DERMATOLOGY GUIDE | GENERAL DERMATOLOGY
「ダイエットを始めてしばらくしたら、背中にかゆいブツブツが出てきた」「胸の谷間や首に、赤いブツブツが並んでいる」「治ったと思ったら、網目のような茶色いしみが残った」。色素性痒疹は、若い世代、特に女性に多い皮膚の病気で、湿疹やあせもと間違われやすいのが特徴です。
目次
色素性痒疹とは(なぜダイエットで起こるのか)
色素性痒疹は、背中・胸・首などにかゆみの強い赤いブツブツが出て、治ったあとに網目状の茶色い色素沈着を残す病気です。原因はまだ完全にはわかっていませんが、次のようなきっかけとの関係が知られています。
- 体がケトーシスの状態になること — 糖質制限・極端な食事制限・絶食などで糖分が不足すると、体は脂肪を分解してエネルギーにします。このときにできる「ケトン体」が血液中に増えた状態をケトーシスといい、色素性痒疹のきっかけになると考えられています
- 糖尿病 — 血糖のコントロールが乱れたときにも、ケトーシスが起こることがある
- 皮膚のこすれ・汗・下着の締めつけ — 背中・胸・首などに出やすいのは、こうした刺激も関わるためと考えられています
人にうつる病気ではありません。
症状と見分け方
- 背中・胸(特に胸の谷間)・首・鎖骨まわりに出やすい
- かゆみの強い、小さな赤いブツブツが急に出る。ときに小さな水ぶくれを伴う
- ブツブツが網目のように並ぶことが多い
- 数日〜数週間でおさまったあと、網目状の茶色い跡が残る
- きっかけが続くと、同じ場所にくり返し出る
| 考えられるもの | 特徴 |
|---|---|
| 色素性痒疹 | 背中・胸・首に、かゆい赤いブツブツが網目状に並ぶ。治ったあとに網目状の茶色い跡。ダイエットなどのきっかけがあることが多い |
| あせも | 汗をかく場所に細かいブツブツ。汗をかかない環境でおさまりやすい(関連記事: あせも) |
| マラセチア毛包炎 | 背中・胸に、毛穴に一致したそろった大きさのブツブツ。かゆみは軽いことが多い(関連記事: 背中ニキビ) |
| ジベル薔薇色粃糠疹 | 体に楕円形の赤い斑が、クリスマスツリーのような向きで広がる(関連記事: ジベル薔薇色粃糠疹) |
| 湿疹 | 形はさまざま。網目状の茶色い跡は残りにくい(関連記事: 湿疹とは) |
治療と自分でできる対処
いちばん大切なのは、きっかけとなっている食事の状態を見直すことです。糖質制限や食事制限をしている場合は、ごはんやパンなどの糖質を適度にとることで、ケトーシスが解消され、症状が落ち着いていくことが多いためです。
そのうえで、皮膚の炎症とかゆみを抑える治療を行います。
| 治療 | 内容 |
|---|---|
| 炎症を抑える飲み薬 | 一部の抗菌薬の飲み薬が、炎症を抑える目的で使われ、効果が知られています。細菌を退治するためではなく、炎症を抑える働きを利用するもので、この病気に対しては適応外の使い方になるため、医師が効果と副作用を説明したうえで判断します |
| かゆみ止めの飲み薬 | かゆみが強いときに併用する |
| ステロイドの塗り薬 | かゆみを抑える目的で使うことがある。ただし、塗り薬だけでは十分に抑えきれないこともある |
- こすらない・締めつけない — ナイロンタオルでこすらない、きつい下着を避ける。刺激が症状を悪くすることがあるためです(関連記事: 体の洗い方)
- 汗をかいたらふく・着替える
- 糖尿病のある方 — かかりつけ医に相談し、血糖のコントロールを整えることが先決です
治ったあとに残る網目状の茶色い跡は、時間をかけて少しずつ薄くなっていきます。数か月〜それ以上かかることもあります。再発をくり返すと濃く残りやすいため、きっかけを避けることが跡を残さない近道です(関連記事: 炎症後色素沈着)。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| ダイエットはやめなければいけませんか? | 極端な糖質制限や絶食はやめて、糖質を適度にとる食事に切りかえてください | 体重を落とすこと自体が悪いのではなく、糖分が足りずにケトーシスになる状態がきっかけになるためです |
| 茶色い跡は消えますか? | 時間とともに薄くなることが多いです | 炎症が起きたあとの色素沈着だからです。再発をくり返さないことが大切です |
| 市販のかゆみ止めで治りますか? | かゆみは一時的におさまっても、くり返すことが多いです | きっかけへの対処と、炎症を抑える飲み薬が治療の中心になるためです |
受診の目安
- 受診を — 背中・胸・首に、かゆい赤いブツブツが網目状に出る、くり返す
- 受診を — 治ったあとに網目状の茶色い跡が残る
- 受診を — 市販のかゆみ止めを使っても、2週間ほどでおさまらない
- 早めの受診を(内科) — 強いのどの渇き・尿の回数が増える・体重が急に減る・だるさがある(糖尿病などの可能性)
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-25)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン(確認日: 2026-09-25)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

