「拾ってきた子猫を抱っこするようになってから、お腹や腕がかゆい」「犬の毛が抜けてフケが多いと思っていたら、家族みんながかゆくなった」。ペットのダニや疥癬が人に移って、皮膚にかゆいブツブツが出ることがあります。どんなダニで起こるのか、人の疥癬とどう違うのか、治し方と受診の目安を説明します。
ペットから人にうつるダニの種類
ペットから人にうつり、皮膚の症状を起こすダニには、主に次のようなものがあります。
- イヌセンコウヒゼンダニ(犬の疥癬):犬に強いかゆみと脱毛、かさぶたを起こします。保護犬や野犬との接触、キツネやタヌキから犬に移ることもあります
- ネコショウセンコウヒゼンダニ(猫の疥癬):猫の耳や顔に、かさぶたと脱毛を起こします
- ツメダニ:犬・猫・うさぎに大量のフケを起こし、「フケが動いて見える」ことがあります
これらのダニは、人の皮膚に移っても、そこで卵を産んで増え続けることはほとんどできません。そのため、感染源のペットを治療して接触が途切れれば、人の症状は自然に落ち着いていきます。一方、人どうしでうつる「人の疥癬」はヒゼンダニが人の皮膚で増えるため、本人の治療が欠かせません。ここが大きな違いです。
症状と、人の疥癬との見分け方
ペット由来のダニによる症状は、ペットと触れ合う場所(抱っこしたときの腕の内側・胸・お腹・太もも・首)に、強いかゆみのある赤いブツブツ(丘疹)がぱらぱらと出るのが特徴です。家族の中でペットとよく触れ合う人ほど症状が強く出ます。
| 比べるポイント | ペット由来のダニ | 人の疥癬 |
|---|---|---|
| 出る場所 | ペットが触れる腕・胸・お腹・太もも | 指の間、手首、わき、お腹、陰部(男性)など |
| 疥癬トンネル(皮膚の中の細い線) | ほとんど見られない | 手首や指の間に見られることが多い |
| かゆみ | 強い | 非常に強く、夜に悪化しやすい |
| 経過 | ペットの治療と接触を避けることで落ち着く | 本人の治療をしないと広がり続ける |
| うつる経路 | ペットから。人から人へはほとんどうつらない | 人から人へ。家族内・施設内で広がる |
| ペットの様子 | 脱毛、かさぶた、強いかゆみ、フケが多い | 関係なし |
このほか、猫ノミやイエダニ、トコジラミによる虫刺されも、似たかゆいブツブツを起こします。ペットの皮膚の様子(毛が抜ける、かさぶた、フケ、しきりに掻く)は、受診の際の大切な情報です。
治療
ペットの治療(いちばん大切)
人の症状を治すには、まず感染源のペットを動物病院で治療することが欠かせません。多頭飼いの場合は、症状がない子も一緒に診てもらうことがすすめられます。ペットの治療が終わるまでは、抱っこや一緒に寝ることを控えます。
人の治療
人の皮膚に出たブツブツとかゆみには、ステロイドの塗り薬とかゆみ止めの飲み薬(抗ヒスタミン薬)を使います。ペットの治療と接触を避けることで、多くは数週間で落ち着きます。
症状が長引く、指の間や陰部にも出てきた、家族にもペットと関係なく広がる、といった場合は、人の疥癬の可能性を考えて、皮膚の一部を顕微鏡で調べる検査を行います。人の疥癬と分かれば、専用の塗り薬や飲み薬で治療します。
家の中でできること
- ペットの寝床・毛布・クッションを洗濯する。熱めのお湯で洗い、乾燥機を使うとより確実です
- 掃除機をこまめにかける。ペットが過ごすソファやカーペットを重点的に
- ペットを触った後は手を洗う
- 新しく迎えた保護犬・保護猫は、早めに動物病院で健康チェックを受ける
よくある質問
Q. ペットを手放さないといけませんか?
A. その必要はありません。動物病院で治療すればダニはいなくなり、人の症状も落ち着きます。治療中だけ、抱っこや一緒に寝るのを控えてください。
Q. 家族にうつりますか?
A. ペット由来のダニは、人から人へはほとんどうつりません。家族に症状が出るのは、それぞれがペットと触れ合っているためです。ただし人の疥癬の場合は家族内で広がるため、見分けが大切です。
Q. 市販のかゆみ止めで様子を見てもいいですか?
A. 軽い場合は市販のかゆみ止めで様子を見ることもできますが、ペットの治療をしない限り繰り返します。1〜2週間で良くならない場合や、かゆみで眠れない場合は受診してください。
受診の目安
- ペットと触れ合う場所に、かゆいブツブツが続く
- 指の間・手首・陰部にもブツブツが出てきた
- 家族の中で、ペットとあまり触れ合わない人にもかゆみが広がっている
- 夜に眠れないほどかゆい
- 掻き壊してジュクジュクしている、膿が出る
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ダニ類による感染症(確認日: 2026-10-31)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 虫さされ(確認日: 2026-10-31)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

