「顔の赤みがずっと引かない」「赤ら顔だと思っていたら、皮もむけてきた」「ネットで調べたら酒さと脂漏性皮膚炎の両方に当てはまる」。どちらも大人の顔に赤みが出る、よくある病気です。見た目が似ているうえ、同じ人に重なって出ることもあるため、迷う方が多い組み合わせです。
それぞれの病気とは(仕組み)
酒さ(しゅさ)は、顔の血管が広がりやすく、皮膚が刺激に敏感になっている状態が続く病気です。温度差・飲酒・辛い食べ物・紫外線・入浴などをきっかけに、顔が赤くほてります。進むと、ニキビに似た赤いブツブツや膿をもったブツブツ(丘疹・膿疱)が出てきます。原因はひとつに決まっておらず、体質・血管の反応・皮膚の免疫・毛穴にすむダニ(ニキビダニ)などが関わると考えられています。
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、皮脂の多い場所に起こる湿疹です。皮膚にふだんからいるカビの一種(マラセチア)が、皮脂を分解してできる物質が刺激となり、赤みと皮むけが出ると考えられています。顔では、小鼻のわき・ほうれい線・眉・額の生え際・耳のまわりに出やすく、頭皮のフケやかゆみを伴うことがよくあります。
症状・見分け方
| 見るところ | 酒さ | 脂漏性皮膚炎 |
|---|---|---|
| 赤みの場所 | 頬・鼻・あご・額の中央など、顔の出っ張った部分 | 小鼻のわき・ほうれい線・眉・生え際・耳のまわりなど、くぼみや毛の生える部分 |
| 皮むけ | 目立たないことが多い | 黄色っぽく脂っぽいフケのような皮むけ |
| ブツブツ | ニキビに似た赤いブツブツ・膿をもったブツブツが出ることがある | ブツブツは少なく、平らな赤み |
| 感じ方 | ほてり・ヒリヒリ・チクチク | かゆみ |
| 悪化のきっかけ | 温度差・飲酒・辛い物・紫外線・入浴 | 汗・皮脂・睡眠不足・ストレス・季節の変わり目 |
| ほかの場所 | 目の充血・乾き(眼の症状を伴うことがある) | 頭皮のフケ・かゆみ、胸や背中の中央の赤み |
見分けるうえでは、「赤みがどこにあるか」と「皮がむけているか」の2点がいちばん役に立ちます。ただし、酒さのある方に脂漏性皮膚炎が重なっていることも多く、どちらか一方とは言い切れない場合もあります。
なお、長く強いステロイドの塗り薬を顔に使い続けたあとに出る赤み(ステロイド酒さ)も、似た見た目になります。顔にステロイドを塗っていたかどうかは、診察で必ず伝えてください。
治療・セルフケアの違い
酒さでは、メトロニダゾールの塗り薬(酒さに保険適用)が治療の中心です。ブツブツが多い場合は抗菌薬の飲み薬を組み合わせることがあります(酒さに対しては保険適用外となる薬もあります)。ほてりを起こすきっかけを減らすことも同じくらい大切で、日焼け止め・刺激の少ないスキンケア・飲酒や熱いお風呂を控えることが効いてきます。赤みが残る場合は、血管に反応するレーザーなどの自由診療が選ばれることもあります。
脂漏性皮膚炎では、カビを抑える塗り薬(抗真菌薬)が基本です。赤みやかゆみが強い時期は、弱いステロイドを短い期間だけ併用します。頭皮もあれば、抗真菌成分配合のシャンプーを使います。良くなってもぶり返しやすいので、調子のよい時期も含めた付き合い方が大切です。
ここで注意したいのが、ステロイドの扱いです。脂漏性皮膚炎には短期間なら役立ちますが、酒さに長く使うと赤みがかえって悪化することがあります。似ているからこそ、自己判断で市販のステロイドを顔に塗り続けるのは避けてください。
受診の目安
- 顔の赤みが1か月以上続いている
- 市販薬やスキンケアを変えても良くならない、かえって赤くなった
- ニキビのようなブツブツが繰り返し出る
- 目の充血・ゴロゴロ感が続く(眼科の受診もあわせて検討してください)
- 赤みのせいで外出や人と会うのがつらい
診察室でよく聞かれる質問
化粧で赤みを隠してもいいですか?
隠すこと自体は問題ありません。刺激の少ないものを選び、クレンジングはこすらず短時間で済ませてください。緑色の下地は赤みを目立ちにくくするのに役立ちます。新しい化粧品は、あごの横などで数日試してから顔全体に使うと安心です。
お酒はやめないといけませんか?
酒さで、飲んだあとに顔の赤みやほてりが強くなる方は、量を減らすと楽になることが多いです。すべてをやめる必要があるかは人によって違うので、ご自分の悪化のきっかけを記録しておくと、診察で相談しやすくなります。
治療前に写真を撮っておいたほうがいいですか?
おすすめします。顔の赤みは日によって変わるため、調子の悪い日の写真があると、受診したときに落ち着いていても状態を伝えられます。治療の効果を比べるときにも役立ちます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-05)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-05)
※血管に反応するレーザー等による赤みの治療は自由診療です。一般に1回あたり1万〜3万円程度が目安とされていますが、費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。一時的な赤み・腫れ・内出血などが起こることがあります。
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

