「子どもが家庭用のランニングマシンのベルトに手を挟まれた」「すべり台やカーペットで勢いよくこすって、ヒリヒリする赤い傷ができた」「綱引きのロープで手のひらの皮がむけた」。強い摩擦では、皮膚が削られると同時に摩擦熱でやけども起きています。普通のすり傷とどう違うのか、どう手当てすればよいかを説明します。
摩擦熱傷とは(普通のすり傷との違い)
皮膚が硬い面と強くこすれると、表面が削れるだけでなく、こすれた熱で皮膚の組織が傷みます。そのため、
- 見た目はすり傷でも、やけどのようにヒリヒリした強い痛みが出ます
- あとから水ぶくれができたり、傷が深くなって見えたりすることがあります
- 傷の表面に、こすった面の細かい汚れや繊維が入り込んでいることがあります
動いているベルト(ランニングマシン・ベルトコンベア)では、こすれる時間が長く、押し付ける力も強いため、見た目より深い傷になりやすいことが知られています。とくに小さな子どもの指や手のひらは皮膚が薄く、深いやけどになることがあります。
症状・深さの見分け方
| 深さ | 見た目 | 痛み | 治り方の目安 |
|---|---|---|---|
| 浅い | 赤い・表面が少しむけてにじむ | 強いヒリヒリ | 適切な手当てで1〜2週間ほど。跡は残りにくい |
| 中くらい | 水ぶくれ、皮がむけて赤〜ピンクの面がジクジクする | 強い | 2〜3週間ほど。色素沈着が残ることがある |
| 深い | 白っぽい・黄色っぽい・黒ずんだ硬い面、指が曲げにくい | 逆に痛みが少ない | 治るのに時間がかかり、跡やひきつれが残ることがある。受診が必要 |
「痛みが少ないから軽い」とは限らず、痛みが少ないのは神経まで傷んでいるサインのことがあります。
手当て(セルフケア)
- 流水で冷やしながら洗う:水道水を流しながら10〜20分ほど冷やします。同時に、傷についた汚れや砂を洗い流します。冷やしすぎて体が冷えないように、とくに子どもは注意します
- 汚れはしっかり落とす:汚れが残ると、感染したり、治ったあとに皮膚の中に色が残ったりします。取れない汚れが入り込んでいる場合は受診してください
- 乾かさずに覆う:ワセリンを塗ったガーゼや、傷を湿った状態に保つ被覆材で覆います。乾燥させてかさぶたを作るより、痛みが少なく、きれいに治りやすいとされています
- 水ぶくれは破らない:水ぶくれの膜は、傷を守る役割をします。自然に破れた場合は、膜をむかずに覆います
- 消毒液を繰り返し使わない:消毒液は傷を治す細胞も傷めるため、洗浄を中心にします
- 治ったあとは紫外線を避ける:赤みが残っている時期に日に当たると、茶色い跡(色素沈着)が残りやすくなります
病院で行う治療
受診すると、傷の深さを確認し、入り込んだ汚れを取り除き、傷の状態に合わせた塗り薬や被覆材で治療します。感染している場合は抗菌薬を使います。深い傷や、指の関節など動く場所の傷は、治る途中でひきつれ(拘縮)が起きないように経過をみる必要があり、形成外科と連携して治療することもあります。破傷風の予防接種の状況も確認します。
よくある質問
Q. 傷を乾かしてかさぶたにしたほうが早く治りますか?
A. 一般的には、乾かさずに湿った状態を保つほうが、新しい皮膚ができやすく、痛みも少ないとされています。ただし、赤く腫れる・膿が出る・臭いがするなど感染のサインがある場合は、覆ったままにせず受診してください。
Q. ランニングマシンでの事故を防ぐには?
A. 使わないときは電源を抜き、安全キーを外して子どもの手の届かない場所に保管します。使用中は子どもを近づけないようにします。わずかな時間でも事故は起こります。
受診の目安
- 子どもの手・指が動いているベルトに巻き込まれた
- 傷が白っぽい・黒っぽい、痛みが少ない、指が曲げにくい
- 傷が手のひらより広い、顔・関節・陰部の傷
- 砂や汚れが入り込んで取れない
- 赤みや腫れが広がる、膿が出る、熱が出る
- 2週間たっても治る気配がない
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-11-02)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-11-02)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

