「大人になってから、はしかにかかることがあるの?」——あります。子どものころの接種が1回だけだった世代や、接種歴が分からない世代では、免疫が十分でないことがあります。皮膚科には「発疹が出た」という主訴で来られるため、経過の聞き取りがそのまま診断の入口になります。
2つの病気の違い(経過で見分ける)
| 項目 | 麻疹(はしか) | 風疹(三日ばしか) |
|---|---|---|
| 発疹までの流れ | 高熱・咳・鼻水・目の充血が数日続く → いったん下がりかける → 再び高熱とともに発疹 | 発熱と同時、または軽い熱で発疹が出る |
| 熱 | 高い。発疹が出てからも続く | 軽いか、出ないこともある |
| 発疹の見た目 | 赤みが強く、くっついて融合していく。顔から体・手足へ | 細かい赤い点が散らばる。融合しにくい |
| 期間 | 1週間前後。色素沈着が残ることがある | 3日ほどで消え、跡を残しにくい |
| その他の特徴 | 口の中のほおの内側に白い小さな斑点/目やに・まぶしさ | 首の後ろ・耳の後ろのリンパ節の腫れ/関節の痛み(大人の女性に多い) |
| とくに注意 | 肺炎・脳炎などの合併症。大人は重くなりやすい | 妊婦への感染(おなかの赤ちゃんに影響が及ぶことがある) |
どちらも、発疹だけを見て確定することはできません。溶連菌、突発性発疹、りんご病、薬疹、伝染性単核球症など、似た発疹を出す病気がいくつもあるためです(関連記事: 溶連菌感染症の発疹、りんご病)。確定には血液検査やPCR検査を行い、法律上の届出が必要な感染症でもあるため、疑った時点で保健所と連携した対応がとられます。
なぜ「受診前の電話」がそこまで大事なのか
麻疹は、同じ空間にいるだけでうつる力(空気感染)を持つ、感染力の非常に強い感染症です。免疫のない人が接すると、高い確率で発症します。だから、受診の順番や入り口を分ける段取りが必要になります。
- 受診前に電話する — 「発疹が出ていて、はしかや風疹の可能性を心配している」と伝えてください。来院時間や入り口を案内されます
- マスクをして受診する — 飛沫を減らすためです
- 公共交通機関をできるだけ避ける — 不特定多数と長時間同じ空間になるためです
- 接触した人を思い出しておく — 妊娠中の方、乳児、免疫を抑える治療を受けている方との接触は、とくに重要な情報です
- 母子健康手帳を持参する — 予防接種の回数が診断と対応の判断材料になります
治療と、家での過ごし方
どちらもウイルスを直接やっつける薬はなく、治療は症状をやわらげる対症療法が中心です。水分をとり、熱と痛みには解熱鎮痛薬を使い、体力の消耗を防ぎます。麻疹は合併症の頻度が高いため、呼吸が苦しい、ぐったりする、水が飲めないといった変化があれば、経過中でもすぐ連絡してください。
予防については、ワクチンによって発症や重症化のリスクを下げることが期待されています。接種歴が1回だけの方、記録が不明な方は、かかりつけ医や自治体の窓口で相談できます。妊娠中は接種できないため、妊娠を考えている段階での確認が現実的です。また、妊婦さんの周囲の家族が免疫をつけておくことが、結果的にいちばん確実な守り方になります。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| いつまで人にうつる? | 発疹が出る前からうつります | 麻疹は発疹が出る数日前から、解熱後しばらくまで感染力があるためです。登園・登校の再開は医師の指示に従ってください |
| お風呂は入れる? | 熱が下がって元気なら可 | 高熱で体力が落ちているときは、体を拭く程度にとどめます |
| 発疹の跡は残る? | 麻疹は褐色の色素沈着がしばらく残ることがある | 徐々に薄くなります。こすらず、日焼けを避けると目立ちにくくなります |
| 一度かかれば二度とかからない? | 基本的には免疫が持続します | ただし診断が確定していない「はしかと言われた」記憶は当てになりません |
| 抗体検査はどこで? | 内科・産婦人科などで受けられます | 自治体が費用を助成している場合があります。お住まいの自治体にご確認ください |
受診の目安
- 電話をしてから当日受診 — 高熱と咳・鼻水・目の充血に続いて発疹が出た/海外渡航や流行地との接触のあとに発疹が出た/周囲に麻疹・風疹と診断された人がいる
- 早めに受診 — 発熱を伴う発疹が2日以上続く/首の後ろのリンパが腫れている/関節が痛む
- すぐに受診・救急を考える — 呼吸が苦しい、ぐったりして反応が鈍い、けいれん、水分がとれない、頭痛や嘔吐が強い
- 妊娠中の方で、発疹のある人と接触した・自分に発疹が出た場合は、産婦人科へ早めにご相談ください。夜間・休日で判断に迷うときは救急安心センター(#7119)が利用できます
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A(確認日: 2026-09-13)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-13)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

