「AGAの薬を飲んでいるけれど、献血しても大丈夫?」「湿疹の塗り薬を使っているけれど、献血できる?」。献血の前に、皮膚科で使っている薬について確認したいという相談はよくあります。献血と薬の関係の考え方と、とくに注意が必要な皮膚科の薬をまとめます。
献血で薬が問題になる仕組み
献血された血液は、手術や病気の治療を受ける方に輸血されます。献血する方が飲んでいる薬の成分は血液の中にも含まれるため、受け取る方に影響が出るおそれのある薬を使っている間は、献血を控えることになっています。とくに注意されているのは、妊娠中の方が輸血を受けたときに、おなかの赤ちゃんに影響が出るおそれのある薬です。
また、薬の種類によっては、薬そのものよりも「その薬を使う理由になっている病気や体調」のために、献血を見送ることがあります。たとえば、細菌感染症で抗菌薬を飲んでいる間は、感染症が治っていないと考えられるため、献血は控えることになります。
皮膚科の主な薬と献血の考え方
| 薬の種類 | 主な使い道 | 献血の考え方 |
|---|---|---|
| フィナステリド(飲み薬) | AGA(男性型脱毛症) | 飲んでいる間と、やめた後の一定期間は献血できない |
| デュタステリド(飲み薬) | AGA(男性型脱毛症) | 体に長く残るため、やめた後も比較的長い期間献血できない |
| エトレチナート(飲み薬) | 乾癬、角化症など | やめた後も長い期間献血できない |
| 抗菌薬(飲み薬) | とびひ、ニキビ、化膿したできものなど | 飲んでいる間は献血を控える |
| 抗アレルギー薬(飲み薬) | じんましん、湿疹のかゆみ、花粉症 | 多くの場合は献血できる(体調も含めて問診で判断) |
| 塗り薬(ステロイド、保湿剤など) | 湿疹、アトピー性皮膚炎など | 多くの場合は献血できる(皮膚の状態によっては見送り) |
具体的に何日・何か月献血できないかは、薬ごとに日本赤十字社が定めており、見直されることもあります。この表は考え方の目安として、実際の期間は献血会場や日本赤十字社の案内で確認してください。
なお、重いニキビに海外で使われるイソトレチノインの飲み薬は国内未承認の薬で、妊娠中の赤ちゃんへの影響が大きいことから、使用中や中止後しばらくは献血できない薬として扱われています。個人輸入などで使っている方は、問診で必ず申し出てください。同じく、ミノキシジルの内服薬(国内未承認)を使っている方も、問診で薬の名前を伝えてください。
皮膚の状態で献血を見送ることもある
薬だけでなく、皮膚の状態によっても献血を見送ることがあります。針を刺す腕の内側に湿疹やただれ、化膿があると、そこから細菌が入るおそれがあるためです。また、ピアスの穴あけや、タトゥー・アートメイクを入れてから一定期間は、感染症の可能性を考えて献血できないことになっています。
治療中の方が気をつけたいこと
- 献血のために、自己判断で薬をやめない。AGAの薬は中断すると効果が戻ってしまいますし、乾癬やじんましんの薬をやめると症状が悪化することがあります。献血のために休薬したい場合は、主治医と相談してください。
- 薬の名前は、商品名と成分名の両方が分かると確実。お薬手帳や薬の説明書を持参すると、問診がスムーズです。
- オンライン診療や個人輸入の薬も、同じように申告する。病院で処方された薬でなくても、成分が同じなら扱いは同じです。
診察室でよく聞かれる質問
Q. AGAの塗り薬(ミノキシジル外用)でも献血できませんか?
A. ミノキシジルの外用薬(塗り薬)は、飲み薬のフィナステリドやデュタステリドとは扱いが異なります。ただし、塗り薬と飲み薬を併用している方は、飲み薬のほうの扱いに従うことになるので、両方とも申告してください。
Q. 献血のあと、皮膚科の薬を再開していいですか?
A. 献血を終えたあとであれば、いつもどおり再開してかまいません。気になる場合は、処方した医師に確認してください。
Q. 献血会場で断られました。皮膚の病気が悪いということですか?
A. 献血を見送る理由は、受け取る方の安全のための基準であって、献血する方の病気が重いという意味ではありません。治療を続けて、条件を満たしてから改めて献血していただければ大丈夫です。
受診・相談の目安
- 献血したいので、今の薬を休めるか知りたい(主治医に相談)
- 飲んでいる薬の成分名が分からない
- 献血のあと、針を刺したところが赤く腫れる、痛みが強くなる
- 腕の内側の湿疹やただれがなかなか治らない
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-25)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 脱毛症(確認日: 2026-10-25)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-25)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

