「子どもの熱とのどの痛みのあと、体に赤いぽつぽつが出た」「舌がいちごみたいになっている」「熱が下がったころ、手の皮がむけてきた」——これらは溶連菌(ようれんきん)による感染症でよく見られる経過です。皮膚の症状が目立つため皮膚科に相談されることも多く、発疹の出方を知っておくと判断が早くなります。
どんな病気か
A群溶血性レンサ球菌という細菌がのどに感染して起こります。主にのどの炎症(咽頭炎・扁桃炎)を起こしますが、この菌が出す毒素に体が反応することで、全身に発疹が出ることがあります。発疹を伴うものを古くから猩紅熱(しょうこうねつ)と呼んできました。
学童期の子どもに多い病気ですが、大人がかかることもあります。家庭内でうつることも珍しくありません。
症状の順番と、発疹の特徴
- ① のどの痛みと発熱 — 急に始まります。頭痛、腹痛、吐き気を伴うこともあります
- ② のどが真っ赤になる — 扁桃に白い付着物が付くことがあります。咳や鼻水は目立たないのが、かぜとの違いとして知られています
- ③ 発疹 — 発熱から1〜2日ほどで、首・わきの下・体幹から始まり全身へ広がります
- ④ いちご舌 — 舌の表面がぶつぶつと赤く盛り上がります
- ⑤ 皮むけ(落屑) — 症状が治まった1〜2週間後ごろから、指先や手のひら、足の裏の皮がむけてきます
| 発疹の特徴 | 内容 |
|---|---|
| 手ざわり | さわるとざらざらする(紙やすりのよう)。これがもっとも分かりやすい特徴 |
| 色・大きさ | 細かい点状の赤み。びまん性に広がる |
| 出やすい場所 | 首、わきの下、そけい部、体幹。ひじやひざの内側で濃くなる |
| 顔 | 頬が赤くなる一方、口のまわりだけ白く残ることがある |
| かゆみ | あることもあるが、強くないことが多い |
| あとの経過 | 皮がむけて治る。跡は残らない |
似たものとの見分け
| 特徴 | 手がかり | |
|---|---|---|
| 溶連菌(猩紅熱) | のどの痛み+ざらざらした細かい赤み+いちご舌 | 咳・鼻水が乏しい |
| りんご病 | 両頬が真っ赤、腕や脚にレース状の斑 | 発熱は軽いことが多い(関連記事: りんご病の発疹) |
| 手足口病 | 手のひら・足の裏・口の中に水ぶくれ | 場所が限られる(関連記事: 手足口病の発疹) |
| とびひ | じくじくした水ぶくれ・かさぶたが広がる | かきこわした場所から広がる(関連記事: とびひとは) |
| 薬疹 | 薬を飲み始めてから全身に発疹 | 薬の開始時期との関係 |
| 川崎病 | 発熱が続く、目が赤い、唇が赤くひび割れる | 5日以上続く発熱は要注意。早急に受診を |
見た目だけで確定できるものではありません。のどを綿棒でこすって調べる検査(迅速抗原検査)で、その場で判定できます。疑わしいときは検査を受けるのが確実です。
治療: 抗菌薬を「飲みきる」ことに意味がある
溶連菌には抗菌薬がよく効きます。多くは服用を始めて1〜2日で熱が下がり、のどの痛みも和らぎます。問題はここからです。
症状が消えても、処方された日数を最後まで飲みきってください。理由があります。溶連菌の感染では、治ったあとしばらくしてから腎臓の炎症(急性糸球体腎炎)やリウマチ熱といった合併症が起こることが知られており、抗菌薬をきちんと飲みきることがその予防につながると考えられているためです。「よくなったからもういい」でやめてしまうと、この目的が果たせません。
- のどの痛みには、冷たいもの・のどごしのよいもの — 熱いもの、酸味・塩味の強いものはしみます
- 水分をこまめに — 痛みで飲まなくなると脱水になります
- 発疹には特別な治療は不要なことが多い — かゆければ保湿や冷却で対応します
- 皮むけは自然に治ります — 無理に剥かず、保湿を
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 登園・登校はいつから? | 抗菌薬を飲み始めて24時間経過し、全身状態がよければ可とされるのが一般的 | 薬を始めると人にうつす力が急速に下がるため。ただし施設の指示に従ってください |
| 家族にうつる? | うつります | のどからの飛沫でうつるため。家族に同じ症状が出たら受診を |
| 何度もかかるの? | くり返しかかります | 菌の型が複数あり、一度で終生免疫がつくものではないため |
| お風呂は? | 熱がなければ入ってよい | 清潔にするほうがよい。高熱のときは体力を消耗するので短く |
| 皮がむけてきた。まだ治っていない? | 治った後の経過です | 毒素の影響で表面の角質が入れ替わるため。うつる時期ではない |
| 熱が下がらない | 再受診を | 診断の見直しや、別の病気の評価が必要なため |
受診の目安
- のどの痛み+発熱+ざらざらした発疹 — 検査ができる医療機関を早めに受診してください
- 抗菌薬を始めても2日以上熱が下がらない
- 発熱が5日以上続く、目が赤い、唇が割れる、手足がむくむ — 別の病気の評価が必要です。早めに受診してください
- 治った数週間後に、尿が赤い・まぶたがむくむ・尿の量が減った — 腎臓の合併症を疑うサインです。すぐに受診してください
- 水分がとれない、ぐったりしている、息が苦しい、首が腫れて口が開けにくい — その日のうちに受診、または救急要請してください。夜間・休日で迷うときはこども医療でんわ相談(#8000)、大人は救急安心センター(#7119)が利用できます
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-12)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A とびひ(確認日: 2026-09-12)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

