「赤ちゃんの頬に、生まれたときから赤いあざがある」「様子を見れば消えると言われたけれど、本当に消えるのか心配」。赤ちゃんの赤いあざにはいくつかの種類があり、自然に薄くなるものと、そのまま残るものがあります。単純性血管腫は残るほうのあざで、早めに種類を見分けておくことが大切です。
単純性血管腫とは(仕組み)
単純性血管腫は、皮膚の浅いところにある細い血管(毛細血管)が生まれつき広がっている状態です。医学的には「毛細血管奇形」とも呼ばれます。腫瘍のように増えていくものではなく、血管の形のつくりの違いです。
- 生まれたときからあり、体の成長に合わせて同じ割合で大きくなる
- 表面は平らで、押すと少し色が薄くなる
- 顔・首・手足など、どこにでもできる
- 大人になると色が濃くなったり、表面が厚く盛り上がったりすることがある
症状・見分け方
赤ちゃんの赤いあざには、似た見た目でも経過がまったく違うものがあります。
| 種類 | 見た目と場所 | 経過 |
|---|---|---|
| サーモンパッチ | おでこの真ん中・まぶた・鼻の下の淡い赤み | 多くは1〜2歳ごろまでに自然に薄くなる |
| ウンナ母斑 | うなじ(首の後ろ)の赤み | 薄くなりにくいが、髪で隠れることが多い |
| 単純性血管腫 | 頬・体・手足などの平らな赤いあざ。片側に出ることが多い | 自然には消えない。成長とともに大きくなる |
| 乳児血管腫(いちご状血管腫) | 生後しばらくしてから現れ、いちごのように盛り上がる | 1歳ごろまで大きくなり、その後ゆっくり縮む |
注意したいのは、おでこ・まぶたにかかる広いあざです。まれに目(緑内障)や脳の血管の病気を伴うことがあり、この組み合わせはスタージ・ウェーバー症候群と呼ばれます。また、手足の広いあざで手足の太さや長さに左右差がある場合も、詳しい検査をすることがあります。どちらも頻度は高くありませんが、該当する場合は眼科や小児科と連携して確かめます。
治療・セルフケア
治療の中心は色素レーザーです。血液の赤い色に反応する光を当てて、広がった血管を内側から縮めます。単純性血管腫に対する色素レーザー治療は保険が適用されます。
- 回数: 1回で消えることは少なく、数か月ごとに複数回くり返して少しずつ薄くしていきます
- ゴール: あざが完全に消えるとは限りません。目立たない程度まで薄くすることを目標にします
- 治療後の経過: 当てた場所が紫色の内出血のようになり、1〜2週間かけて引いていきます。その間はこすらず、紫外線を避けます
- 起こりうること: 一時的な色素沈着(茶色っぽさ)、まれに傷あとや色が抜けることがあります
治療を始める時期については、皮膚が薄くあざの面積が小さい乳幼児期のほうが反応しやすいと一般に考えられています。一方で、治療中は痛みを抑える工夫が必要で、範囲が広い場合は全身麻酔を検討する施設もあります。お子さんの年齢・あざの場所と広さを見て、治療を始める時期を相談して決めます。
大人になってから治療を始めることもできます。色が濃くなったり盛り上がったりしている場合は、効き方がゆっくりになることがあるので、回数に余裕をもって考えてください。
受診の目安
- 生まれたときからある赤いあざが、1歳を過ぎても薄くならない
- おでこ・まぶたに広い赤いあざがある(目の検査も含めて確認します)
- 手足のあざで、左右の太さや長さに差がある
- 大人になってから、あざの色が濃くなった・ボコボコしてきた・出血する
診察室でよく聞かれる質問
様子を見ていれば消えますか?
単純性血管腫は自然には消えません。ただし、赤ちゃんの赤いあざの中には自然に薄くなる種類もあるので、まずはどの種類かを見分けることが大切です。
レーザーは痛いですか?
輪ゴムで弾かれたような痛みと表現されることが多いです。麻酔のクリームやテープを使って痛みをやわらげます。
治療前にやっておくといいことはありますか?
あざの写真を定期的に撮っておくと、色の変化や治療の効き方を比べるのに役立ちます。同じ明るさ・同じ角度で撮るのがコツです。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-06)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-06)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

