子どもの湿疹・かゆみ・とびひ・水いぼなど、皮膚症状が中心なら皮膚科への受診がおすすめです。見た目が似ていても治療は異なります。高熱やぐったりする様子があれば、小児科・救急で全身状態の確認を優先します。
「背中に赤いブツブツができた」「かき傷がじくじくして、別の場所にも増えてきた」——お子さまの肌の変化に、何の病気なのか、受診したほうがよいのか迷うことはありませんか。
この記事では、子どもによくある皮膚トラブルについて、見分ける手がかり、家庭でのケア、登園・登校や受診の目安を紹介します。
子どもの皮膚トラブルは、小児科と皮膚科のどちらに相談する?
湿疹・かゆみ・あせも・とびひ・水いぼなど、皮膚の症状が中心であれば、小児科よりも皮膚科への受診をおすすめします。皮膚科は大人だけでなく、赤ちゃんから受診できる診療科です。
小児科でも皮膚の病気を診療しますが、皮膚科では発疹の形や分布から病気を見分け、必要に応じた検査や、症状・部位に合った塗り薬の選択、塗る量・期間の調整まで専門的に対応します。特に「薬を使っても治らない」「何度も繰り返す」「診断がはっきりしない」という場合は、皮膚科での確認が大切です。
ただし、発熱に加えてぐったりしている、水分がとれない、呼吸が苦しそうなど、全身の症状が目立つ場合は別です。皮膚科にこだわらず、小児科や救急での診察を優先してください。
子どもの皮膚は大人と何が違うのか
特に乳幼児の皮膚は大人より薄く、皮膚を守るバリア機能も発達の途中にあります。乾燥や、汗・唾液・食べこぼしなどの刺激で肌荒れを起こしやすく、かき壊したところに感染症が重なることもあります。
あせもは、汗の通り道が詰まり、汗が皮膚の中にたまることで起こります。暑い環境だけでなく、厚着や蒸れもきっかけになるため、室温や衣類を調整して、汗をためない工夫が必要です。
肌を清潔に保つことは大切ですが、強くこすって洗う必要はありません。やさしく洗い、乾燥しやすい部分は保湿することが基本です。
つくばの気候・生活と子どもの肌
つくば周辺での通園・通学や外遊びでも、季節に合わせて汗・乾燥・紫外線への対策を変えていくことが大切です。
- 冬:空気の乾燥や暖房の影響で、頬・口の周り・手足のカサつきや湿疹が気になりやすくなります。
- 春:花粉やほこりなどの刺激に加え、屋外で過ごす際の日焼けにも注意します。
- 夏:汗や蒸れによるあせも、虫さされ、かき壊しに続くとびひなどに注意が必要です。
- 秋:汗をかく日が減っても、乾燥が進むと湿疹がぶり返すことがあります。
水いぼは夏だけの病気ではありません。プールの時期に気づかれることもありますが、季節を問わずみられます。
よくあるトラブルの見分け方
| 見る点 | あせも | とびひ | 水いぼ | 虫さされ |
|---|---|---|---|---|
| 見た目 | 細かい赤いブツブツ、または透明な小さな水ぶくれ | 破れやすい水ぶくれ、じくじくしたただれ、黄色っぽいかさぶた | つやのある肌色〜白っぽい丸いブツブツ。中心がへこむことがある | 赤いふくらみ。大きく腫れたり、水ぶくれになったりすることもある |
| 出やすい場所 | 首・背中・胸・皮膚が重なる場所など、汗や蒸れがこもるところ | 鼻や口の周りのほか、湿疹・虫さされ・傷のある場所 | 体幹・わき・腕や脚など | 手足・顔など。虫の種類によっては衣服で隠れた場所にもできる |
| 増え方・経過 | 汗や蒸れが続く場所にまとまって出る | かき壊しなどをきっかけに、数日で別の場所へ広がることがある | 徐々に数が増える。かくことで広がることもある | 刺された直後だけでなく、翌日以降に腫れやかゆみが出ることもある |
| かゆみ | 赤いあせもではかゆいことが多い | かゆみを伴うことが多い | 目立たないこともあるが、周囲に湿疹ができるとかゆくなる | 強いことが多い |
| 人にうつるか | うつらない | うつる | うつる | 通常の虫さされ自体はうつらない |
| 受診の目安 | 軽症なら汗・蒸れ対策。改善しない、かゆみが強い場合は受診 | 広がる前に早めの受診 | 数や増え方、湿疹の有無をみて治療方針を相談 | 腫れ・痛み・かゆみが強い、長引く場合は受診 |
この表だけで診断を確定することはできません。
特に注意したいのは、湿疹や虫さされに、とびひが重なっている場合です。いつもの湿疹の薬を使っていても、じくじくした部分やかさぶたが増えてくるときは、感染症の合併を確認する必要があります。
家庭でできる手当て
- 汗と蒸れをためない
汗をかいたら着替え、必要に応じてシャワーで流します。拭くときは、やわらかいぬれタオルなどで押さえるようにし、強くこすらないようにします。 - 洗ったあとは乾燥を防ぐ
入浴後は水滴をやさしく拭き取り、乾燥しやすい部分に保湿剤を塗ります。保湿してもしみる、赤みやかゆみが続く場合は、保湿剤を増やすだけでなく炎症の治療を相談しましょう。 - 爪を短く整える
かき壊しによる傷や、とびひの広がりを減らすために役立ちます。ただし、爪のケアだけで強いかゆみを我慢させないことも大切です。 - 虫さされは冷やし、かゆみを抑える
冷たいタオルなどで冷やすと、かゆみが和らぐことがあります。氷や保冷剤を直接長時間当てるのは避け、かゆみや腫れが強い場合は治療を受けましょう。 - 市販薬で様子を見続けない
数日使っても改善しない、塗るとかえって悪化する、発疹が増える場合は受診してください。とびひが疑われるときは、市販薬を試し続けず早めの診察をおすすめします。
登園・登校とプールの考え方
「登園・登校できるか」と「プールに入れるか」は、同じ基準ではありません。病気の種類と症状に応じて判断し、園や学校にも確認しましょう。
とびひの場合
治療を行い、患部をガーゼや包帯などできちんと覆える場合は、登園・登校できることがあります。ただし、病変が広範囲にある、発熱などの全身症状がある場合は、休んで治療が必要になることがあります。
一方、プールや水泳は、とびひが治るまで控えます。患部を覆っているからといって、登園と同じように参加できるわけではありません。
水いぼの場合
水いぼだけを理由に、登園・登校やプールを一律に禁止する必要はありません。プールの水そのものではなく、肌の接触や、タオル・浮き輪・ビート板などの共用に注意します。
タオルなどは共用を避け、プール後はシャワーで肌を洗いましょう。かき壊してじくじくしている、とびひを合併している場合は、別途判断が必要です。
すぐ受診したいサイン
次のような場合は、家庭でのケアだけで様子を見ず、早めに医療機関へ相談してください。
- 発疹に発熱を伴い、元気や食欲が落ちている。
- じくじくした部分や水ぶくれが、短期間で目に見えて増えている。
- 皮膚が熱をもって赤く腫れ、強く痛がる。
- 口の中や唇のただれに加え、目の充血や痛みがある。
- ぐったりしている、水分がとれない、尿が少ない。
- 薬を飲み始めてから、全身に発疹が広がってきた。
生後3か月未満で38℃以上の発熱がある場合は、発疹の程度にかかわらず、速やかに小児科・救急を受診してください。
意識がはっきりしない、呼吸が苦しそう、唇・舌・のどが急に腫れた場合などは、119番で救急要請してください。
夜間や休日に受診の判断で迷うときは、茨城県の子ども救急電話相談「#8000」を利用できます。つくば市でも24時間365日相談でき、つながらない場合の電話番号は050-5445-2856です。
皮膚科にかかるときの準備
診察では、次の情報があると病気の見分けや治療方針の判断に役立ちます。
- いつから、体のどこに出始め、どのように変化したか。
- これまでに使った薬と、その効果。お薬手帳に加え、市販薬や塗り薬の現物もあると確認しやすくなります。
- 園や学校で似た症状が流行しているか、家族にも同じ症状があるか。
症状が強かったときや、薬を塗る前の写真があれば見せてください。受診のために処方薬を自己判断で中断したり、患部を強く洗って薬を落としたりする必要はありません。検査などに向けて医療機関から指示がある場合は、その指示に従ってください。
あび皮膚科クリニックは、つくばエリアで2027年の開業を予定しています。開業後は、一般皮膚科の診療のなかで、お子さまの皮膚トラブルにも対応する予定です。
よくある質問
Q.兄弟や親に処方された塗り薬を、子どもに使ってもよいですか?
自己判断での使い回しはおすすめしません。同じような赤いブツブツでも、湿疹なのか感染症なのかによって必要な薬は違います。塗る場所や症状の強さによって、適切な薬や使用期間も変わります。
以前そのお子さまに処方された薬でも、今回の症状に使えるとは限りません。再発時の使い方について指示を受けている場合は、その範囲で使用してください。
Q.湿疹を繰り返す場合、食物アレルギーの検査をしたほうがよいですか?
湿疹があるという理由だけで、食物アレルギー検査が必要になるわけではありません。まずは湿疹の診断を確認し、適切な塗り薬とスキンケアで改善するかをみます。
特定の食品を食べるたびにじんましんや嘔吐が出る場合や、治療しても湿疹が改善しにくい場合は、検査の必要性を相談します。検査結果が陽性でも、その食品が症状の原因とは限らないため、結果だけを見て自己判断で食事から除かないようにしてください。
Q.水いぼを取ったのに、また増えました。取り残しでしょうか?
必ずしも取り残しとは限りません。治療後も新しい水いぼが出たり、再び感染したりすることがあります。一度の処置で、その後まったく増えなくなるとは限りません。
追加の治療を行うかは、数や増え方、かゆみ、お子さまの負担などをみながら相談します。周囲の湿疹やかゆみも放置せず、かき壊しを減らすことが大切です。
Q.虫さされや湿疹のあとに残った茶色い跡は、ずっと消えませんか?
炎症のあとに色が残る「炎症後色素沈着」であれば、時間とともに薄くなることが多いですが、数か月以上かかることもあります。こすったり、かき続けたりすると長引きやすいため、まずは新しい炎症を抑えることが大切です。
日焼けにも注意し、自己判断で大人用の美白剤などを使うのは避けましょう。へこみや盛り上がりがある場合は、単なる色素沈着ではなく傷痕のこともあるため、診察で確認します。
関連ページ
参考文献・参考情報
- 1.日本小児皮膚科学会「お役立ちQ&A:とびひ」「皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解」「皮膚の学校感染症に関する統一見解」。とびひの症状、家庭でのケア、登園・登校とプールの判断について。(日本小児皮膚科学会)
- 2.日本皮膚科学会「皮膚科Q&A:イボとミズイボ、ウオノメとタコ」Q7・Q8、日本小児皮膚科学会「お役立ちQ&A:みずいぼ」。水いぼの特徴、広がり方、治療方針について。(公益社団法人日本皮膚科学会)
- 3.日本皮膚科学会「皮膚科Q&A:虫刺され」Q2・Q12。虫さされの症状、遅れて現れる反応、治療と受診の目安について。(公益社団法人日本皮膚科学会)
- 4.日本皮膚科学会「皮膚科Q&A:アトピー性皮膚炎」Q12・Q24・Q29。小児の外用療法、スキンケア、悪化因子とアレルギー検査の考え方について。(公益社団法人日本皮膚科学会)
- 5.American Academy of Dermatology. “What is a dermatologist?” 皮膚科の診療範囲と、小児を含む全年齢の診療について。(皮膚科学アカデミー)
- 6.American Academy of Dermatology. “Molluscum contagiosum: Diagnosis and treatment.” 水いぼの治療後の経過と再発・再感染について。(皮膚科学アカデミー)
- 7.American Academy of Dermatology. “How to fade dark spots in darker skin tones.” 炎症後色素沈着の原因、経過、刺激や紫外線への対策について。(皮膚科学アカデミー)
- 8.NHS. “Heat rash (prickly heat).” “Rashes in babies and children.” あせものケアと、子どもの発疹で受診を急ぐ症状について。(nhs.uk)
- 9.つくば市「子ども救急電話相談、おとな救急電話相談」。相談時間と連絡先について。(city.tsukuba.lg.jp)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

