「すねが赤くなって、ばい菌が入ったのかと心配」「抗菌薬を飲んでも赤みが引かない」「むくみがあって、足首のあたりがずっと茶色い」。すねの赤みは、高齢の方を中心にとても多い相談です。感染による蜂窩織炎と、血液の流れの滞りによるうっ滞性皮膚炎は、見た目が似ているのに治療が違うため、見分けが大切です。
それぞれの仕組み
蜂窩織炎は、皮膚の深いところから皮下の脂肪まで細菌が入って広がる感染症です。水虫や小さな傷、虫刺されをかいた傷などが入り口になります。
うっ滞性皮膚炎は、足の静脈の弁がうまく働かなくなり(下肢静脈瘤など)、血液が足に滞ってむくみが続くことで起こる湿疹です。立ち仕事の多い方、静脈瘤のある方、心臓や腎臓の病気でむくみやすい方に多くみられます。感染ではないので、抗菌薬では良くなりません。
症状・見分け
| 見るところ | 蜂窩織炎 | うっ滞性皮膚炎 |
|---|---|---|
| 左右 | ほとんどが片足だけ | 両足に出ることが多い(左右差はあってよい) |
| 始まり方 | 1〜2日で急に広がる | 何週間〜何か月もかけてゆっくり |
| 痛み・熱感 | 触ると熱く、強く痛む | 痛みは軽い。かゆみが主 |
| 全身の症状 | 熱・寒気・だるさが出ることがある | ないことが多い |
| 皮膚の色 | 鮮やかな赤 | 赤み+茶色っぽい色素沈着、カサカサ・ジクジク |
| そのほか | 入り口になる傷・水虫があることが多い | むくみ、浮き出た血管、すねの皮膚が硬くなる |
注意したいのは、うっ滞性皮膚炎がある足に、あとから蜂窩織炎が重なることがある点です。むくんだ皮膚は傷つきやすく、感染の入り口にもなるためです。「いつもの赤み」と比べて急に熱く痛くなったら、感染が重なったサインかもしれません。
ほかに、湿布やかゆみ止めによるかぶれ、乾燥による湿疹、血栓(深部静脈血栓症)でふくらはぎが腫れて痛むことなども、すねの赤みの原因になります。
治療・セルフケア
蜂窩織炎の治療は抗菌薬です。軽ければ飲み薬で、熱が高い・範囲が広い場合は点滴や入院が必要になることもあります。足を心臓より高くして安静にすると、腫れが引きやすくなります。再発を防ぐため、入り口になった水虫や傷も一緒に治します。
うっ滞性皮膚炎の治療は、湿疹に対するステロイドの塗り薬と保湿、そして根本にあるむくみへの対策です。
- 弾性ストッキングや包帯での圧迫: 血液が足にたまるのを防ぐ、もっとも大切な治療
- 座っているときや寝るときに足を少し高くする
- ふくらはぎを動かす(歩く、つま先の上げ下げ)。ふくらはぎの筋肉は血液を押し戻すポンプの役割をしている
- 静脈瘤がある場合は、血管の治療を専門の科と相談する
うっ滞性皮膚炎は、塗り薬だけでは良くなってもくり返しやすい病気です。理由は、むくみという原因が残っていると、また同じ場所に湿疹ができるためです。圧迫を続けることが、再発を減らす近道になります。
受診の目安
- 片足が急に赤く腫れ、熱く痛む(当日受診)
- 熱・寒気がある、赤みが数時間で広がる(すぐに受診)
- 見た目より痛みがとても強い、皮膚が紫や黒っぽくなってきた、水ぶくれができた(救急受診・#7119。壊死性筋膜炎など重い感染の可能性)
- ふくらはぎ全体が腫れて痛く、息苦しさがある(119番)
- 両すねのかゆい赤みや茶色い色が何か月も続く(通常の受診)
診察室でよく聞かれる質問
抗菌薬を飲んでいるのに赤みが引きません
蜂窩織炎でも、赤みが完全に引くには1〜2週間かかることがあります。一方で、両足に出ていて痛みが少ない場合は、そもそも感染ではなく、うっ滞性皮膚炎だった可能性もあります。飲み切る前に悪化している、または3日ほどで変化がない場合は、もう一度診察を受けてください。
弾性ストッキングは市販のものでもいいですか?
軽いむくみ予防なら市販品でも役立ちます。ただ、圧迫の強さは症状に合わせて選ぶ必要があり、足の動脈の流れが悪い方には強い圧迫が向かないこともあります。治療として使う場合は、診察で強さを決めてから選んでください。
お風呂に入ってもいいですか?
蜂窩織炎で熱がある間は、シャワー程度にして体を休めてください。うっ滞性皮膚炎では入浴は問題ありませんが、熱いお湯や石けんでのこすり洗いはかゆみを強くするため、ぬるめのお湯でやさしく洗い、上がったらすぐに保湿します。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-10)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-10)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

