通り道の組織で熱が生まれます。電気は皮膚から入り(入口)、体の中を通って別の場所から出ていきます(出口)。そのため、
- 皮膚の傷は入口と出口の点だけに見えても、その間の筋肉や血管、神経が傷んでいることがあります
- 電気が心臓を通ると、不整脈が起きることがあります
- 筋肉が強く縮んで、転落したり、骨折・脱臼したりすることもあります
つまり、見た目の傷の大きさで重症度を判断できないのが、普通のやけどとの大きな違いです。傷の深さは、電圧の高さ、電気が流れた時間、通り道、皮膚の湿り具合などで変わります。
症状・見分け方
| 状況 | 皮膚の見た目 | 注意点 |
|---|---|---|
| 家庭用コンセントで一瞬ビリッとした | 傷がない、または小さな赤み | その後に動悸・意識の変化がなければ多くは軽症。数時間は様子を見る |
| コンセントに金属を差し込んだ | 指先が白〜灰色・黒く焦げた小さな傷、中央がへこむ | 見た目より深いことがある。受診する |
| 電気コードをかんだ(主に乳幼児) | 口の端(口角)の白〜灰色の傷 | 数日〜2週間後にかさぶたが取れて出血することがある。受診する |
| 高い電圧(電線・工事現場・電車の架線など)・落雷 | 入口・出口の深い傷、広い範囲のやけど | すぐに119番。皮膚より全身の状態が問題になる |
応急処置
- まず電気を止める:ブレーカーを落とす、プラグを抜く。感電している人に素手で触れると、助けに入った人も感電します。乾いた木の棒など電気を通さない物で離します
- 意識・呼吸を確認する:反応がない、呼吸がおかしい場合はすぐ119番し、指示に従います
- 傷は流水で冷やす:普通のやけどと同じく、水道水で冷やします。ただし、電撃傷は表面を冷やしても深いところの損傷は止められないため、冷やして終わりにしないでください
- 清潔なガーゼで覆う:軟膏や民間療法のものは塗らずに受診します
- 指輪・腕時計を外す:あとから腫れてくることがあるため、早めに外します
病院で行うこと(治療)
受診すると、皮膚の傷の深さを確認するとともに、電気の通り道に応じて、心電図で不整脈がないかを確認したり、血液検査で筋肉の傷み具合を調べたりします。高い電圧の事故では入院して経過を見ることもあります。
皮膚の傷は、浅ければ塗り薬と被覆材で治療します。深い傷は治るまでに時間がかかり、傷あとが残ったり、指の動きに影響が出たりすることがあるため、形成外科と連携して手術を検討することもあります。口の端の傷は、治る途中でかさぶたが取れるときに、唇の動脈から出血することがあるため、事前に止血のしかたを説明されることがあります。
家庭での予防
- 使っていないコンセントにはコンセントカバーを付ける
- 電気コードを子どもの手や口が届く場所に垂らさない。かじった跡のあるコードは交換する
- 濡れた手でプラグに触らない。浴室・洗面所での電気製品の使い方に注意する
- 電気工事やコンセントの交換は、資格のある人に任せる
- 屋外で雷が鳴ったら、建物や車の中に避難する
よくある質問
Q. コンセントで一瞬ビリッとしましたが、傷もありません。病院に行くべきですか?
A. 家庭用の電圧で、一瞬だけ、傷もなく、その後も動悸・息苦しさ・意識の変化・しびれがなければ、多くは自宅で様子を見てよいとされています。ただし、妊娠中の方、心臓の病気がある方、胸のあたりを電気が通った可能性がある方は、症状がなくても受診して相談してください。
Q. 子どもが口の端をやけどしました。小さいので家で治していいですか?
A. コードをかんだ傷は、見た目より深いことがあり、治る途中で出血することもあるため、一度受診してください。受診先に迷うときは小児科でもかまいません。
受診の目安
- すぐに119番:意識がない・ぼんやりしている、呼吸がおかしい、胸の痛み・動悸、高い電圧・落雷による事故
- その日のうちに受診:皮膚に焦げたような傷・白く硬い傷がある、口の端の傷、手足のしびれや動かしにくさがある
- 迷ったとき:救急安心センター(#7119。実施している地域・時間帯は都道府県によって異なります)、子どもは子ども医療電話相談(#8000)に相談できます
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-11-02)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-11-02)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

