女性の薄毛(FPHL)とは?男性のAGAとの違い・ミノキシジルの外用と内服・治療前に確かめたいこと

女性の薄毛(FPHL)とは?男性のAGAとの違い・ミノキシジルの外用と内服・治療前に確かめたいこと
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更新日: 2026年10月5日執筆: あび皮膚科クリニック編集部監修: アマデアル亜琵医師(日本専門医機構認定 皮膚科専門医)医師紹介

女性の薄毛は、髪が細くなるFPHL(女性型脱毛症)だけでなく、産後の脱毛、鉄欠乏、甲状腺の病気など、さまざまな原因で起こります。

「分け目が広がってきた」「結んだときの毛束が細くなった」「以前より地肌が透ける」。女性の薄毛は、抜け毛が急に増えるだけでなく、1本1本の髪が細くなり、全体のボリュームが減ることで気づくこともあります。

ただし、女性の薄毛がすべて同じ病気というわけではありません。育毛剤やサプリメントを増やす前に、どのタイプの脱毛なのか、治療すべき原因が隠れていないかを確認することが大切です。

目次

女性の薄毛(FPHL)とは?

FPHL(Female Pattern Hair Loss: 女性型脱毛症)は、髪をつくる毛包が徐々に小さくなり、太く長い毛が細く短い毛に置き換わっていく脱毛症です。髪の成長期が短くなることなども関係し、頭頂部や分け目を中心に少しずつボリュームが低下します。

典型的には、前頭部の生え際は比較的保たれながら、

  • 分け目が広くなる
  • 頭頂部の地肌が透ける
  • 髪のボリュームが減る
  • 結んだときの毛束が細くなる

といった変化がみられます。「抜け毛の本数はそれほど増えていないのに、髪が薄くなった」と感じる方もいます。

加齢、遺伝、ホルモン環境など複数の要因が関係すると考えられていますが、原因は一つではありません。閉経前後に目立ってくる方もいますが、若い年代でも起こります。そのため、「女性ホルモンが減ったから」「男性ホルモンが多いから」と一律に説明できる病気ではありません。

以前は女性の薄毛を「FAGA(女性男性型脱毛症)」と呼ぶこともありましたが、男性のAGAとは病態やホルモンの関与が異なることから、現在ではあまり使われません。また、産後の脱毛、鉄欠乏による脱毛、円形脱毛症などとは区別して考える必要があります。

男性のAGAとの違い

項目 女性型脱毛症(FPHL) 男性のAGA
目立ちやすい場所 頭頂部や分け目を中心に薄くなる 額の生え際や頭頂部から進行する
生え際 比較的保たれることが多い 後退することが多い
ホルモンとの関係 男性ホルモンだけでは説明できず複数の要因が関与 遺伝的素因と男性ホルモンの作用が重要
国内で承認された主な薬物治療 女性用ミノキシジル外用薬 ミノキシジル外用薬、フィナステリド・デュタステリド内服薬
ミノキシジル内服 国内未承認 国内未承認

男性のAGA治療を、そのまま女性に当てはめることはできません。特に妊娠中、妊娠の可能性がある方、妊娠を希望している方では、薬の選択に十分な注意が必要です。

FPHL以外にもある女性の薄毛・抜け毛の原因

女性の薄毛を診察するときに大切なのは、最初から「FPHLだろう」と決めつけないことです。FPHLと別の原因が重なっていることもあります。

原因・病気 特徴
休止期脱毛 出産、高熱、手術、急激な減量、強いストレスなどの数か月後に、頭全体の抜け毛が増えることがある
鉄欠乏・栄養不足 月経量が多い、極端な食事制限をしている、食事量が少ない方などでみられる。貧血がなくても鉄の蓄えが少ない場合がある
甲状腺疾患 抜け毛のほか、疲れやすさ、体重変化、寒がり、動悸などを伴うことがある
円形脱毛症 円形・楕円形に抜けるだけでなく、頭全体の毛が減るタイプもある
牽引性脱毛症 強く結ぶ髪型やエクステなどで、同じ場所の毛が長期間引っ張られて起こる
頭皮の炎症・感染症 赤み、かゆみ、フケ、膿などを伴う。脂漏性皮膚炎や頭部白癬などが原因になることがある
瘢痕性脱毛症 炎症によって毛包が壊れる脱毛症。毛穴が目立たなくなり、進行すると発毛が難しくなることがある

服用している薬が脱毛に関係する場合もあります。受診するときには、処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントについても伝えてください。ただし、脱毛が気になるからといって必要な薬を自己判断で中止することは避けましょう。

診察では何を確認する?採血は必要?

診察では、

  • いつから薄くなったか
  • 急に抜けたのか、徐々に薄くなったのか
  • どの場所から始まったか
  • 出産、発熱、手術、ダイエットなどのきっかけがなかったか
  • 月経の状態
  • 服用している薬
  • 家族に薄毛の人がいるか

などを確認します。頭皮の状態や毛の太さ、脱毛の分布も診察します。必要に応じてダーモスコピーという拡大鏡を使用し、毛の太さのばらつき、細い毛の増加、毛穴の状態などを観察します。

採血は全員に必要?

全員に同じ採血を行うわけではありません。例えば、月経量が多い方や食事制限をしている方では、血算やフェリチンなどを調べ、貧血や鉄欠乏がないか確認することがあります。フェリチンは体内に蓄えられている鉄の指標です。

ただし、フェリチンの数値だけで脱毛の原因を決めたり、自己判断で特定の数値を目標に鉄剤やサプリメントを飲んだりすることはおすすめしません。

甲状腺疾患が疑われる場合には甲状腺機能を、生理不順や多毛などがある場合には、症状に応じてホルモン異常の有無を調べることがあります。診断が難しい場合には、頭皮の一部を採取して病理検査を行うこともあります。

女性型脱毛症(FPHL)の治療

ミノキシジル外用

FPHLでは、ミノキシジル外用がエビデンスのある基本的な治療です。ミノキシジルは毛の成長を促し、細くなった毛を太くすることで、薄毛の改善を目指します。

日本では成人女性向けにミノキシジル1%外用薬が承認されています。代表的な製剤では1回1mLを1日2回使用しますが、実際には使用する製品の添付文書や医師・薬剤師の指示に従ってください。濃度や量を自己判断で増やしても、それに比例して効果が高くなるわけではありません。

副作用として、

  • 頭皮のかゆみ
  • 赤み
  • かぶれ
  • 顔などの産毛が増える
  • 初期脱毛

といった症状がみられることがあります。妊娠中、妊娠の可能性がある方、授乳中の方は使用を避けます。妊娠を希望している場合も、開始・継続について医師に相談してください。

ミノキシジル内服

ミノキシジルを低用量で内服する治療も、国内外の実臨床で行われています。外用薬を毎日続けることが難しい場合や、外用だけでは十分な改善が得られない場合などに、医師が治療の選択肢として検討することがあります。

ただし、ここは重要です。ミノキシジル内服は、日本では脱毛症治療薬として承認されていません。

一方、低用量ミノキシジル内服に関する研究は蓄積しており、2025年には脱毛症に対する低用量ミノキシジル内服について、国際的な専門家によるコンセンサスも公表されています。つまり、国内未承認だから、実際にはまったく使われていない薬ではありません。一方で、国内で有効性・安全性が確認され、脱毛症治療薬として承認された標準治療とも異なります。新しい研究や海外の専門家によるコンセンサスが出ていることと、日本国内で承認されていることは分けて考える必要があります。

ミノキシジル内服の副作用

主な副作用として、

  • 顔や体の毛が増える多毛
  • 初期脱毛
  • むくみ
  • 動悸
  • 頻脈
  • めまい
  • 血圧低下
  • 頭痛

などがあります。また、内服ミノキシジルには心嚢液貯留などの重大な循環器系副作用も知られています。脱毛症では低用量で使用されることが多いものの、「低用量だから絶対に安全」というわけではありません。

使用前には、

  • 心疾患の有無
  • 腎疾患の有無
  • むくみの有無
  • 併用している薬

などを確認します。必要に応じて採血や心電図などを検討します。妊娠中、妊娠の可能性がある方、授乳中の方には使用しません。

服用中に胸痛、息苦しさ、失神などが出た場合には、服用を中止して速やかに医療機関を受診してください。急な体重増加や明らかなむくみが出た場合も、次回の定期受診まで待たずに相談してください。

ミノキシジル内服は、「塗るより楽だから」という理由だけで選ぶ薬ではありません。期待できる効果だけでなく、国内未承認であることや副作用について理解し、医師の管理下で使用することが大切です。個人輸入、他人に処方された薬の使用、自己判断での増量は避けてください。

鉄欠乏や甲状腺疾患があれば、その治療も行う

鉄欠乏、甲状腺疾患、頭皮の炎症などが脱毛に関係している場合には、その原因に対する治療が必要です。FPHLと他の原因が併存している場合には、両方を治療します。

鉄や亜鉛などの補充は、不足が確認された場合に検討するものです。不足していない栄養素を大量に摂取しても、それだけで髪が増えるわけではありません。むしろ過剰摂取によって健康被害が起こることもあります。サプリメントを薄毛治療の中心にするのではなく、不足があるかを確認したうえで必要なものを補うことが大切です。

フィナステリド・デュタステリドは女性の標準治療ではない

男性のAGA治療に使用されるフィナステリドやデュタステリドは、日本では女性の薄毛治療薬として承認されていません。日本皮膚科学会のガイドラインでも、女性への投与は推奨されていません。特に妊娠中には、男性胎児の外性器の発育に影響する可能性があります。「男性に効くなら女性にも効くのでは」と自己判断で服用する薬ではありません。

治療効果はいつ判断する?

髪にはヘアサイクルがあるため、治療を開始して数週間で効果を判断することはできません。国内の女性用ミノキシジル1%外用薬では、効果を確認するために少なくとも6か月程度継続することが目安とされています。ただし、副作用が出ているのに「6か月までは我慢しなければいけない」という意味ではありません。

治療開始後に、一時的に抜け毛が増えたと感じることもあります。いわゆる「初期脱毛」と呼ばれるものですが、すべての人に起こるわけではありません。

治療経過をみるときには、同じ照明、同じ角度、同じ分け目、同じ髪の乾き具合で写真を撮っておくと比較しやすくなります。毎日の抜け毛の本数だけではなく、

  • 毛の太さ
  • 分け目の幅
  • 地肌の見え方
  • 薄毛の進行が抑えられているか

などを含めて評価します。

治療をやめるとどうなる?

FPHLは、一定期間薬を使えば完治し、その後は何もしなくても髪が維持される病気ではありません。ミノキシジルによって改善した毛髪も、治療を中止すると徐々に効果が失われていく可能性があります。

そのため治療を開始するときには、

  • どの程度の改善を目指すのか
  • 毎日続けられる治療なのか
  • 費用を継続して負担できるか
  • 副作用とのバランスをどう考えるか

まで含めて治療方法を選ぶことが大切です。

日常生活で気をつけること

極端な食事制限は避け、たんぱく質を含めたバランスのよい食事をとりましょう。髪を強く引っ張るポニーテールやエクステなどを長期間続けることも避けた方がよいでしょう。頭皮にかゆみ、赤み、フケなどがある場合には、そのまま放置せず治療することも大切です。

一方で、生活習慣を改善するだけでFPHLそのものが治るわけではありません。薄毛を「生活習慣が悪いから」「自分のケアが足りないから」と考える必要はありません。また、「髪によい」とされる食品やサプリメントを大量に摂取する必要もありません。特定の栄養素が不足している場合には補充する意味がありますが、不足していない人が大量に摂取しても発毛効果が高くなるとは限りません。

治療費と保険診療について

FPHLに対する発毛治療は、原則として自由診療です。一方で、鉄欠乏、甲状腺疾患、円形脱毛症、頭皮の皮膚疾患など、薄毛の原因となる病気が疑われる場合には、その診察や検査、治療が保険診療の対象となることがあります。「薄毛で受診する=最初からすべて自由診療」というわけではありません。

受診の目安

薄毛が気になった時点で相談して構いません。「半年以上続かなければ受診できない」ということはありません。特に、次のような場合には早めの診察をおすすめします。

  • 短期間で抜け毛が急激に増えた
  • 円形やまだらに毛が抜けている
  • 眉毛やまつ毛も抜けてきた
  • 頭皮に赤みや痛みがある
  • 膿やかさぶたがある
  • 毛穴が目立たなくなっている部分がある
  • 月経量が非常に多い
  • 生理不順がある
  • 強い疲労感がある
  • 急激な体重変化がある
  • 市販の育毛剤でかぶれた
  • 治療を続けても急速に悪化している
  • 妊娠や授乳に合わせて治療を見直したい

急速に進行する脱毛や、頭皮の炎症・痛みを伴う脱毛では、一般的なFPHLとは異なる病気が隠れていることがあります。

よくある質問

Q. 抜け毛が多いので、シャンプーの回数を減らした方がいいですか?

洗髪を減らしても、すでに抜ける時期を迎えた毛を頭皮にとどめておくことはできません。頭皮の皮脂や乾燥の程度に合わせて、無理のない頻度で洗ってください。シャンプーの回数そのものよりも、爪を立てて強くこすったり、髪を強く引っ張ったりしないことの方が重要です。

Q. 白髪染めやヘアカラーはやめた方がいいですか?

薄毛があるという理由だけで、一律にやめる必要はありません。ただし、頻繁なブリーチなどによって毛そのものが傷むと、切れ毛が増えて全体のボリュームが少なく見えることがあります。また、ヘアカラーの後に頭皮の赤みやかゆみが出る場合には、接触皮膚炎(かぶれ)の可能性があります。特に、カラーのたびに症状が強くなっている場合は、そのまま繰り返さず皮膚科を受診してください。

Q. ミノキシジルを使い忘れたら、次に2回分使えばいいですか?

使い忘れた分を補うために、次回に2回分をまとめて使用することはおすすめしません。外用でも内服でも、量を増やせば使い忘れた分の効果を取り戻せるわけではなく、副作用のリスクが高くなる可能性があります。通常の使用方法に戻してください。使い忘れが多い場合には、無理なく継続できる治療方法を相談しましょう。

Q. ミノキシジル外用と内服では、内服の方が効きますか?

低用量ミノキシジル内服の有効性を示す研究は増えていますが、「内服の方が必ず優れている」と単純に考えるべきではありません。外用薬には国内で承認された治療という利点があり、内服には毎日頭皮へ塗布する必要がないという利便性があります。一方、内服では多毛、むくみ、動悸など全身性の副作用を考慮する必要があります。効果だけではなく、安全性、持病、妊娠の可能性、外用を継続できるかなどを含めて選択します。

Q. 妊活を始める予定ですが、ミノキシジルは続けられますか?

妊娠中や妊娠の可能性がある場合には、ミノキシジル外用・内服ともに避ける必要があります。妊娠を希望している場合には、自己判断で治療を続けたり中止したりするのではなく、妊活を始める時期も含めて事前に医師へ相談してください。

Q. 産後に急に髪が抜けました。FPHLですか?

産後数か月してから急に抜け毛が増える場合には、分娩後脱毛症(産後の休止期脱毛)が考えられます。多くの場合は時間の経過とともに改善します。ただし、もともとFPHLがあり、産後の脱毛をきっかけに薄毛が目立つようになることもあります。長期間改善しない場合や、分け目を中心とした薄毛が残る場合には、一度診察を受けるとよいでしょう。

Q. 育毛シャンプーでFPHLは治りますか?

シャンプーは頭皮や毛髪を清潔に保つためのもので、FPHLの原因である毛包のミニチュア化を治療するものではありません。頭皮の状態に合ったシャンプーを選ぶことは大切ですが、「発毛シャンプーだけでFPHLを治す」という考え方はおすすめしません。

Q. ウィッグやヘアピースを使うと薄毛が悪化しますか?

通常の使用でFPHLそのものが悪化するわけではありません。薄毛を目立ちにくくし、日常生活での心理的な負担を軽減する方法として利用できます。ただし、固定用のクリップなどで毎日同じ場所を強く引っ張ると、牽引性脱毛症の原因になることがあります。装着部に痛みや赤みが出る場合には、固定方法や製品を見直してください。

※ミノキシジルの内服は、日本では脱毛症治療薬として承認されていません(国内未承認)。

関連ページ

参考情報

  • 眞鍋求ほか「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」日本皮膚科学会雑誌 2017;127(13):2763-2777
  • 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A(脱毛症)(確認日: 2026-10-05)
  • Akiska YM, et al. Low-Dose Oral Minoxidil Initiation for Patients With Hair Loss: An International Modified Delphi Consensus Statement. JAMA Dermatol. 2025;161(1):87-95
  • Vañó-Galván S, et al. Safety of low-dose oral minoxidil for hair loss: A multicenter study of 1404 patients. J Am Acad Dermatol. 2021;84(6):1644-1651
  • Ramos PM, et al. Minoxidil 1 mg oral versus minoxidil 5% topical solution for the treatment of female-pattern hair loss: A randomized clinical trial. J Am Acad Dermatol. 2020;82(1):252-253
  • 大正製薬 リアップリジェンヌ 添付文書・製品情報
  • Pfizer. LONITEN (minoxidil tablets) Prescribing Information
  • American Academy of Dermatology: Thinning hair and hair loss / Hair loss: Diagnosis and treatment

本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

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