「長引く咳でマイコプラズマと言われた。数日後に唇がただれて、目も赤くなってきた」。マイコプラズマは子どもや若い方に多い呼吸器の感染症ですが、ときに皮膚や粘膜(唇・口・目・陰部などのしっとりした部分)に症状が出ます。多くは軽くすみますが、中には急いで治療が必要なものがあるため、見分け方を知っておくことが大切です。
マイコプラズマ感染症と皮膚症状(仕組み)
マイコプラズマは、肺炎や気管支炎を起こす小さな細菌です。乾いた咳が長く続き、熱が下がっても咳だけが残ることが多いのが特徴です。
皮膚や粘膜の症状は、菌そのものが皮膚に入るのではなく、感染に反応して体の免疫が強く働くことで起こると考えられています。そのため、咳が出始めてから数日〜1週間ほどたって現れることが多いです。
症状・見分け
軽いものから順に並べます。
| 症状のタイプ | 見た目 | 急ぎ度 |
|---|---|---|
| じんましん・細かい赤い発疹 | かゆみのある赤いふくらみやブツブツ | 通常の受診でよい |
| 多形紅斑 | 手足を中心に、中心が濃い「的」のような輪の赤い斑 | 早めに受診 |
| 口・唇・目の粘膜症状 | 唇のただれやかさぶた、口内炎が多数、目の充血、陰部のただれ。皮膚の発疹は少ないこともある | その日のうちに受診 |
| 広い範囲の水ぶくれ・皮膚がむける | 皮膚が赤くなり、水ぶくれやめくれが広がる | すぐに受診(救急) |
見落とされやすいのは、皮膚の発疹はほとんどないのに、唇・口・目の症状だけが強いタイプです。「口内炎がひどいだけ」「結膜炎かな」と考えて様子を見てしまうことがありますが、マイコプラズマにかかっている(またはかかった直後)なら、皮膚科や小児科で一度診てもらってください。
また、マイコプラズマの治療で飲んだ抗菌薬による薬疹のこともあります。感染による症状か薬による症状かは見た目だけでは区別が難しく、両方を考えながら判断します(関連記事: スティーブンス・ジョンソン症候群とは)。
治療・セルフケア
- じんましん・軽い発疹: 抗ヒスタミン薬(かゆみ止めの飲み薬)や塗り薬で様子を見ます。咳の治療を続けるうちに引いていくことが多いです
- 多形紅斑: ステロイドの塗り薬などで治療します
- 粘膜のただれが強い場合: 入院して、点滴やステロイドの全身投与、目の専門的な治療を行うことがあります。目の症状は後遺症を残さないために早い対応が重要で、眼科と連携します
家庭でできることは、水分をこまめにとることです。口のただれで飲み食いがつらいときは、しみにくい冷たいもの(ゼリー、冷ました汁物など)から試してください。唇はワセリンで保護すると、乾いて割れる痛みが和らぎます。
受診の目安
- マイコプラズマと診断された後、またはひどい咳のあとに発疹が出た
- 手足に「的」のような輪の赤い斑が出てきた
- 唇のただれ、口内炎が多数、目の充血・目やに、陰部の痛みのいずれかがある: その日のうちに受診してください
- 水分がとれない、おしっこが少ない、ぐったりしている、皮膚に水ぶくれが広がる: すぐに救急を受診してください。迷うときは救急安心センター(#7119)、子どもなら子ども医療電話相談(#8000)へ
診察室でよく聞かれる質問
発疹は人にうつりますか?
発疹そのものからうつることはありません。うつるのは咳やくしゃみのしぶきに含まれるマイコプラズマです。咳が出ている間はマスクと手洗いを心がけてください。
抗菌薬を飲み始めてから発疹が出ました。薬はやめたほうがいいですか?
自己判断でやめる前に、処方した医療機関に連絡してください。感染による発疹なら薬は続けたほうがよく、薬疹なら別の薬に替える必要があります。発疹の写真と、薬を飲み始めた日・発疹が出た日をメモして伝えると、判断が早くなります。
一度なったら、次のマイコプラズマでもまた出ますか?
再び感染したときに同じような症状が出ることがあると報告されています。以前に唇や目の症状が出たことがある方は、次に咳が長引いたとき、早めに受診してその経緯を伝えてください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-14)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-14)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

