「転んですりむいたら、とりあえず化膿止めを塗る」「ニキビやできものにもオロナインを塗っている」。家庭の常備薬として、化膿止めの塗り薬を持っている方は多いと思います。使いどころを間違えると、治りが遅くなったり、かぶれたりすることもあります。
市販の化膿止めとは(仕組み)
「化膿止め」と呼ばれる市販の塗り薬は、大きく2つの種類に分けられます。
| 種類 | 代表的な市販品 | 働き |
|---|---|---|
| 抗生物質の塗り薬 | テラマイシン軟膏、ドルマイシン軟膏 など | 細菌が増えるのを抑える |
| 殺菌消毒成分の塗り薬 | オロナインH軟膏 など | 皮膚の表面の細菌を減らす |
どちらも、細菌が原因の軽い化膿に対して使う薬です。一方、傷が治る過程そのものを早める薬ではありません。傷を治すのは、もともと体が持っている力です。
症状・見分け: 化膿しているかどうか
傷の周りが少し赤いのは、治る過程でも起こります。次のような変化があれば、細菌が増えて化膿しかけているサインです。
- 傷の周りの赤みが、日ごとに広がっていく
- ズキズキと痛む、熱をもって腫れる
- 黄色い膿が出る、においがする
逆に、透明〜薄い黄色のさらっとした汁がにじむのは、傷を治すための体液であることが多く、化膿ではありません。
治療・セルフケア
ふつうの傷の手当て
- 水道水でよく洗う: 砂や汚れを流すことが、化膿を防ぐいちばんの方法です
- 消毒は必須ではない: 強い消毒薬は、細菌だけでなく、傷を治す細胞も傷めてしまうことがあるためです
- 傷を乾かさずに覆う: ワセリンを塗ってガーゼや絆創膏で覆う、傷を覆うタイプのパッドを使う、などの方法で、傷をうるおった状態に保つほうが早くきれいに治ります
市販の化膿止めを使ってよい場面
- 小さな傷が、少し赤く化膿しかけている
- ささくれや小さな傷の周りが、軽く腫れている
使う場合は、数日使って良くならなければ受診してください。漫然と塗り続けると、薬が効きにくい細菌が増えたり、薬そのものでかぶれたりすることがあります。とくに一部の抗生物質の塗り薬は、かぶれ(接触皮膚炎)の原因になりやすいことが知られています。塗ってから赤みやかゆみが増えたら、使うのをやめてください。
化膿止めを塗っても治りにくいもの
- 粉瘤(ふんりゅう)の腫れ: 袋が破れて起きる炎症が多く、塗り薬では治りません。膿を出す処置が必要になることがあります
- ニキビ: ニキビ専用の治療薬があります
- 水虫やカンジダ: カビ(真菌)が原因なので、抗生物質は効きません
- 湿疹やかぶれ: 細菌ではなく炎症が原因なので、炎症を抑える薬が必要です
受診の目安
- 傷の周りの赤みが、どんどん広がっていく
- 熱をもって腫れる、ズキズキ痛む、膿が出る
- 傷が深い、ぱっくり開いている、血が止まらない(縫う必要があることがあります)
- 動物にかまれた、さびた釘などが刺さった(破傷風などの予防が必要なことがあります)
- 市販の化膿止めを数日使っても良くならない、塗ってからかぶれた
- 赤みが急に広がり、高い熱や寒気がある: 蜂窩織炎(ほうかしきえん)など、皮膚の深い感染の可能性があります。早めに受診し、夜間や休日で迷う場合は救急安心センター(#7119)へ
診察室でよく聞かれる質問
傷にはオロナインを塗っておけば大丈夫ですか?
軽い傷であれば、洗ってワセリンなどで覆うだけで十分なことがほとんどです。殺菌消毒成分の塗り薬は、化膿しかけているときに短い期間使うものと考えてください。
傷にかさぶたを作ったほうが早く治りますか?
かさぶたができると、その下で新しい皮膚が伸びるのに時間がかかり、傷あとも残りやすくなります。傷を乾かさずに覆っておくほうが、早く、きれいに治ります。
化膿止めの飲み薬は、市販されていますか?
抗生物質の飲み薬は、市販されていません。飲み薬が必要なほどの化膿は、医師の診察が必要な状態と考えて受診してください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-13)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A かぶれ(確認日: 2026-10-13)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

