「足の付け根を触ったら、コリコリしたしこりがある」「押すと少し痛い」「下着のゴムが当たる場所にできものができた」。足の付け根(鼠径部)は、皮膚・リンパ節・腸の通り道が重なっている場所で、しこりの正体もいくつかに分かれます。どこにあって、どう動き、どう変化するかで見分けます。
足の付け根にしこりができる仕組み
足の付け根のしこりは、できている「深さ」で大きく3つに分けられます。
- 皮膚のしこり: 粉瘤(皮膚の下にできる袋)、毛包炎・おでき(毛穴の炎症)など。下着のこすれや、毛の自己処理で起こりやすい場所です
- リンパ節: 足の付け根には、足や陰部から流れてくるリンパ液の「関所」であるリンパ節が集まっています。足の傷・水虫・虫刺され・陰部の炎症などがあると、細菌やウイルスと戦うために腫れます
- 皮膚より深いところ: 鼠径ヘルニア(腸などがおなかの壁のすき間から出てくる)、脂肪腫など
症状・見分け方
| 考えられるもの | 触った感じ・変化 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| 腫れたリンパ節(反応性) | 豆粒〜小指の先くらい。弾力があり、少し動く。押すと痛いことも | 足や陰部に傷・水虫・炎症がある。原因が治ると数週間で小さくなる |
| 粉瘤 | 皮膚とくっついて一緒に動く丸いしこり | 中央に黒い点(開口部)。くさい中身が出ることがある。赤く腫れると痛い |
| 毛包炎・おでき | 赤く腫れて痛い。膿をもつ | 毛穴に一致。毛の自己処理のあとに出やすい |
| 鼠径ヘルニア | やわらかいふくらみ | 立つ・おなかに力を入れると出て、横になると引っ込む |
| 脂肪腫 | やわらかく、ゆっくり大きくなる | 痛みはない。皮膚の下で動く |
| 注意が必要なリンパ節の腫れ | 硬い、動かない、いくつもくっつく | 原因がなく大きくなり続ける。発熱・寝汗・体重減少を伴う |
皮膚科では、しこりを触って皮膚とのくっつき方を確かめ、必要に応じて超音波(エコー)検査で中身や深さを見ます。エコーは痛みのない検査で、粉瘤・リンパ節・脂肪腫などの区別に役立ちます。
治療・対処
原因によって対処が変わります。
- 反応して腫れたリンパ節: リンパ節そのものではなく、原因の治療が中心です。足の傷の手当て、水虫の治療、陰部の炎症の治療などを行うと、多くは数週間で小さくなります
- 粉瘤: 袋ごと取り出す手術で治します。袋が残ると再発するため、中身だけを押し出しても治りません。赤く腫れて痛いときは、まず炎症を落ち着かせてから手術を考えます
- 毛包炎・おでき: 抗菌薬の塗り薬や飲み薬で治療します。膿が多くたまっている場合は、小さく切開して膿を出すことがあります
- 鼠径ヘルニア: 薬では治らず、外科(消化器外科など)での手術が基本です
- 注意が必要なリンパ節の腫れ: 血液検査や画像検査、場合によってはリンパ節の一部を取って調べる検査を行います。内科・血液内科などと連携して原因を調べます
どのしこりでも、自分で押しつぶしたり、針で刺したりしないでください。粉瘤やおできは、無理に押すと皮膚の中で袋が破れて炎症が広がり、かえって治りが遅くなります。
受診の目安
- しこりが2〜3週間たっても小さくならない、大きくなっている
- 赤く腫れて痛い、熱をもっている、膿が出る
- 立つと出てきて、横になると引っ込むふくらみがある
- 硬く動かない、いくつもくっついている
- 発熱・寝汗・原因のない体重減少がある
次の場合は急いで受診してください。
- ヘルニアのふくらみが硬くなって戻らない、強い痛み・吐き気がある(腸がはさまって戻らない状態の可能性があります)
- 足全体が赤く腫れて熱がある
夜間や休日で迷う場合は、救急安心センター(#7119)に相談してください。皮膚のしこり(粉瘤・おでき)は皮膚科、ヘルニアは外科が専門です。どこに行けばよいか迷う場合は、皮膚科でしこりの深さを確認し、必要に応じて適した診療科へ紹介します。
よくある質問
足の付け根のリンパ節は、ふだんから触れるものですか?
やせ型の方などでは、小さなリンパ節をふだんから触れることがあります。大きさが変わらず、痛みもなければ、心配のいらないことがほとんどです。大きくなってきた、硬くなってきた場合に確認しましょう。
下着のゴムが当たって痛いのですが、どうすればいいですか?
しこりに当たらない、締めつけのゆるい下着に替えると楽になります。こすれが続くと粉瘤が炎症を起こしやすくなるためです。
毛の自己処理でおできができやすいのはなぜですか?
カミソリや毛抜きで毛穴に小さな傷ができ、そこから細菌が入るためです。電気シェーバーを使う、処理のあとに保湿するなどで減らせます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 粉瘤(確認日: 2026-10-01)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 白癬(確認日: 2026-10-01)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

