皮膚の手術の麻酔が不安な方へ|局所麻酔の痛み・効き方と、当日までに伝えること

皮膚の手術の麻酔が不安な方へ|局所麻酔の痛み・効き方と、当日までに伝えること
DERMATOLOGY GUIDE | DERMATOLOGIC SURGERY
更新日: 2026年9月11日執筆: あび皮膚科クリニック編集部医師紹介

「手術と聞くと、痛みが心配で決められない」——粉瘤やできものの相談で、いちばんよく聞く不安です。何がどう痛くて、どこからは痛くないのかが分かると、判断しやすくなります。

目次

局所麻酔で何が起きているか

局所麻酔は、皮膚の中を通っている感覚の神経に、信号を伝えさせなくする薬を、その場所に注射する方法です。全身麻酔のように眠るわけではなく、意識も呼吸もそのままで、切る範囲の「痛み」だけが届かなくなります。

SKIN STRUCTURE — CROSS SECTION 表皮(バリアの層・約0.2mm) 真皮(弾力を支える層) 皮下組織(脂肪の層) 毛穴(毛包) 皮脂腺皮脂を分泌して肌を保護 汗腺汗をつくる 脂肪の層にできる、やわらかいしこり
局所麻酔は皮膚から皮下にかけて薬を行き渡らせ、その範囲の感覚を一時的に止める図: あび皮膚科メディア編集部作成(イメージ図であり、実際の構造を簡略化しています)

効くまでの時間は数分で、効いているかを確かめてから処置に入ります。持続は使う薬や量によりますが、おおむね1〜3時間程度で、処置が終わってしばらくしてから感覚が戻ってきます。

大事な点として、「痛み」は止まりますが「触られている感覚」「押される感じ」は残ります。ここを知らないと、押される感覚を痛みと勘違いして不安になります。途中で痛みを感じたら、そのまま我慢せず伝えてください。麻酔は追加できます。

痛みが出るのは、どこか

場面 痛みの程度 やわらげる工夫
麻酔の注射(針が入る瞬間) チクッとした痛み 細い針を使う。場所によっては先に貼る麻酔・冷却を使うことがある
薬が入っていくとき じんわりと張るような痛み。ここがいちばん強い ゆっくり注入する。薬を体温に近づける、薬液の性質を調整するなどの方法がある
切開・処置中 ほとんど感じない 効きを確認してから始める。足りなければ追加する
縫合 ほとんど感じない 同上
麻酔が切れてから 鈍い痛みが出ることがある 痛くなってからではなく、切れる前に痛み止めを飲むと楽に過ごせる
翌日以降 多くは軽くなっていく 痛みが強くなっていく場合は連絡を

炎症を起こして赤く腫れている状態では、麻酔が効きにくいことがあります。腫れた組織では薬が広がりにくいためです。炎症が強い粉瘤で「今日は切開して膿を出すだけにして、袋を取るのは落ち着いてから」と説明されるのには、こうした理由もあります。

当日までに必ず伝えること

  • 飲んでいる薬すべて — とくに血をサラサラにする薬。出血しやすくなるためですが、自己判断で中止しないでください。やめることのほうが危険な場合があります。中止するかは処方元と相談して決めます
  • アレルギー — 薬、消毒液、テープ、ラテックス(ゴム)など。過去に歯科の麻酔で異常があった経験も重要な情報です
  • 気分が悪くなった経験 — 採血や注射で血の気が引いたことがある方は、横になった姿勢で行うなど対応できます
  • 持病 — 高血圧、心臓の病気、糖尿病、けいれんの既往など。使う麻酔薬の種類の選択に関わります
  • 妊娠・授乳の可能性
  • ケロイドになりやすい体質か — 傷あとの管理の方針が変わります

診察でよく聞かれるのが「麻酔のアレルギーが心配」という点です。局所麻酔薬そのものに対する本当のアレルギーは多くありません。気分が悪くなった経験の多くは、緊張や痛みによる一時的な血圧の低下(迷走神経反射)だったというケースが多くあります。ただし判断は自己申告だけではできないので、「何をしたときに、どうなったか」を具体的に伝えてください。

当日と、そのあと

  • 食事 — 局所麻酔では通常制限されません。空腹のほうが気分が悪くなりやすいため、軽く食べてきてください
  • 服装 — 処置する場所を出しやすい服が便利です。締めつける服は術後に当たります
  • 帰り道 — 基本的には歩いて帰れます。運転の可否は部位・体調により判断が変わるため、事前に確認してください
  • 入浴 — 当日はシャワーのみなど、指示に従ってください。傷が濡れて温まると出血しやすくなるためです
  • 飲酒・激しい運動 — 血流が増えて出血や腫れの原因になるため、指示された期間は控えます
  • 痛み止め — 処方された場合は、麻酔が切れる前に飲むほうが楽です

連絡・受診の目安

  • 痛みが日ごとに強くなる
  • 赤みと腫れが広がる、熱をもつ、膿が出る
  • 38度以上の発熱
  • 止まらない出血(ガーゼの上から10分ほど押さえても止まらない)
  • 処置した場所のしびれが長く続く
  • テープや薬を使った範囲にかゆみと赤みが出た

処置後に息苦しさ、じんましんが全身に広がる、意識がもうろうとする症状があるときは、迷わず救急要請してください。夜間・休日で判断に迷うときは救急安心センター(#7119)が利用できます。

あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。

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参考情報

本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

アマデアル亜琵医師(日本専門医機構認定 皮膚科専門医)

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