「かぜで抗菌薬をもらって2日後、首やワキから赤くなり、細かい白いブツブツが一気に広がった」。見た目の変化が大きいため、驚いて受診される方が多い病気です。原因の薬をやめれば、多くは2週間ほどで落ち着きますが、早く見つけて原因を確かめることが大切です。
急性汎発性発疹性膿疱症とは(仕組み)
名前を分けると、急に(急性)、全身に(汎発性)、膿のブツブツ(膿疱)が出る発疹、という意味です。英語の頭文字からAGEP(エージェップ)と呼ばれます。
多くは薬に対する体の過剰な反応で起こります。白い膿のように見えますが、中身は細菌ではなく、体の免疫の細胞が集まったものです。そのため、細菌による「とびひ」などとは違い、人にうつることはありません。
原因になりやすいのは、抗菌薬(特にペニシリン系などの抗生物質)や、一部の飲み薬です。薬を飲み始めてから発症までが数時間〜数日と短いのが特徴で、飲み始めてから数週間たって起こる薬疹とは時期が違います。
症状・見分け
典型的な経過の順に並べます。
- 発熱: 38℃以上の熱が出ることが多い
- 赤み: 首、ワキ、足の付け根などのしわの部分から赤くなり、全身に広がる
- 小さな膿のブツブツ: 赤くなった肌の上に、針の先〜1mmほどの白い粒がびっしりと出る
- 皮むけ: 1〜2週間ほどで、粒が乾いて皮が細かくむけて治っていく
| 病気 | 薬を飲み始めてから | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| AGEP | 数時間〜数日 | 赤い肌の上に小さな膿のブツブツが無数。しわの部分から始まりやすい |
| よくある薬疹(播種状紅斑丘疹型) | 1〜2週間ごろ | 赤い斑点やブツブツが全身に。膿はない |
| スティーブンス・ジョンソン症候群など | 数日〜数週間 | 唇・目・口の中のただれ、水ぶくれ、皮膚がむける。緊急性が高い |
| 膿疱性乾癬 | 薬と関係ないことが多い | 乾癬の持病がある方に多い。くり返す |
唇や目の充血、口の中のただれ、皮膚がめくれるような症状がある場合は、さらに重い薬疹の可能性があります。この場合は夜間・休日でも救急を受診してください(関連記事: スティーブンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症)。
治療
いちばん大切なのは、原因と思われる薬をやめることです。そのうえで、皮膚の炎症を抑えるステロイドの塗り薬を使い、熱やかゆみを和らげます。症状が強い場合や、全身の状態が悪い場合は、入院してステロイドの飲み薬や点滴を使うこともあります。
ただし、持病の薬を自分の判断で一度に全部やめるのは危険なことがあります。どの薬が原因として疑わしいかを医師が判断し、必要な薬は別の種類に置き換えます。受診するときは、この1〜2週間で飲んだ薬をすべて(市販薬・サプリメントも含めて)、お薬手帳や薬そのものを持参して伝えてください。
膿のブツブツは潰さないでください。中身は細菌ではありませんが、皮膚が傷ついて本当の細菌感染を起こすことがあります。
受診の目安
次のような場合は、その日のうちに受診してください。
- 新しい薬を飲み始めてから数日以内に、全身が赤くなってきた
- 赤い肌の上に、小さな白いブツブツがたくさん出てきた
- 発疹と一緒に熱が出ている
次の症状があるときは、夜間・休日でも救急を受診してください。迷ったら救急安心センター(#7119)に相談できます。
- 唇・目・口の中・陰部のただれや強い充血
- 水ぶくれや、皮膚がめくれるような症状
- 息苦しさ、ぐったりして水分がとれない
診察室でよく聞かれる質問
原因の薬は、またいつか飲んでも大丈夫ですか?
同じ薬をもう一度飲むと、同じ症状がくり返し起こることがあります。原因と考えられる薬の名前は記録し、お薬手帳に書いておいてください。ほかの医療機関や薬局でも必ず伝えるようにしましょう。
跡は残りますか?
多くは皮がむけたあと、きれいに治ります。一時的に赤みや色むらが残ることがありますが、時間とともに目立たなくなっていきます。
薬を飲んでいないのに出ることはありますか?
まれに、感染症などをきっかけに起こることもあります。薬に心当たりがなくても、似た症状が出たときは受診してください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-15)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-15)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

