「皮膚科で白くてかたい軟膏を出された」「おむつかぶれに白い薬を塗るように言われた」「落とそうとしても取れない」。亜鉛華軟膏(あえんかなんこう)は、昔から皮膚科で使われている塗り薬です。何のための薬なのか、どう塗ればよく効くのかを整理します。
亜鉛華軟膏とは(仕組み)
主な成分は酸化亜鉛という白い粉です。これを油の基剤に混ぜたものが亜鉛華軟膏で、似たものに、より柔らかく伸ばしやすい「亜鉛華単軟膏」があります。
- 皮膚を覆って守る: 厚く塗ると膜のようになり、尿や便、汗、こすれなどの刺激から皮膚を守ります
- じくじくを乾かす: 酸化亜鉛には、しみ出してくる液(浸出液)を吸って表面を乾かす働きがあります
- 穏やかに炎症を落ち着かせる: 軽い収れん・消炎の作用がありますが、ステロイドほどの強さはありません
つまり、亜鉛華軟膏は「治す薬」というより「治る環境をつくる薬」です。この性格を知っておくと、使いどころが分かりやすくなります。
症状・見分け: どんなときに使うか
| 場面 | 使い方の例 | ねらい |
|---|---|---|
| じくじくした湿疹・掻き壊し | ステロイドを塗った上に、亜鉛華軟膏をのばした布(リント布)を貼る | 浸出液を吸って乾かし、掻き壊しを防ぐ |
| おむつかぶれ | おむつ替えのたびに厚めに塗る | 尿・便が直接皮膚に触れないようにする |
| あせも・こすれによるただれ | 汗やこすれの多い場所に薄く塗る | 刺激を減らす |
| 床ずれ(褥瘡)のまわりの皮膚 | 傷のまわりの皮膚を保護する目的で | ふやけ・ただれを防ぐ |
一方で、カビ(真菌)によるカンジダや水虫には、亜鉛華軟膏だけでは治りません。おむつかぶれが治らないときにカンジダが隠れていることはよくあり、その場合は抗真菌薬が必要です。
治療・セルフケア: 重ね塗りの順番と塗り方のコツ
ステロイドと一緒に出された場合は、先にステロイド、その上に亜鉛華軟膏が基本です。先に亜鉛華軟膏を塗ってしまうと膜ができて、下の薬が皮膚に届きにくくなるためです。
- 厚めに塗る: 皮膚がうっすら透ける程度ではなく、白く見えるくらいが目安です。膜にすることで保護の効果が出ます
- リント布(ガーゼ)に伸ばして貼る: 皮膚科ではよく行う方法です。布に2〜3mmほどの厚さで伸ばして患部に当てると、掻き壊しも防げます
- こすって落とさない: 次に塗るとき、前の軟膏をすべて落とす必要はありません。汚れた部分だけ拭き取り、上から足して構いません
実際の診察では、塗る場所や皮膚の状態によって「単軟膏の方が伸ばしやすい」「この部分は布で覆った方がよい」などと使い分けます。塗りにくいと感じたら、遠慮なく相談してください。
上手な落とし方
亜鉛華軟膏は水では落ちにくく、ゴシゴシこすると治りかけの皮膚を傷めます。
- オリーブオイルやベビーオイルを含ませたコットンでなでるように拭くと、少ない力で取れます
- お風呂では、オイルでなじませてから泡で軽く洗い流します
- おむつ替えのたびに完全に落とす必要はありません。便が付いた部分だけ拭き取り、上から塗り足します
受診の目安
- 1週間ほど使っても、じくじく・赤みが良くならない
- 赤いブツブツが周りに点々と広がる(カンジダなど別の原因の可能性)
- 黄色いかさぶたが増える、熱を持って痛む(細菌感染の可能性)
- おむつかぶれで、赤ちゃんが痛がって泣く、ただれが深い
市販品にも酸化亜鉛を含む軟膏はありますが、治らない湿疹を「覆うだけ」で長く様子を見るのは避けてください。原因に合った治療が必要です。
診察室でよく聞かれる質問
顔に塗ってもいいですか?
使うことはありますが、白く目立つため、昼間は使いにくいのが実際です。顔のじくじくには、夜だけ塗る、別の薬に替えるなどの工夫をします。
衣類に付いてしまいます
布やガーゼで覆ってから、包帯や筒状のネットで留めると衣類に付きにくくなります。油分のため、付いた衣類は洗剤でつけ置きすると落ちやすくなります。
ワセリンと何が違いますか?
どちらも皮膚を覆って守りますが、亜鉛華軟膏には浸出液を吸って乾かす働きが加わります。乾燥してカサカサの皮膚にはワセリン、じくじくした皮膚には亜鉛華軟膏、と考えると分かりやすいです。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-08)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-08)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

