「薬を飲んで1か月くらいたつのに、急に熱と発疹が出た」「風邪かと思ったら、発疹がどんどん広がってきた」。薬疹というと、飲んですぐに出るものを想像しがちです。しかし、この病気は飲み始めてから時間がたってから出るため、薬が原因だと気づかれにくいのが特徴です。夜間や休日で受診先に迷うときは、救急安心センター(#7119)に相談してください。息苦しさや意識がぼんやりする場合は119番です。
薬剤性過敏症症候群とは(仕組み)
薬に対する体の免疫の反応が、皮膚だけでなく肝臓・腎臓・血液など全身に及ぶ重症型の薬疹です。英語の頭文字からDIHS(ディース)やDRESS(ドレス)とも呼ばれます。
特徴的なのは、体の中に眠っているヘルペスの仲間のウイルス(ヒトヘルペスウイルス6型など)が、経過の途中で再び活発になることです。そのため、原因の薬をやめたあとも、症状がいったん良くなってから再び悪化することがあります。
原因になりやすい薬は限られており、次のようなものが知られています。
- てんかんや神経の痛みに使う薬(カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、ラモトリギンなど)
- 痛風・高尿酸血症の薬(アロプリノール)
- 関節リウマチや潰瘍性大腸炎の薬(サラゾスルファピリジン)
- そのほか、ジアフェニルスルホン、メキシレチン、ミノサイクリンなど
これらの薬を飲んでいる方の多くは問題なく使えています。大切なのは、飲み始めの数週間に何か変化が出たら、薬との関係を疑うことです。
症状・見分け
典型的には、次のような変化がそろってきます。
- 38℃以上の発熱
- 赤い発疹が顔や体から始まり、全身に広がる。全身が真っ赤になることもある
- 顔、とくにまぶたのまわりのむくみ
- 首・わきの下・足の付け根のリンパ節の腫れ
- 血液検査で肝臓の数値の上昇、白血球(好酸球など)の増加
| 見るところ | よくある薬疹 | 薬剤性過敏症症候群 | スティーブンス・ジョンソン症候群など |
|---|---|---|---|
| 出るまでの期間 | 数日〜2週間 | 2〜6週間と遅め | 数日〜数週間 |
| 熱 | ないことが多い | 高い熱が続く | 高い熱 |
| 目立つ症状 | 体のかゆい赤い発疹 | 顔のむくみ、リンパ節の腫れ、肝臓の障害 | 唇・口・目のただれ、水ぶくれ、皮膚がむける |
| 経過 | 薬をやめると良くなる | やめたあとも悪化をくり返すことがある | 急速に進むことがある |
唇や口の中、目の充血やただれ、水ぶくれがある場合は、スティーブンス・ジョンソン症候群などさらに急ぐ病気も考えます。いずれも早く気づくほど回復しやすいため、迷ったら受診してください。
治療・セルフケア
治療の基本は、原因と考えられる薬を中止することと、入院して全身の状態を見ながら治療することです。多くの場合、ステロイドの飲み薬や点滴を使い、肝臓や腎臓の数値、ウイルスの再活性化を確認しながら、時間をかけて少しずつ減らしていきます。急に減らすと再び悪化することがあるため、治療は数週間〜数か月に及ぶことがあります。
ここで大事なことがあります。てんかんの薬など、自己判断で急にやめると危険な薬もあります。理由は、発作が起きたり、もとの病気が悪化したりするおそれがあるためです。症状に気づいたら、まず処方した医師か皮膚科に連絡し、どの薬をどうするか一緒に決めてください。
受診の目安
- 新しい薬を始めて数週間後に、高い熱と全身の発疹が出た(当日受診)
- 顔がむくむ、首やわきのリンパ節が腫れる
- 唇・口の中・目がただれる、水ぶくれができる(すぐに受診)
- 息苦しい、ぐったりしている(119番)
受診するときは、お薬手帳か、飲んでいる薬そのものを持参してください。いつから飲み始めたかが診断の大きな手がかりになります。
診察室でよく聞かれる質問
一度なったら、その薬はもう使えませんか?
原因と判断された薬と、似た構造の薬は、今後使わないようにします。お薬手帳に記録し、受診するすべての医療機関や薬局に伝えてください。代わりに使える薬は、主治医と相談して選びます。
家族にも同じことが起こりますか?
うつる病気ではありません。ただ、薬の反応の起こりやすさには体質が関係するといわれています。ご家族が同じ薬を使うことになったときは、そのことを医師に伝えておくと安心です。
治ったあとに気をつけることはありますか?
回復して数か月〜数年後に、甲状腺の病気などがみつかることがあると報告されています。治療が終わってからも、定期的な診察を続けてください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-10)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-10)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

