粉瘤やほくろ、脂肪腫といった皮膚のできものは、多くが日帰りの局所麻酔手術で対応できます。とはいえ「手術」という言葉の重さから、前の晩に眠れなくなる方も少なくありません。何が起きるかを具体的に知っておくと、緊張のほとんどは減ります。ここでは、受付から帰宅までを時間の流れに沿って説明します。
前日までに確認しておくこと
- 飲んでいる薬 — いちばん重要な項目です。血液をさらさらにする薬(抗血小板薬・抗凝固薬)を飲んでいる方は必ず申告してください。やめるかどうかは、出血のしやすさと、やめることで起こりうる血栓の危険を天秤にかけて決めます。自己判断で中止しないでください(関連記事: 血液をさらさらにする薬と皮膚の手術)
- アレルギー — 麻酔薬、消毒薬、テープ、金属、ラテックス。過去に歯科の麻酔で気分が悪くなったことがあれば、それも伝えてください
- 持病 — 糖尿病、心臓の病気、ペースメーカー(電気メスを使うため)、妊娠の可能性
- 予定 — 抜糸までおよそ1〜2週間かかります。旅行・出張・試合・結婚式などの予定がある場合は、先に伝えて日程を調整するほうが確実です
- 入浴や運動の制限 — 部位によって変わるので、当日の生活に関わることは前もって聞いておくと安心です
当日の流れ
| 段階 | することと目安の時間 | 知っておくと楽なこと |
|---|---|---|
| 受付・問診 | 体調と薬の最終確認 | お薬手帳を持参すると早いです |
| マーキング・消毒 | 切る範囲を皮膚に描き、消毒する(5分程度) | 座った姿勢と寝た姿勢で見え方が変わるため、位置合わせをします |
| 局所麻酔 | ここがいちばん痛い工程(数十秒) | 細い針でゆっくり注入すると痛みが減ります。効くまで数分待ちます(関連記事: 局所麻酔) |
| 手術 | 15〜40分程度。大きさと部位による | 痛みは感じませんが、押される感覚・引っぱられる感覚は残ります。痛ければその場で追加できます |
| 縫合・ガーゼ | 縫って、保護のテープやガーゼを当てる | 当日は厚めに当てることが多く、服の下に響くことがあります |
| 説明・会計 | 薬の説明と、次回(翌日〜数日後)の予約 | 痛み止めは、麻酔が切れる前に飲み始めるほうが効きます |
術後の痛みは、麻酔が切れる1〜3時間後がピークで、その後は日ごとに軽くなります。「痛くなってから飲む」より「切れる前に飲む」ほうが、少ない薬で済みます。これが痛み止めを先に飲む理由です。
服装・持ち物・食事
- 服装 — 手術する場所を出しやすく、締めつけない服。背中や肩なら前開き、脚ならゆったりしたズボン。頭を通すときに傷を擦る形の服は避けてください
- 持ち物 — 保険証(またはマイナンバーカード)、お薬手帳、飲んでいる薬のリスト。顔の手術ならマスクと帽子、メイク落とし
- 食事 — 局所麻酔なので、普通に食べてきて構いません。むしろ空腹のまま受けると気分が悪くなることがあるので、軽く食べてきてください
- お化粧・整髪料 — 手術部位の周囲は落とします。顔の手術の日は、落としやすいメイクで
- アクセサリー — 電気メスを使うため、金属類は外します
帰宅後の過ごし方
運転については、局所麻酔の小さな手術であれば、基本的に運転して帰れます。ただし部位(手・足)、使った薬、体調によって判断が変わるため、心配な場合は前もって確認してください。緊張で気分が悪くなる方は、公共交通機関か送迎を選ぶほうが安全です。
入浴は、翌日からシャワーが可能なことが多いですが、指示は部位によって変わります。湯船に浸かるのは抜糸後まで待つのが一般的です。傷をふやかすと治りが遅れ、感染のもとになるためです。
運動・飲酒は数日控えてください。血流が増えると、出血や腫れ、痛みが強くなります。
ガーゼやテープは、指示があるまで自分で剥がさないでください。密閉性の高い絆創膏を自己判断で貼ると、かえって蒸れて治りが悪くなることがあります。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 仕事は休んだほうがいい? | デスクワークなら翌日から可能なことがほとんどです | 局所麻酔で全身への負担が小さいためです。ただし力仕事や水仕事は、部位により数日控えます |
| 付き添いは必要? | 多くの場合は不要です | 意識ははっきりしているためです。小さなお子さんや、緊張が強い方は同伴があると安心です |
| 1回で終わりますか? | 手術は1回ですが、通院はもう数回あります | 翌日の確認、抜糸、病理の結果説明があるためです |
| 取ったものは検査するの? | 多くの場合、顕微鏡での検査に出します | 見た目の診断が正しいかを確かめるためで、結果は1〜2週間後に説明されます(関連記事: 皮膚生検) |
| 傷あとは残りますか? | 残ります。ただし目立たなくする工夫はできます | 皮膚を切る以上、線は残るためです。半年ほどかけて赤みが引き、白い線になっていきます(関連記事: 傷あとをきれいに治す) |
| 抜糸は痛い? | ほとんど痛くありません | 糸を切って引き抜くだけで、数十秒で終わるためです(関連記事: 抜糸) |
受診の目安
- 術前に相談を — 血をさらさらにする薬を飲んでいる、糖尿病がある、妊娠の可能性がある
- 術前に相談を — ケロイド体質だと言われたことがある(傷あとの出方が変わります)
- 受診を — ガーゼに血がにじみ続け、押さえても止まらない
- 受診を — 傷の周囲が赤く腫れて熱を持ち、痛みが日ごとに強くなる(感染を疑います)
- 受診を — 発熱した、傷から膿が出てきた
- すぐに受診を — 麻酔のあとに全身のじんましん、息苦しさ、めまいが出た。夜間・休日で迷うときは救急相談の電話窓口(#7119)も利用できます
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「粉瘤」(確認日: 2026-09-20)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「ホクロ」(確認日: 2026-09-20)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

