「手荒れには手袋がいいと聞いて使っているのに、良くならない」「ゴム手袋をすると、かえってかゆくなる」「どんな手袋を選べばいいかわからない」。家事や仕事で水や洗剤に触れる機会の多い方から、診察室でよく聞かれる質問です。手袋は手湿疹の治療の柱のひとつですが、選び方と使い方で効果が大きく変わります。
手袋が手荒れに効く仕組み
手荒れ(手湿疹)は、水・洗剤・アルコール消毒などで、皮膚のいちばん外側の層(角層)の脂やうるおいが失われ、皮膚のバリアが壊れることで起こります。バリアが弱った皮膚は、少しの刺激でも赤み・かゆみ・ひび割れを起こします。
手袋は、この刺激から皮膚を直接守る道具です。ただし、手袋の中は汗がこもりやすく、長時間つけていると皮膚がふやけてバリアがさらに弱くなります。また、ゴム手袋の素材や、ゴムを作るときに使う薬品にかぶれる(接触皮膚炎)方もいます。「守る」と「蒸れ・かぶれ」のバランスを取るのがコツです。
手袋の種類と選び方
| 種類 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 綿手袋 | 水を使わない家事、夜の保湿、ゴム手袋の下に重ねる | 水を通すので、単独では水仕事に使わない |
| ビニール(塩化ビニル)手袋 | 水仕事・洗剤を使う家事 | 綿手袋の上に重ねて使う。破れたら交換 |
| ニトリル手袋 | 水仕事、食品の扱い、仕事での使い捨て | ゴム(ラテックス)を含まないが、製造に使う薬品にかぶれる人もいる |
| 天然ゴム(ラテックス)手袋 | ― | ラテックスアレルギーやゴムのかぶれの原因になることがあるため、手荒れがある方は避けたほうが無難 |
ゴム手袋をつけた直後に手がかゆくなって赤く腫れ、外すと1時間ほどで引く場合は、ラテックスアレルギー(接触蕁麻疹)のことがあります。翌日以降にかゆいブツブツが出る場合は、ゴムの薬品によるかぶれが考えられます。どちらも、手袋の種類を変える必要があるため、受診して確かめてください。
効果を上げる使い方
- 水仕事は「綿手袋+ビニール/ニトリル」の重ね使い。中の綿手袋が汗を吸い、蒸れとゴムの直接の接触を防ぎます。綿手袋が湿ったら取り替えます。
- つけっぱなしにしない。目安として、1回の水仕事が終わったらいったん外して手を乾かします。長時間つけ続けると、中でふやけてしまうためです。
- 外したら保湿。手袋を外した後や手を洗った後は、そのつど保湿剤を塗ります。
- 夜は保湿剤や塗り薬を塗ってから綿手袋。寝ている間に薬がよくなじみ、無意識にかくのも防げます。きつすぎず、蒸れない綿のものを選びます。
- 手袋の内側を清潔に。ゴム手袋の中に水が入ったまま使い続けると、刺激やにおいの原因になります。裏返して乾かしてください。
皮膚科での治療
手袋と保湿だけで治りきらない手湿疹は、炎症を抑える塗り薬(ステロイド外用薬)でまず赤みとかゆみを止めます。手のひらは皮膚が厚いため、ある程度強さのある薬が必要になることが多いです。ひび割れがある場合は、保護作用の強い軟膏を重ねて使います。かぶれが疑われる場合は、皮膚に貼って反応を見る検査(パッチテスト)で、手袋の素材などが原因かを確かめます。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 仕事で使い捨て手袋をずっとつけています。どうすればいいですか?
A. ラテックスではなく、ニトリルやビニールのものを選び、可能なら薄い綿の手袋を下に重ねてください。交換のたびに手を乾かし、休憩時間に保湿するのが続けやすい方法です。
Q. 夜の綿手袋は、毎晩しないといけませんか?
A. 手荒れがひどい時期は毎晩がおすすめです。良くなってきたら、ひび割れや乾燥が気になる日だけでもかまいません。手袋は毎日洗って清潔なものを使ってください。
Q. 手袋をしていると家事がしにくいです。
A. 指先の細かい作業がしにくい場合は、指先だけ覆うタイプや、薄手のニトリル手袋を使う方法があります。すべての家事でつけなくても、洗剤を使う食器洗い・掃除・お風呂掃除だけでも効果があります。
受診の目安
- 手袋と保湿を2週間続けても良くならない
- ひび割れて痛い、血が出る、ジュクジュクする
- 手袋をつけるとかゆくなる、赤く腫れる
- 小さな水ぶくれが手のひらや指に出る、くり返す
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ(接触皮膚炎)」(確認日: 2026-10-22)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-22)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

