VIOとは、Vライン(正面の陰部周囲)・Iライン(陰部の両側)・Oライン(肛門周囲)を指す呼び方です。近年は美容目的だけでなく、将来の介護に備えて先に処理しておく「介護脱毛」という目的で相談される方が、40代・50代を中心に増えています。どちらの目的でも、知っておくと後悔しにくい点を整理します。
なぜVIOは痛いのか、なぜ回数がかかるのか
医療脱毛のレーザーは、毛の中のメラニン(黒い色素)に反応して熱を出し、毛を作る組織にダメージを与えます。VIOの毛は体の中でも太く、色素が濃いため、そのぶん発生する熱が大きくなります。これが痛みの正体です。さらに、皮膚が薄くデリケートで神経が集まっている部位なので、感じ方も強くなります。
回数がかかる理由は毛周期です。レーザーが効くのは成長期の毛だけで、休んでいる毛には反応しません。全体の毛が順番に成長期に入るのを待ちながら照射するため、期間が必要になります。VIOは他の部位より毛が強い分、満足のいく状態まで回数が多くなる傾向があります(関連記事: 医療脱毛の基本)。
VIOの範囲と、形の選び方
| 範囲 | どこか | 選ぶときの注意 |
|---|---|---|
| Vライン | 正面の陰部周囲 | 形と量を選べます。下着や水着から出る部分だけを狭く、という設定も可能です |
| Iライン | 陰部の両側 | 痛みが最も強い部位のひとつ。蒸れやニオイの軽減を目的にする方が多い |
| Oライン | 肛門周囲 | 自分では見えず処理しにくい場所。介護脱毛では優先度が高い |
| ハイジニーナ | VIO全体を無毛に | 元に戻せません。温泉や銭湯、将来の考え方の変化まで含めて決めてください |
「全部なくすかどうか」は、途中で決めても遅くありません。最初の数回はVラインの形を残す設定にしておき、経過を見てから全照射に切り替える、という進め方ができます。逆に、なくしてから「やはり少し残したい」は叶いません。迷っているなら、残す側から始めるのが理にかなっています。
介護脱毛を考えている方へ
介護脱毛は、将来、自分や家族が排泄の介助を受けるようになったときに、陰部が清潔に保ちやすくなることを目的にした脱毛です。皮膚トラブルの予防という実用的な動機で選ばれます。
ここで判断を左右するのが白髪です。レーザーは黒い色素に反応する仕組みなので、白髪になった毛にはほとんど反応しません。ですから「いつか考えよう」と先送りするほど、対象にできる毛が減っていきます。介護脱毛を目的にするなら、白髪が増える前に始めるかどうかが実質的な分かれ目です。すでに白髪が混じっている場合は、どこまで対象にできるかを診察で確認してください。
リスクと、気をつけること
起こり得ることとして、照射後の赤み・ヒリつき・毛嚢炎(毛穴の炎症)・やけど・色素沈着があります。VIOは蒸れやすく下着がこすれる場所なので、照射後数日は締めつけの強い下着を避け、通気性のよいものにしてください。これは、こすれと蒸れが毛嚢炎の引き金になるためです(関連記事: 脱毛後の肌トラブル)。
また、日焼けした肌への照射は、やけどのリスクが上がるため避けます。生理中はIラインとOラインの照射を行わないのが一般的です。持病や内服薬、妊娠の可能性については、必ず事前に申告してください。光線過敏を起こす薬を飲んでいる場合など、照射を見合わせる判断になることがあります。
※医療脱毛は自由診療です。費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。照射後に赤み・ヒリつき・毛嚢炎・色素沈着などが生じることがあり、日焼け中の肌や一部の内服中は照射を行えないことがあります。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 痛みを減らす方法はありますか? | 麻酔クリームや冷却の併用、出力の調整で対応できます | 痛みを我慢して続けるより、調整したほうが最後まで通いきれるためです。遠慮せず伝えてください |
| 自己処理はどうすればいい? | 前日までに電気シェーバーで剃ってください。毛抜きとワックスは使わないでください | レーザーは毛根に残った毛に反応するため、抜いてしまうと効果が出ないためです |
| 生理中でも受けられますか? | IラインとOラインは行わないのが一般的です | 衛生面と、肌が敏感になっている時期であるためです。Vラインのみ可能とする場合もあります |
| 何回くらいで終わりますか? | 毛の量・太さ・目指す状態によって大きく変わります | 「薄くしたい」と「無毛にしたい」では必要な回数がまったく違うため、一律の回数では答えられません |
| ニオイや蒸れは改善しますか? | 清潔を保ちやすくなることは期待できますが、ワキガのような体質そのものが変わるわけではありません | ニオイの原因はアポクリン汗腺の働きであり、毛の有無とは別の問題だからです(関連記事: ワキガと多汗症の違い) |
受診・相談の目安
- 相談を — 介護脱毛を考えているが、白髪が混じり始めている
- 相談を — 痛みが不安で踏み切れない(麻酔や出力の調整について確認できます)
- 相談を — アトピー性皮膚炎や敏感肌があり、照射できるか知りたい
- 受診を — 照射後に赤みやヒリつきが数日たっても引かない
- 早めの受診を — 照射した部分に水ぶくれができた、強い痛みが続く
- 早めの受診を — 膿をもったブツブツが広がってきた(毛嚢炎の治療が必要なことがあります)
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「脱毛症」(確認日: 2026-09-22)
- 日本美容外科学会(JSAPS)(確認日: 2026-09-22)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

