「すねや腕に、茶色いシミのようなものがいくつもある。よく見ると、ふちが細く盛り上がって輪っかになっている」。汗孔角化症(かんこうかくかしょう)は、こうした特徴的な見た目をもつ皮膚の病気です。名前に「汗」とつきますが、汗の量や汗かきとは関係ありません。シミや乾燥と思われて見過ごされることも多いのですが、見た目の特徴を知っていれば気づきやすくなります。
汗孔角化症とは(仕組み)
皮膚の表面では、古い角質が少しずつはがれ、新しい皮膚に入れ替わっています。汗孔角化症では、皮膚の一部で角質をつくる細胞の性質が変わり、その範囲のふちに角質が細く積み重なって、土手のような盛り上がりができます。この「ふちの細い角質の土手」が、診断の決め手になる特徴です。
なりやすさには体質(遺伝的な要因)が関わっており、そこに紫外線や、免疫を抑える薬の使用などが加わると出やすくなると考えられています。
症状・タイプと見分け方
いくつかのタイプがあり、臨床で多いのは次の2つです。
- 日光表在性播種状汗孔角化症: 腕やすねなど日光の当たる場所に、数mm〜1cmほどの茶色い輪がたくさんできます。中年以降に多く、夏に目立ち、かゆみを感じることもあります。
- ミベリ型汗孔角化症: 手足や体に、比較的大きな輪が1つ〜数個できます。子どもの頃から出ることもあります。
| 似ているもの | 見分けのポイント |
|---|---|
| 汗孔角化症 | ふちに細く硬い土手がある。中心はやや薄い茶色〜肌色で、わずかにへこむ |
| 老人性色素斑(シミ) | 平らで、ふちの盛り上がりがない |
| 日光角化症 | 赤みのあるカサカサ。顔や手の甲に多い |
| 体部白癬(たむし) | ふちが赤くカサカサし、外へ広がる。かゆみが強いことが多い |
| 脂漏性角化症(老人性イボ) | 全体が盛り上がり、表面がざらざら。輪にならない |
皮膚科ではダーモスコピーで「ふちの白い線」を確認し、判断が難しい場合は一部を取って病理検査をします。
治療・セルフケア
汗孔角化症そのものは良性のため、数が多く小さいものは、紫外線対策をしながら経過を見るのが基本です。見た目が気になるもの、かゆみがあるもの、変化があるものは、治療を検討します。
- 紫外線対策: 日光で増えたり目立ったりしやすいため、腕やすねも日焼け止めや衣類で守ります。新しくできるのを防ぐうえでも大切です。
- 液体窒素による凍結療法: 小さなものを1つずつ治療する方法です。数回かかることがあります。
- 切除: 大きいもの、形が変わってきたもの、悪性が否定できないものは、切除して病理検査を行います。
- 塗り薬: 角化を整える塗り薬を試すこともありますが、すべての人に効くわけではありません。
完全に消すことより、「変化に早く気づけるようにしておくこと」が大切な病気です。
受診の目安
- 輪っか状のシミが増えてきた、ふちの盛り上がりに気づいた
- その一部が急に厚く盛り上がる、硬いしこりになる
- ジュクジュクする、出血する、治らない傷のようになる
- 臓器移植後や、免疫を抑える薬を使っている方で、急に数が増えた
汗孔角化症の上には、ごくまれに有棘細胞癌やボーエン病などの皮膚がんが生じることがあります。特に大きいもの、長年あるものに変化が出たときは、早めに受診してください。
よくある質問
人にうつりますか?
うつりません。感染症ではなく、皮膚の性質の変化によるものです。
家族にも似たものがあります。遺伝しますか?
体質として家族にみられることがあります。家族に同じようなものがある場合は、受診時に伝えていただくと診断の助けになります。
かゆいときはどうすればいいですか?
冷やす、保湿するなどで和らぐことが多いです。かき壊すと炎症や色素沈着が強くなるので、かゆみが続く場合は塗り薬を相談してください。
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 皮膚悪性腫瘍(確認日: 2026-09-28)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-28)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

