「洗っているのに肩にフケが落ちる」「夕方になると頭皮がかゆくてかいてしまう」「フケ用シャンプーを試したが変わらない」——頭皮は自分で見えないうえ、髪に隠れて他人にも見えないため、原因が分からないまま市販品を替え続けてしまいやすい場所です。頭皮は顔と同じ皮膚がつながったもので、皮脂腺が多く、汗もかきます。かゆみが出る仕組みも、顔の湿疹と大きくは変わりません。
頭皮のかゆみ・フケの主な原因
- 脂漏性皮膚炎 — 皮脂を好むマラセチアというカビ(真菌)が関わって起こる湿疹です。皮脂の多い場所(頭皮・生え際・鼻の脇・眉・耳のうしろ)に、黄色っぽく脂っぽいフケと赤みが出ます。慢性的で、良くなったり悪くなったりを繰り返します
- 頭皮の乾燥(皮脂欠乏) — 洗いすぎ・熱いお湯・空気の乾燥で皮脂が減り、白く細かい粉のようなフケとつっぱるようなかゆみが出ます。冬に増えます
- 接触皮膚炎(かぶれ) — シャンプー・トリートメント・整髪料・ヘアカラー剤・パーマ液が合わずに起こります。使い始めや変えた後に、赤み・強いかゆみ・ときに腫れが出ます。カラー剤による反応は、生え際や耳のうしろ、首すじに出ることがあります
- アトピー性皮膚炎 — もともと皮膚が乾燥しやすく、頭皮にも湿疹が出ることがあります
- 頭部白癬(しらくも) — 水虫と同じ白癬菌が頭皮につく状態です。円形の脱毛やフケを伴い、子どもや、動物と接触する機会が多い方に見られます。市販の湿疹薬では改善しません
- 乾癬 — 厚く銀白色のかさぶた状の皮疹が、生え際を越えて盛り上がるのが特徴です
- 物理的な刺激 — かき壊し、ブラシによるこすれ、帽子やヘルメットによる蒸れ・摩擦
フケと赤みで見分ける
| 状態 | フケの見た目 | そのほかの手がかり |
|---|---|---|
| 脂漏性皮膚炎 | 黄色っぽく、しっとり脂っぽい。かたまりで付く | 生え際・鼻の脇・眉にも赤み。季節や体調で波がある |
| 乾燥(皮脂欠乏) | 白く細かい粉状。パラパラ落ちる | 冬に悪化。洗った直後につっぱる |
| かぶれ | フケより赤み・ヒリつきが主 | 製品を変えた直後から。使用をやめると軽くなる |
| アトピー性皮膚炎 | 乾燥性のフケ | ひじ・ひざの内側など全身にも湿疹の既往 |
| 頭部白癬 | フケと共に脱毛斑 | 子どもに多い。ステロイドだけでは悪化することがある |
| 乾癬 | 厚く銀白色。はがれると点状出血 | 生え際からはみ出す。ひじ・ひざ・爪にも変化 |
ケアの順番と治療
原因が違えば、必要なケアも変わります。まずは共通して見直せることから整えます。
- お湯の温度をぬるめにする — 熱いお湯は皮脂を奪います。38度前後が目安です
- 爪を立てず、指の腹で洗う — かき洗いは湿疹を長引かせます。すすぎ残しも刺激になるため、洗う時間よりすすぐ時間を長くとります
- 洗う回数を原因に合わせる — 脂漏性皮膚炎では毎日きちんと洗うことが助けになりますが、乾燥が原因なら洗いすぎがかゆみを強めます。「一律に洗えばよい」わけではありません
- 新しい製品を一度に複数試さない — 合わないものが出たとき、原因が分からなくなります
- 乾かす — 濡れたままの放置は蒸れにつながります。熱風を長く当てすぎないようにします
医療機関での治療は原因により異なります。脂漏性皮膚炎では抗真菌薬の外用や、炎症が強い時期のステロイド外用が使われます。かぶれでは原因製品の中止が最も重要で、炎症に対して外用薬を用います。乾燥には保湿ローションが向きます。頭部白癬は内服の抗真菌薬が必要となることが多く、市販薬での対応は適しません。かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬の内服が併用されることがあります。
「フケ=洗い方が足りない」と考えて洗浄を強めると、乾燥やかぶれの場合はかえって悪化します。1〜2週間セルフケアを整えても変わらないときは、原因の切り分けを受けたほうが早く落ち着きます。
受診の目安
- 市販のシャンプーや薬を2週間ほど試しても改善しない・繰り返す
- かゆみで眠れない、かき壊してジュクジュクしている
- 抜け毛や脱毛斑を伴う
- 赤み・腫れ・浸出液があり、痛みや発熱を伴う(細菌感染の可能性)
- ヘアカラー後に顔やまぶたが腫れた — 強い反応が疑われるため、早めの受診が必要です。息苦しさや広範囲のじんましんを伴う場合は救急対応の判断が要ります(#7119 などの相談窓口も利用できます)
- 子どもの頭に円形のフケ・脱毛がある
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しており、開業後は頭皮の湿疹・フケ・かゆみの診察に対応する予定です。
よくある質問
Q. 長年使っているシャンプーやヘアカラーでも、急にかぶれることはありますか?
あります。以前は問題なく使えていた製品でも、繰り返し触れるうちに特定の成分にアレルギーが成立し、かぶれるようになることがあります。「最近は何も変えていないから、かぶれではない」とは言い切れません。
また、アレルギー性のかぶれは、使った直後ではなく翌日以降に目立つこともあります。使用後にかゆみを繰り返す場合は、製品名や成分表示の写真を持って皮膚科に相談してください。必要に応じて、原因を調べるパッチテストを検討します。
Q. 「無添加」「天然成分」のシャンプーなら、頭皮にやさしいですか?
その表示だけで、刺激やかぶれが起こりにくいとは判断できません。天然由来の成分や香料でも、かぶれることがあります。大切なのは、商品のイメージではなく、自分の頭皮に合っているかどうかです。
原因となる成分が共通していれば、別のブランドに替えても症状が続くことがあります。何本も買い替えているのに改善しない場合は、さらに商品を探すより、かぶれの原因がないか確認することをおすすめします。
Q. 頭皮の塗り薬が髪についてしまいます。どう塗ればよいですか?
髪の表面ではなく、症状のある頭皮に薬を届けることが大切です。髪を少しずつ分け、地肌が見える状態にしてから、処方された量を患部に塗ります。髪全体を濡らすように大量につけたり、強くすり込んだりする必要はありません。
洗い流さないタイプの頭皮用ローションは、洗髪後であれば髪と頭皮を乾かしてから使うものが一般的です。アルコールを含む製剤などでは、塗った直後のドライヤーや火気を避ける必要があります。薬によって使い方が異なるため、処方時の説明に従ってください。
Q. 薬をやめるとまたかゆくなります。ずっと同じ薬を塗り続けるしかないのでしょうか?
必ずしも、同じ薬を毎日使い続ける必要があるわけではありません。脂漏性皮膚炎のように繰り返しやすい病気では、「悪化した炎症を抑える治療」と「落ち着いた状態を保つ治療」を分けて考えます。
例えば、炎症が治まった後は、医師の判断でステロイドの使用回数を減らし、抗真菌薬や適切な洗髪などで再発を抑えることがあります。一方、原因となる製品を使い続けているかぶれでは、塗り薬だけで解決するのは難しくなります。
Q. 赤みやフケはあまりないのに、頭皮がかゆいです。ストレスでしょうか?
見た目の変化が少ないからといって、ストレスだけが原因とは限りません。髪に隠れて軽い湿疹や乾燥を見落としている場合もあれば、皮膚の炎症ではなく神経の働きが関係するかゆみもあります。
Q. フケのような白い粒が髪にくっついて、なかなか取れません。これもフケですか?
フケ以外に、アタマジラミの卵などが付着している可能性があります。フケは比較的はらい落としやすいのに対し、シラミの卵は髪の毛にしっかり付着し、軽く触った程度では取れにくいのが特徴です。耳の後ろや、えり足付近も確認する手がかりになります。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A(一覧)(確認日: 2026-09-01)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン・指針一覧(確認日: 2026-09-01)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

