老人性イボ(脂漏性角化症)とは?できる原因・ほくろやシミとの違いと取る方法

老人性イボ(脂漏性角化症)とは?できる原因・ほくろやシミとの違いと取る方法
DERMATOLOGY GUIDE | DERMATOLOGIC SURGERY
更新日: 2026年9月2日執筆: あび皮膚科クリニック編集部医師紹介

「シミだと思っていたら、だんだん盛り上がってきた」「首や胸に、茶色いブツブツが増えてきた」「触るとザラザラして、服に引っかかる」——中年以降に増えるこの変化は、多くの方が「老化のしるし」として受け止めていますが、正式には脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)という名前がついています。

目次

脂漏性角化症とは

皮膚のいちばん外側にある表皮の細胞が、限られた範囲でゆっくり増えることでできる良性の腫瘍です。名前に「脂漏性」とついていますが、皮脂の分泌が多いことが直接の原因というわけではなく、皮脂腺の多い部位(顔・頭・胸・背中)にできやすいことに由来します。

主な要因は加齢と、それまでに浴びてきた紫外線です。30代後半から出はじめ、年齢とともに数が増えていきます。体質的に多くできる方もいます。

よくある誤解として、ウイルス性のイボ(尋常性疣贅)とは別の病気です。人にうつることはなく、削って広がるという性質のものでもありません。

見た目の特徴と経過

  • はじめは平らな薄茶色の斑で、シミ(日光黒子)と区別がつきません
  • 時間とともに盛り上がり、表面がザラつくようになります
  • 色は肌色・茶色・黒に近い色までさまざま。数mmから2cm程度まで大きくなることがあります
  • 表面に細かい凹凸があり、「粘土を貼りつけたような」質感になることがあります
  • できやすい場所は顔(こめかみ・額)、頭皮、首、胸、背中。手のひら・足の裏にはできません
  • 基本的に痛みはありませんが、こすれて炎症を起こすとかゆみや赤みが出ます

ほくろ・シミ・悪性のものとの違い

状態 見た目 手がかり
脂漏性角化症 境界がはっきりし、ザラついて盛り上がる。色は均一なことが多い 中年以降に数が増える。表面に小さな穴のような点が見えることがある
シミ(日光黒子) 平らで盛り上がらない茶色の斑 脂漏性角化症の初期と区別が難しく、後に移行することがある
ほくろ(色素性母斑) 丸く、色が均一。表面はなめらかなことが多い 若い時期からあることが多い
ウイルス性のイボ ざらざらと硬く、点状の出血点が見えることがある 手足に多い。増える・広がることがある
基底細胞癌 黒く光沢のある結節。中央がへこむ・出血する 顔(特に鼻・目のまわり)に多い。要確認
メラノーマ 形が左右非対称、色にむらがある、境界がぼやける、大きくなる 短期間での変化は要確認

脂漏性角化症は良性ですが、黒く盛り上がったものは、見た目だけでは悪性の腫瘍と区別しきれないことがあります。皮膚科ではダーモスコピーという拡大鏡を使い、脂漏性角化症に特徴的な所見(角栓が詰まった点、脳のような溝など)を確認して判断します。判断が難しい場合は、組織を調べる検査が検討されます。

治療の選択肢

良性であるため、必ず取らなければならないものではありません。取る理由は、見た目が気になる、こすれて炎症を起こす、服やアクセサリーに引っかかるといった実際的なものが中心です。

  • 液体窒素による冷凍凝固 — 平たいものや小さいものに用いられます。数回の通院が必要になることがあり、色素沈着や色が抜けることがあります
  • 炭酸ガスレーザー — 盛り上がったものを削るように取る方法です。1回で処置できることが多い一方、赤みや色素沈着が数か月残ることがあります
  • 切除 — 大きいもの、悪性の可能性を否定できないものでは、組織検査を兼ねて切除が選ばれることがあります
  • 経過観察 — 症状がなく、変化もなければ、そのままでよい選択です

診断や部位、目的によって保険が適用される場合と自由診療になる場合があります。自由診療での費用は、大きさや個数によって1か所あたり数千円台から数万円台までと幅があります。いずれの方法でも、取ったあとに再発することや、別の場所に新しくできることがあります。

※美容目的で行う場合は自由診療です。費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。赤み・色素沈着・色が抜ける・傷あとが残るなどのリスクがあり、施術前に医師の説明を受けてください。

自分で取ろうとしてはいけない理由

  • 診断が確定していない — 悪性の腫瘍を削り取ってしまうと、判断に必要な情報が失われます
  • 傷あとが残る — 深く削れば瘢痕になり、元の状態より目立つことがあります
  • 感染のリスク — 削った面から細菌が入り、腫れと痛みを起こします
  • 市販のイボ用製品は目的が違う — ウイルス性のイボや角質を対象としたものが多く、顔に使うと刺激が強すぎることがあります

受診の目安

  • 急に大きくなった、短期間で色が濃くなった
  • 出血する、じくじくして治らない
  • 形が左右非対称、色にむらがある、境界がぼやけている
  • こすれて痛い・かゆい・炎症を繰り返す
  • 顔や首で見た目が気になり、取る方法を知りたい
  • 短期間に多数が急に出てきた(別の病態が関係することがあります)

脂漏性角化症そのものは急を要するものではありませんが、「昔からあるが最近変わってきた」ものは、変化そのものが確認の理由になります。あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しており、開業後は皮膚のできもののご相談にも対応する予定です。

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参考情報

本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

アマデアル亜琵医師(日本専門医機構認定 皮膚科専門医)

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