「むくみ対策の着圧ソックスを履くと、すねがかゆくなる」「口ゴムの所が赤くなって、跡が茶色く残ってきた」「医療用のストッキングを勧められたけれど、かゆくて続かない」。立ち仕事やデスクワークでむくみやすい方、手術後や静脈瘤の治療中の方から寄せられる悩みです。原因を見分けて、続けながら肌を守る方法を整理します。
着圧ソックスで肌トラブルが起きる仕組み
着圧ソックスや弾性ストッキングは、足首から上に向かって段階的に圧をかけ、血液やリンパ液が足にたまるのを防ぐものです。この「圧」と「長時間の着用」が、皮膚にいくつかの負担をかけます。
- 乾燥…ぴったりした生地が長時間触れていると、皮膚のいちばん外側の層(角層)の水分や皮脂が失われやすくなります。もともと乾燥しやすいすねは、とくにかゆみが出やすい場所です。
- こすれ…歩くたびに生地と皮膚がこすれます。すねの前、かかと、口ゴムの当たる所に出やすくなります。
- 蒸れ…汗が逃げにくく、夏や暖房の効いた室内ではあせもができることがあります。
- 締め付け…口ゴムが食い込むと、帯状の赤みや、くり返すうちに茶色い跡が残ることがあります。
一方で、もともと静脈瘤がある方のすねやくるぶしのかゆみ・茶色い色素沈着は、足に血液がたまることによる皮膚炎(うっ滞性皮膚炎)のことがあります。この場合、ストッキングは原因ではなく、むしろ治療の柱です。
症状と見分け方
| 考えられるもの | 見た目・特徴 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| 乾燥・皮脂欠乏性湿疹 | 粉をふく、ひび割れたような細かい線、かゆみ | すね全体。冬や入浴後に強くなる |
| こすれ | 赤み、ヒリヒリ、皮むけ | すねの前、かかと、口ゴムなど当たる所 |
| 口ゴムの締め付け | 帯状の赤み、くり返すと茶色い跡 | ひざ下や太ももの口ゴムの位置に一致 |
| かぶれ | 強いかゆみ、細かいブツブツ、ジュクジュク | 新しい製品や洗剤に変えた後。生地が当たる範囲全体に出る |
| うっ滞性皮膚炎 | くるぶしの内側を中心に茶色い色、かゆみ、湿疹 | 静脈瘤がある、夕方に足がむくむ |
次のような場合は、肌トラブルとは別に急いで確認が必要です。
- 片方の足だけが急に腫れて痛む…足の静脈に血の塊ができる病気(深部静脈血栓症)のことがあります。すぐに受診してください。
- 履いていると足先が白い・紫色になる、冷たくしびれる…締め付けが強すぎるか、足の動脈の血流が悪くなっている可能性があります。すぐに脱いでください。足の動脈の病気がある方や、糖尿病で足の感覚が鈍い方は、着圧ソックスを使う前に医師に相談することが勧められています。
続けながら肌を守る工夫
- 保湿は夜にしっかり。脱いだ後や入浴後に保湿剤を塗ります。朝に塗る場合は、なじんでから履きます。ベタついたまま履くと履きにくく、生地も傷みやすいためです。
- 口ゴムを折り返さない。長さが余るからと折り返すと、その部分の圧が二重になり、食い込みの原因になります。
- サイズを合わせる。足首やふくらはぎの太さは、むくむ前の朝に測るのが基本です。きつすぎるものは、かゆみや跡の原因になります。
- 用途の表示を守る。市販の着圧ソックスには、日中用と就寝用があります。日中用を寝るときに履き続けると、必要以上に圧がかかります。
- 洗い替えを用意する。毎日洗って清潔なものを履くと、汗や皮脂による刺激が減ります。
皮膚科での治療
乾燥が中心なら保湿剤(ヘパリン類似物質など)を処方し、塗り方をお伝えします。湿疹になっている場合は、炎症を抑える塗り薬(ステロイド外用薬)でかゆみを止め、かき壊しの悪循環を断ちます。かぶれが疑われる場合は、皮膚に貼って反応を見る検査(パッチテスト)で、ゴムや染料が原因かを確かめることがあります。
静脈瘤などで弾性ストッキングが必要な方は、皮膚を治しながら着用を続けられるよう、処方元の医療機関と連携して進めます。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 静脈瘤で弾性ストッキングを履くように言われていますが、かゆくて我慢できません。
A. まずかゆみの原因が乾燥か、かぶれか、うっ滞性皮膚炎そのものかを見分けて、皮膚の治療をしながら続ける方法を考えます。種類や圧の強さを変えられることもあるので、処方元に相談してください。自己判断でやめると、むくみや皮膚炎がかえって悪くなることがあります。
Q. 口ゴムの跡が茶色く残ってしまいました。消えますか?
A. こすれや締め付けによる色素沈着は、原因がなくなれば数か月から年単位でゆっくり薄くなることが多いです。締め付けの少ない製品に変え、こすらないことがいちばんの近道です。
Q. 夜、寝るときも履いたほうがむくみに効きますか?
A. 市販品は就寝用と表示されたものを使い、日中用は寝るときに脱いでください。医療用のものは、医師の指示どおりに使います。
受診の目安
- 保湿を続けても、かゆみが2週間以上おさまらない
- ジュクジュクする、かき壊して傷になった
- くるぶしのまわりが茶色くなり、湿疹をくり返している
- 片足だけ急に腫れて痛む(すぐに受診)
- 足先の色が悪い、冷たくしびれる
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ(接触皮膚炎)」(確認日: 2026-10-21)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-21)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

