「肌荒れが続くのはビタミン不足のせい?」「口角が切れるのはビタミンBが足りないから?」。ビタミンと肌の関係はよく話題になりますが、実際に皮膚の病気として問題になるのは、栄養がはっきり不足する事情があるときです。どのビタミンが不足するとどんな皮膚症状が出るのか、どんな人が注意すべきか、サプリの考え方を説明します。
ビタミン不足で皮膚に症状が出る仕組み
皮膚は、毎日新しい細胞に入れ替わり(ターンオーバー)、傷を治し、外からの刺激を防ぐ働きをしています。こうした働きには、ビタミンB群・ビタミンC・ビタミンAなどが欠かせません。不足すると、皮膚の入れ替わりや修復がうまくいかなくなり、荒れ・ただれ・出血しやすさとして表に出ます。
ただし現在の日本では、ふつうに食事がとれていれば、ビタミン欠乏症として皮膚の病気になることはまれです。症状が出るのは、次のような事情があるときです。
- 極端な偏食、長期の食事制限・ダイエット
- お酒を多く飲む習慣(食事が減り、吸収も落ちる)
- 胃や腸の手術後、炎症性腸疾患などで吸収が落ちている
- 高齢の一人暮らしで食事が単調になっている
- 摂食障害、長い入院や経管栄養
不足するビタミンと皮膚のサイン
| 不足する栄養 | 皮膚に出やすい症状 | ほかのサイン |
|---|---|---|
| ビタミンB2・B6 | 口角が切れる(口角炎)、唇の荒れ、小鼻のわきや眉間のカサカサした赤み | 舌が赤くヒリヒリする |
| ナイアシン(ビタミンB3) | 日光が当たる手の甲・首・顔に、日焼けのような赤み→茶色のカサカサ(ペラグラ) | 下痢、物忘れ。お酒の多飲で起こりやすい |
| ビタミンC | 毛穴のまわりの小さな出血、あざができやすい、傷が治りにくい | 歯ぐきの腫れ・出血、だるさ |
| ビタミンA | 皮膚の乾燥、毛穴に一致したザラザラ | 暗いところで見えにくい |
| ビタミンB12・葉酸 | 皮膚の色が黒ずむ、口内炎、白髪が増える | 貧血、手足のしびれ |
| (参考)亜鉛 | 口のまわり・陰部・手足の先のただれ、脱毛 | 味覚の異常、傷が治りにくい |
表のような症状は、ほかの皮膚の病気でもよく起こります。口角炎はカンジダや唾液の刺激、眉間のカサカサは脂漏性皮膚炎、あざは薬や加齢など、ビタミン不足以外の原因のほうがずっと多いのが実際です。
診断と治療
ビタミン不足を疑うときは、食事やお酒の量、体重の変化、持病や手術歴を詳しくお聞きし、必要に応じて血液検査で確かめます。不足がはっきりすれば、食事の見直しと、足りないビタミンの補充(飲み薬、場合によって注射)で治療します。原因が吸収の問題やお酒であれば、そちらへの対処も欠かせません。
皮膚の荒れやただれ自体には、保湿剤やステロイドなどの塗り薬を組み合わせ、補充の効果が出るまでの間の症状を抑えます。
サプリメントの考え方
「肌のためにビタミンのサプリを飲む」ことを考える方は多いですが、不足していない人がサプリを足しても、肌荒れが目に見えて改善することは期待しにくいです。また、ビタミンAなど脂に溶けるビタミンは、とりすぎると体にたまり害になることがあります。特に妊娠中・妊娠を考えている方はビタミンAのとりすぎに注意が必要です。
サプリに頼る前に、まず次の点を見直してください。
- 3食のうち、主食・主菜(肉・魚・卵・大豆)・野菜がそろう食事がどれくらいあるか
- お酒の量、食事を抜く習慣がないか
- 保湿・洗い方・紫外線対策など、肌荒れの基本的な原因への対策ができているか
よくある質問
Q. 口角炎はビタミンB2を飲めば治りますか?
A. 口角炎の原因で多いのは、唾液による刺激やカンジダ(カビの一種)、乾燥です。ビタミン不足が原因のこともありますが、塗り薬で治る口角炎も多いため、繰り返す場合は皮膚科で原因を確かめてください。
Q. 血液検査でビタミンが足りているか分かりますか?
A. いくつかのビタミンは血液検査で調べられます。ただし全てを一度に調べることは一般的ではなく、症状や食事の状況から必要な項目を選びます。
受診の目安
- 口角炎・唇の荒れが、塗り薬を使っても繰り返す
- 日光が当たる場所に、日焼けのような赤みや茶色いカサカサが続く
- あざができやすい、毛穴のまわりに小さな出血がある、歯ぐきから血が出る
- 食事が十分にとれない状態が続いていて、皮膚の荒れや脱毛が増えた
食事がほとんどとれない、体重が急に減っている、ふらつきや手足のしびれがある場合は、皮膚より先に内科を受診してください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-31)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-31)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

