「腕の一部が、いつの間にかへこんでいる」「注射を打った所がくぼんだ」「おでこに縦に線のようなへこみがある」。皮膚のへこみは痛みもかゆみもないことが多く、何科に行けばよいか迷う症状です。原因と見分け方を整理します。
皮膚がへこむ仕組み
皮膚は、外側から表皮・真皮・皮下脂肪の3つの層でできています。このうちのどれかが薄くなったり、減ったりすると、表面がへこんで見えます。
- 真皮が傷ついて修復された: ニキビ跡・水ぼうそう跡・けがの傷あと
- 皮下脂肪が減った: ステロイドの注射のあと、繰り返す注射、打撲のあと
- 皮膚が硬く縮んだ: 限局性強皮症など、皮膚が硬くなる病気
症状・見分け
| 考えられるもの | 見た目・特徴 | 経過 |
|---|---|---|
| ニキビ跡・水ぼうそう跡 | 小さな丸いへこみ(クレーター)。顔・背中に多い | 広がらない |
| ステロイド注射後の皮膚の萎縮 | 注射した場所が、くぼんで皮膚が薄く白っぽい。血管が透けることも | 注射後数週〜数か月で目立ち、時間とともに戻ることがある |
| 繰り返す注射(インスリンなど) | 同じ場所に打ち続けた部分の、へこみやふくらみ | 打つ場所を変えると改善することがある |
| けが・打撲のあと | 強くぶつけた場所の脂肪が減ってくぼむ | 広がらない |
| 限局性強皮症(モルフィア) | 皮膚が硬くつやがあり、白っぽい・茶色。ふちが赤紫色のことも。おでこに縦の線状のへこみ(剣創状)として出ることもある | 数か月〜年の単位で広がることがある |
| 深在性エリテマトーデス | しこりや赤みのあとに、皮下脂肪が減ってへこむ。顔・腕・お尻に多い | 繰り返すことがある |
限局性強皮症は、全身の内臓に広がる「全身性強皮症」とは別の病気で、多くは皮膚にとどまります。ただし、子どもの顔や手足にできた場合は、骨や筋肉の成長に影響することがあるため、早めの診断と治療が大切です。
治療
- ニキビ跡: 炭酸ガスレーザーによる治療や、くり抜いて縫い直す方法などがあります。見た目の改善を目的とした治療は自由診療になることが多いです
- ステロイド注射後の萎縮: 多くは数か月〜1年ほどで少しずつ戻ってきます。まずは経過を見ます
- 繰り返す注射のあと: 注射の場所を毎回少しずつずらすことで、改善を期待できます。主治医に相談してください
- 限局性強皮症: 活動している(広がっている)時期には、ステロイドやタクロリムスの塗り薬、紫外線を当てる治療、範囲が広い場合は飲み薬を使って進行を抑えます。診断のために、皮膚の一部を取って顕微鏡で調べる検査(皮膚生検)を行うことがあります
- 深在性エリテマトーデス: 血液検査などで全身の状態を確かめ、飲み薬などで治療します
※ニキビ跡など見た目を目的とした治療は自由診療です。費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。主なリスクとして、赤み・色素沈着・ダウンタイムがあります。
受診の目安
- へこみが、少しずつ広がっている
- へこみの部分の皮膚が硬い、つやがある、色が変わっている
- おでこや頭に、縦の線のようなへこみが出てきた
- 子どもの手足や顔に、へこみや皮膚の硬さが出てきた(早めに)
- 関節の痛み、発熱、手指が冷たく白くなるなど、ほかの症状もある
へこみの変化は、目で見ているだけでは分かりにくいものです。物差しを横に置いて写真を撮っておくと、受診時に広がっているかどうかを伝えやすくなります。
診察室でよく聞かれる質問
ステロイド注射でへこんだ所は、元に戻りますか?
多くの場合、数か月〜1年ほどかけて少しずつ戻ってきます。ステロイド注射は、ケロイドや痒疹などに効果のある治療で、へこみは知られている副作用のひとつです。気になる場合は、注射を受けた医療機関に相談してください。
限局性強皮症は、全身の強皮症になりますか?
限局性強皮症が、全身性強皮症に移っていくことはまれと考えられています。ただし、似た症状から始まる病気もあるため、診断を受けて経過を見ていくことが大切です。
痛くもかゆくもないのですが、受診したほうがいいですか?
広がっていない古い傷あとであれば、急いで受診する必要はありません。いつからあるか分からない、広がっている気がする、という場合は、一度見てもらってください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-12)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-12)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

