「朝起きたら片方の頬が真っ赤に腫れていた」「すねが赤く熱を持って、寒気がする」「前にも同じところが腫れたことがある」。このような症状で多いのが丹毒です。見た目は赤く腫れるだけでも、体の中では細菌と戦っているため、熱やだるさなど全身の症状を伴うのが特徴です。
丹毒とは(なぜ起こるのか)
丹毒は、主に溶連菌(A群β溶血性レンサ球菌)という細菌が、皮膚の浅いところ(真皮)に入り込んで広がる感染症です。菌の入口になるのは、目に見えないほどの小さな傷であることがほとんどです。
- すね・足 — 足の水虫で指の間がじくじくしたり皮がむけたりしたところ、虫刺されのかき傷、ひび割れ
- 顔 — 鼻をいじる・かむことによる鼻の入り口の傷、耳や顔のかき傷
できやすいのはすね・足と顔で、大人や高齢の方に多くみられます。足のむくみが強い方、乳がんや婦人科のがんなどの手術後でリンパの流れが悪くなっている方、糖尿病のある方は、起こりやすく、くり返しやすい傾向があります。
症状と、蜂窩織炎との違い
よくみられる症状は次のとおりです。
- 赤み — 鮮やかな赤色で、正常な皮膚との境目がくっきりしていて、少し盛り上がる
- 腫れ・熱感・痛み — 触ると熱く、押すと痛む。顔ではつっぱるような痛み
- 発熱・寒気・だるさ — 赤みより先に、熱や寒気が出ることもある
- 水ぶくれ — 赤みの上に水ぶくれができることがある
- リンパ節の腫れ — 足なら足の付け根、顔なら首のリンパ節が腫れて痛む
よく似た病気に蜂窩織炎(ほうかしきえん)があります。どちらも細菌による皮膚の感染症で、違いは主に炎症の深さです。
| 項目 | 丹毒 | 蜂窩織炎 |
|---|---|---|
| 炎症の深さ | 浅い(真皮まで) | 深い(皮下脂肪まで) |
| 赤みの境目 | くっきりしていて、少し盛り上がる | ぼんやりしていて、まわりの皮膚に溶け込む |
| 主な原因菌 | 溶連菌 | 黄色ブドウ球菌や溶連菌 |
| できやすい場所 | すね・足、顔 | すね・足が多い |
| 治療 | 抗菌薬 | 抗菌薬 |
ただし実際には、丹毒と蜂窩織炎は両方の特徴をあわせ持っていることも多く、はっきり分けられない場合もあります。治療の考え方は近いので、どちらかを自分で見分けるよりも、早く受診することのほうが大切です(関連記事: 蜂窩織炎)。
このほか、かぶれ(接触皮膚炎)はかゆみが中心で熱は出ないことが多く、帯状疱疹は体の片側に帯のように小さな水ぶくれが並び、ピリピリした痛みが先に出るのが特徴です。
治療とセルフケア
治療の中心は抗菌薬です。溶連菌によく効くペニシリン系の抗菌薬が基本で、軽ければ飲み薬で、熱が高い、範囲が広い、食事や水分がとれないといった場合は点滴や入院で治療します。
- 処方された日数を飲みきる — 赤みや熱が引いても皮膚の中に菌が残っていることがあり、途中でやめるとぶり返したり、再発しやすくなったりするため
- 安静にして、患部を高くする — 足なら寝るときにクッションで足を心臓より高くすると、むくみが減って治りが早くなる
- 冷やす — 熱感や痛みがつらいときは、保冷剤をタオルで包んで当てる
- 赤みのふちにペンで印をつける — 薬を飲み始めてから赤みが広がっているか、引いているかが分かりやすくなる
治療を始めると、多くは数日で熱が下がり、赤みも少しずつ引いていきます。治ったあとも、しばらく皮がむけたり、茶色っぽい色が残ったりしますが、時間とともに目立たなくなります。
くり返さないために
丹毒は、一度治っても同じ場所に再発しやすい病気です。再発をくり返すと、そのたびにリンパの流れが悪くなってむくみが残り、さらに再発しやすくなるという悪循環に入ることがあります。そのため、治ったあとの予防まで含めて考えることが大切です。
すね・足にできた方は、まず足の水虫がないかを確認して、あれば治療しておくことをおすすめします。指の間の小さなひび割れや皮むけは、菌がいちばん入りやすい入口だからです(関連記事: 水虫)。あわせて、乾燥でひび割れないように保湿をし、むくみが強い方は弾性ストッキングなどのむくみ対策を医師と相談してください。顔にできた方は、鼻をいじる、耳や顔をかくといった癖を減らすことが予防になります。
それでも何度もくり返す場合は、抗菌薬を長めに飲んで再発を防ぐ方法がとられることもあります。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 家族にうつりますか? | ふだんの生活でうつることは、ほとんどありません | 皮膚の中で起きている感染なので、同じ部屋で過ごす程度ではうつりません。タオルを分ける、患部を触ったら手を洗う、といった一般的な注意で十分です |
| お風呂に入ってもいいですか? | 熱が高い間はシャワー程度にしてください | 体や患部を温めると血流が増え、赤みや痛みが強くなることがあるためです。熱が下がれば入浴できます |
| 市販の塗り薬で治せますか? | 塗り薬だけでは治りません | 菌が皮膚の奥で広がっているため、飲み薬や点滴の抗菌薬で体の中から治す必要があります |
| 水虫と関係があるのですか? | すね・足の丹毒では、水虫が菌の入口になっていることがよくあります | 水虫で皮膚が傷むと、細菌が入りやすくなるためです。再発予防として水虫の治療も行います |
受診の目安
- 当日〜翌日には受診を — 顔やすねが急に赤く腫れて熱く、痛む。特に熱や寒気がある
- 早めの受診を — 抗菌薬を飲んでいるのに、赤みが広がる・熱が下がらない
- 早めの受診を — 糖尿病や透析中、むくみの持病がある方で、同じような赤みが出た
- すぐに受診を — 顔の腫れでまぶたが開かない、目が痛い、ものが二重に見える
- 救急車(119)を — 赤みが数時間の単位で急に広がる、皮膚が紫色や黒っぽくなる、見た目以上に激しく痛む、意識がぼんやりする(より深く重い感染症の可能性があります)
- 夜間・休日で迷うとき — 救急安心センター(#7119)に電話で相談してください
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-24)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン(確認日: 2026-09-24)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

