「荷物を開けたら赤っぽいアリが出てきて、手を刺された」「庭仕事をしていたら足首を何か所も刺されて、火がついたように痛い」「翌日、刺された所に白い膿のようなブツブツができた」。ヒアリは海外から荷物やコンテナに紛れて入ってくる外来のアリで、国内でも港湾などを中心に見つかったという報道があり、心配される方が増えています。刺されたかもしれないときの見分け方と応急処置、受診の目安を整理します。
ヒアリに刺されるとは(仕組み)
ヒアリは体長2.5〜6mmほどの赤茶色のアリで、同じ巣の中に大小さまざまな大きさの働きアリがいるのが特徴とされています。腹部の先に毒針があり、巣を刺激されると集団で攻撃し、同じ1匹が何度も刺すことがあります。
毒が皮膚に入ると、その場で焼けるような強い痛み(英語で fire ant=火のアリと呼ばれる理由)が出ます。さらに、毒の成分そのものの作用で、刺されて半日〜1日ほどたつと、刺された所に白い膿のようなブツブツ(膿疱)ができることがあります。これは細菌が入ったわけではなく、毒による反応です。
もう1つ注意したいのが、毒の成分に対するアレルギー反応です。体質によっては、刺されてから数分〜数十分で全身に症状が出るアナフィラキシーを起こすことがあり、ハチ刺されと同じように命に関わる場合があります。
症状と見分け方
刺したアリを見ていない場合や、在来のアリとの区別がつかない場合も多いため、症状の出方を手がかりにします。
| 虫 | 刺されたとき | その後の経過 |
|---|---|---|
| ヒアリなど毒針をもつアリ | 焼けるような強い痛み。何か所も刺されることが多い | 赤く腫れ、半日〜1日で白い膿のようなブツブツができることがある |
| 在来の小さなアリ | チクッとする程度のことが多い | 軽い赤み・かゆみで、数日で治まることが多い |
| ハチ | 激しい痛み。針が残ることがある | 大きく腫れる。アナフィラキシーに特に注意 |
| ブユ・蚊 | 刺されたときはあまり痛まない | 後からかゆく腫れる |
白い膿のようなブツブツが出たからといってヒアリと決まるわけではありませんが、強い痛み+集団で刺された+翌日の白いブツブツがそろう場合は、毒針をもつアリに刺された可能性を考えます。
応急処置とセルフケア
- その場を離れる。アリは服の中に入り込むことがあるため、体についたアリは払い落とします。
- 流水と石けんで洗う。毒や汚れを洗い流し、細菌が入るのを防ぎます。
- 冷やす。保冷剤や冷たいタオルで冷やすと痛みと腫れがやわらぎます。凍傷を防ぐため、保冷剤はタオルで包んでください。
- 20〜30分は一人にならず、様子を見る。アナフィラキシーは刺されてから短時間で起きることが多いためです。
- 白いブツブツはつぶさない。つぶすと、そこから細菌が入ってとびひ(細菌の皮膚感染)になったり、跡が残ったりしやすくなります。
かゆみや赤みには、市販のステロイド入りの虫刺され用の塗り薬を数日使ってかまいません。炎症を早く抑えることで、かき壊しを防げます。
皮膚科での治療
腫れやかゆみが強い場合は、市販薬より強いステロイドの塗り薬と、かゆみを抑える飲み薬(抗ヒスタミン薬)を使います。腫れが広い範囲に及ぶときは、短い期間だけステロイドの飲み薬を使うこともあります。かき壊してジュクジュクしている、膿が黄色く濁って赤みが広がる場合は、細菌感染を考えて抗菌薬で治療します。
一度刺されて全身の症状が出たことがある方は、次に刺されたときにより強い反応が出るおそれがあります。アレルギーの検査や、万一に備えた自己注射薬(アドレナリン注射)について、医療機関で相談してください。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 刺したアリを捕まえて持っていったほうがいいですか?
A. 無理に捕まえる必要はありません。素手で触るとまた刺されるおそれがあるためです。安全に撮影できる場合は、写真があると参考になります。ヒアリらしいアリを見つけた場合は、刺激せずに、お住まいの自治体や環境省の相談窓口へ連絡してください。
Q. 毒を吸い出すために、口で吸ってもいいですか?
A. おすすめしません。口の中の細菌が傷に入るおそれがあり、効果もはっきりしていません。流水でよく洗い流すほうが確実です。
Q. 刺された所が翌日に膿んだように見えます。抗生物質が必要ですか?
A. 刺されて1日ほどで出る白いブツブツは毒による反応で、多くは抗生物質がなくても自然に治まります。ただし、赤みが広がる、熱をもって痛む、熱が出るといった場合は細菌が入った可能性があるため受診してください。
受診の目安
- 刺された後に、息苦しさ、声がかすれる、全身のじんましん、めまい、顔や唇の腫れ、吐き気・腹痛が出た(アナフィラキシーの可能性。すぐに119番)
- 何十か所も刺された、小さな子どもや高齢の方が刺された
- 腫れが手のひらより大きく広がる、関節をまたいで腫れる
- 赤みが広がって熱をもつ、発熱がある、白いブツブツをかき壊してジュクジュクする
- 以前にハチやアリに刺されて全身の症状が出たことがある
夜間や休日に受診すべきか迷う場合は、#7119(救急安心センター)に相談できます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「虫さされ」(確認日: 2026-10-24)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-24)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

