「人工ひざ関節の手術の前に、整形外科で金属アレルギーがないか調べるように言われた」「アクセサリーでかぶれるので、手術の金属が心配」「検査はどのくらい時間がかかるのか」。整形外科や歯科、循環器の治療の前に、皮膚科へ紹介されて来られる方は少なくありません。検査の流れと、結果をどう考えるかを整理します。
体内の金属と金属アレルギーの関係(仕組み)
金属アレルギーは、汗や体液で金属からわずかに溶け出した成分(金属イオン)が体のたんぱく質と結びつき、体がそれを異物として覚えてしまうことで起こります。ピアスやネックレス、腕時計の裏ぶたなどでかぶれるのが典型です。
手術で使う金属には、ステンレスやコバルトクロム合金、チタンなどがあります。ステンレスやコバルトクロム合金には、アレルギーの原因になりやすいニッケル・コバルト・クロムが含まれることがあります。一方、チタンはアレルギーを起こしにくい金属とされています。
体内の金属が原因と考えられる症状としては、手術した場所の周りや全身に湿疹が出る、といった報告があります。ただし、皮膚で金属アレルギーがある人に体内の金属が問題を起こす頻度は高くないとされ、どこまで影響するかは、まだはっきりしていない部分が多いのが現状です。
症状と、検査が勧められる場面
次のような方は、手術の前に相談しておくと安心です。
- アクセサリー、ベルトのバックル、ジーンズのボタンなどで、かぶれたことがある
- 歯科の金属を入れた後に、口の中や手足に湿疹が出たことがある
- 以前に体内に金属を入れた後、原因の分からない湿疹が続いた
- 手足に、汗疱(小さな水ぶくれ)や手湿疹をくり返している
反対に、金属でかぶれた経験がまったくない方が、念のために全員検査を受けなければならないわけではありません。検査が必要かどうかは、手術を担当する医師の判断になります。
パッチテストの流れ
| 日程 | 行うこと |
|---|---|
| 1日目 | 背中や腕の内側に、金属などの検査用の試薬をしみこませたシールを貼る |
| 2日目(48時間後) | 受診してシールをはがし、1回目の判定をする |
| 3日目(72時間後) | 2回目の判定。反応は遅れて出ることがあるため |
| 1週間後ごろ | 金属は反応がさらに遅れて出ることがあるため、もう一度判定することが多い |
結果が出るまでに1週間ほど、3〜4回の受診が必要になるため、手術の日程が決まっている場合は早めに受診してください。シールを貼っている間は、貼った場所を濡らさない、汗をかく運動を控えるなどの注意があります。夏場は汗でシールがはがれやすいため、日程を相談することもあります。
結果の受け止め方と治療
- 陰性(反応なし): 検査した金属に対してアレルギーの可能性は低いと考えられます。ただし、検査した金属以外のことは分かりません
- 陽性(反応あり): その金属にアレルギーがある可能性があります。結果を手術を担当する医師に伝え、アレルギーを起こしにくい材料に替えられるかを相談します。使える材料は手術の種類によって限られることもあります
パッチテストで赤くなった所は、数日〜1週間ほどで落ち着くことが多いです。かゆみが強い場合は、ステロイドの塗り薬を使います。
すでに体内に金属が入っていて湿疹が出ている場合も、まずは湿疹そのものを塗り薬で治療しながら、原因を調べていきます。金属を取り出すかどうかは、体への負担が大きいため慎重に判断されます。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 血液検査で金属アレルギーは分かりますか?
A. 一般的な血液のアレルギー検査では、金属アレルギーは分かりません。金属アレルギーは反応がゆっくり起こるタイプのため、皮膚に貼って調べるパッチテストが基本です。
Q. パッチテストで新たに金属アレルギーになることはありますか?
A. 検査に使う試薬はごく少量で、通常は心配いりません。ごくまれに検査がきっかけになる可能性が指摘されているため、必要な方に絞って行います。
Q. チタンなら問題は起きませんか?
A. チタンはアレルギーを起こしにくい金属ですが、まったく起こらないとは言い切れません。また、チタン製品にもほかの金属が少し含まれていることがあります。
受診の目安
- 手術を担当する医師から、金属アレルギーの検査を勧められた(手術日の2〜3週間以上前が目安)
- 金属でかぶれた経験があり、これから体内に金属を入れる予定がある
- 金属を入れた手術の後に、手術した場所の周りや全身に湿疹が続いている
- 歯の治療の後から、手のひらや足の裏に水ぶくれや皮むけが出るようになった
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ」(確認日: 2026-10-24)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-24)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

