「湿疹が広がって、体中が真っ赤になってしまった」「布団に皮がたくさん落ちる」「寒気がして、体がだるい」。皮膚の赤みが全身に広がると、見た目の問題だけでなく、体の熱や水分の調節がうまくいかなくなり、全身の体調にも影響します。
紅皮症とは(仕組み)
紅皮症は、体の表面のほとんどが赤くなり、皮がむけ続ける状態です。ひとつの病気の名前ではなく、さまざまな皮膚の病気が悪化した結果として起こります。
皮膚には、体の熱を逃がしすぎないようにする、水分が逃げるのを防ぐ、細菌の侵入を防ぐという大切な役割があります。全身の皮膚に炎症が起きると、この働きが弱まり、次のようなことが起こりやすくなります。
- 体の熱が逃げて寒気がする、または発熱する
- 皮膚から水分やたんぱく質が失われ、脱水や体力の低下が起こる
- 掻き傷や皮むけから細菌が入り、感染を起こしやすい
- 心臓に負担がかかる(とくに高齢の方)
原因として多いのは、次のようなものです。
- もともとある皮膚の病気の悪化: 湿疹・アトピー性皮膚炎・乾癬など
- 薬によるもの(薬疹): 飲み始めて数日〜数週間の薬が原因になることがあります
- 皮膚のリンパ腫などの病気: 高齢の方で、原因が分からない紅皮症では確認が必要です
症状・見分け方
全身の皮膚が赤くなり、細かい粉のような皮、あるいは大きな薄い皮がむけ続けます。強いかゆみを伴うことが多く、皮膚がつっぱる、ヒリヒリする感じもあります。長引くと、髪や爪にも変化が出ることがあります。
| 原因として考えるもの | 手がかり |
|---|---|
| 湿疹・アトピー性皮膚炎の悪化 | もともと湿疹があった。かゆみが強い。塗り薬を中断していた |
| 乾癬の悪化 | もともと乾癬がある。銀白色の厚い皮がむける |
| 薬疹 | 新しい薬を飲み始めて数日〜数週間。発熱、目や口の中の症状を伴うことがある |
| 皮膚のリンパ腫など | 高齢の方。はっきりした原因がなく、ゆっくり進む。リンパ節の腫れ |
原因によって治療が大きく変わるため、診察ではこれまでの皮膚の病気、飲んでいる薬(市販薬・サプリメントを含む)、症状が始まった時期をくわしく確認します。必要に応じて血液検査や皮膚生検(皮膚を少し取って調べる検査)を行います。
治療・自宅でできること
治療は、原因への対処と、弱った皮膚の働きを支えることの2本立てです。
- 原因への対処: 薬疹が疑われる場合は原因の薬を中止し、湿疹や乾癬の悪化であればその病気の治療を強めます
- 皮膚の炎症を抑える: ステロイド外用薬を全身に塗り、状態によっては飲み薬や注射の治療を組み合わせます
- 保湿と保護: 保湿剤をたっぷり使い、皮膚から水分が逃げるのを防ぎます
- 全身の管理: 脱水・感染・体温の管理が必要な場合は、入院して治療することがあります
受診までの間、または治療中に自宅でできることは次のとおりです。
- 水分をこまめにとる: 皮膚から水分が失われやすいためです
- 部屋を暖かく保つ: 体の熱が逃げやすく、寒気が出やすいためです
- 自己判断で薬を塗り足さない: 市販薬の成分でかぶれて悪化することがあります
- 熱いお湯・こすり洗いを避ける: ぬるめのシャワーで、泡でやさしく洗います
受診の目安
体の広い範囲が赤くなって皮がむけている場合は、それだけで受診が必要です。「湿疹がひどくなっただけ」と様子を見ないでください。
次のような場合は、急いで受診してください。
- 38度以上の発熱、強い寒気、ぐったりしている
- 目の充血、唇や口の中のただれ、陰部のただれがある
- 水ぶくれができる、皮膚がずるっとむける
- 新しい薬を飲み始めてから数日〜数週間で急に広がった
- 尿の量が減った、ふらつく(脱水のサイン)
目や口の中の症状を伴う全身の発疹は、重い薬疹の可能性があり、早い治療が重要です。夜間や休日で迷う場合は、救急安心センター(#7119)に相談してください。
よくある質問
飲んでいる薬はやめたほうがいいですか?
自己判断でやめると、もともとの病気が悪化することがあります。受診のときに、飲んでいる薬をすべて(お薬手帳・市販薬・サプリメントも)持参し、医師の判断でやめる薬を決めてください。新しく飲み始めた薬がある場合は、その時期も伝えてください。
入院が必要になりますか?
状態によります。発熱や脱水、感染がある場合、高齢で体力が落ちている場合は、入院して全身を管理しながら治療することがあります。軽い場合は、外来で塗り薬や飲み薬を調整しながら治療します。
かゆくて眠れません。どうすればいいですか?
寝る前にぬるめのシャワーで汗を流し、処方された塗り薬と保湿剤を塗ると、かゆみが和らぎやすくなります。かゆみ止めの飲み薬を寝る前に使うこともあります。掻き傷から細菌が入りやすいので、爪を短く切っておいてください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-01)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-01)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

