「両腕の外側だけがかゆくて、掻いても掻いても治まらない」「かゆいというより、ピリピリ・チクチクする」「保冷剤を当てると楽になる」。湿疹もないのにこうした症状が続く方の中に、この病気が隠れています。あまり知られていませんが、ゴルフや農作業など屋外で過ごす時間が長い中高年の方に見られます。
腕橈骨部そう痒症とは(仕組み)
皮膚そのものの病気というより、かゆみを伝える神経が過敏になって起こるかゆみです。原因として、次の2つが重なると考えられています。
- 日光(紫外線)の影響: 長年日光を浴びてきた腕の皮膚で、細い神経が傷つき、過敏になります。夏の終わりから秋にかけて悪化しやすいのが特徴です
- 首の骨(頸椎)まわりの変化: 加齢による首の骨の変形などで、腕へ向かう神経の根元が刺激されることがあります
背中の肩甲骨の内側がかゆくなる「背部錯感覚症(ノタルギア)」も、同じような神経のかゆみの仲間です。
症状・見分け
典型的な症状は次のとおりです。
- 腕の外側(とくにひじ周り)が、片側または両側でかゆい
- かゆみに加えて、ピリピリ・チクチク・焼けるような感じがある
- 見た目の変化は少なく、あっても掻いた跡や色素沈着程度
- 冷やすと楽になる(保冷剤を当てたくなる、という方が多い)
| 考えられるもの | 見た目 | ポイント |
|---|---|---|
| 腕橈骨部そう痒症 | ほとんど変化なし | 腕の外側に限られる。冷やすと楽。屋外活動が多い |
| 乾燥によるかゆみ(皮脂欠乏) | 粉をふく、カサカサ | すね・腰などにも出る。保湿で良くなる |
| 湿疹・かぶれ | 赤み、ブツブツ | 袖・時計・薬などの接触物と関係 |
| 日光によるかぶれ(光線過敏) | 日光が当たった部分が赤くなる | 薬や化粧品が関係することも |
見た目に変化がないかゆみは、内臓の病気や薬が原因のこともあります。腕以外もかゆい場合は、そちらも確認します。
治療・セルフケア
神経のかゆみなので、一般的なかゆみ止めの飲み薬(抗ヒスタミン薬)は効きにくいことが多いのが特徴です。次の対処を組み合わせます。
- 冷やす: 保冷剤をタオルで包んで当てると、かゆみの神経が落ち着きます。冷感のあるメントール配合の外用も助けになります
- 日光を避ける: 長袖・アームカバー・日焼け止めで腕の外側を守ります。屋外活動の多い季節は特に大切です
- 神経に働く塗り薬・飲み薬: 皮膚科では、かゆみの神経を鎮める塗り薬や、神経の痛み・しびれに使う飲み薬を検討することがあります
- 首の状態の確認: 首や肩のこり、腕のしびれもある場合は、整形外科で首の骨を確認すると原因が分かることがあります
ステロイドの塗り薬は、掻き壊しで湿疹になった部分には使いますが、もとの神経のかゆみには効きにくいことを知っておいてください。「掻かない」ではなく「冷やして代わりにする」と考えると続けやすくなります。
受診の目安
- 腕のかゆみが数週間続き、市販のかゆみ止めが効かない
- 掻き壊して、ただれや色素沈着ができている
- 腕のしびれ、力が入りにくい、首の痛みもある(整形外科の受診も検討)
- 腕以外の場所もかゆい、体重減少や体のだるさがある
診察室でよく聞かれる質問
なぜ秋になるとひどくなるのですか?
夏の間に浴びた紫外線の影響が、少し遅れて神経の過敏さとして出ると考えられています。夏の日焼け対策が、秋のかゆみ予防になります。
お風呂で温まると悪化します
温まると神経のかゆみは強くなりやすいです。熱いお湯は避けてぬるめにし、入浴後に腕を冷やすと楽になります。
治りますか?
日光を避け、冷やす工夫を続けることで、多くの方はかゆみが落ち着いていきます。季節によって波があるので、悪化しやすい時期に合わせて対策を強めましょう。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-08)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-08)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

