「指のささくれが化膿したと思ったら、腕の内側に赤い筋が伸びてきた」「足の水虫をかいていたら、すねに赤い線が出て熱っぽい」。こうした赤い線は、皮膚から入った細菌がリンパ管に沿って広がっているサインです。早めに治療すれば多くは数日で落ち着きますが、放っておくと細菌が全身に広がることもあります。見た目の特徴と、急いで受診すべきサインを知っておきましょう。
リンパ管炎とは(仕組み)
皮膚の下には、体の余分な水分や老廃物を運ぶ「リンパ管」が網の目のように走り、わきの下や脚のつけ根のリンパ節へつながっています。小さな傷、ささくれ、虫刺されのかき壊し、水虫によるひび割れなどから細菌(主に溶連菌やブドウ球菌)が入ると、細菌がこのリンパ管に沿って体の中心へ向かって広がり、炎症を起こします。これがリンパ管炎です。
炎症を起こしたリンパ管が皮膚の上から透けて見えるため、傷のあたりから体の中心へ向かう赤い線として見えるのが特徴です。
症状・見分け方
- 傷のあたりから、手首→ひじ→わき、足首→ひざ→脚のつけ根の方向へ伸びる赤い線
- 赤い線の部分を押すと痛む、熱をもっている
- わきの下や脚のつけ根のリンパ節が腫れて痛む
- 発熱、寒気、だるさを伴うことがある
| 似ている状態 | 見分けのポイント |
|---|---|
| リンパ管炎 | 傷から体の中心へ伸びる細い赤い線。数時間〜1日で伸びることもある |
| 蜂窩織炎 | 線ではなく、広い範囲が赤く腫れて熱をもつ。すねに多い |
| 丹毒 | 境目のはっきりした赤く盛り上がった腫れ。顔や脚に多い |
| 表在性静脈炎 | 静脈に沿って硬い索状のしこりと赤み。点滴のあとなどに起こる |
| かぶれ・虫刺され | かゆみが中心で、線状に伸びていかない。熱はない |
すぐに受診が必要なサイン
次のどれかがある場合は、夜間や休日でも医療機関に相談してください。迷うときは救急安心センター(#7119)に電話で相談できます。
- 38℃以上の発熱、強い寒気やふるえがある
- 赤い線が数時間のうちにどんどん伸びている
- 腫れた部分が紫色〜黒っぽくなる、水ぶくれができる、触ると感覚がない
- 見た目に比べて痛みが異常に強い
- 糖尿病がある、免疫を抑える薬を使っている
見た目以上に強い痛みや皮膚の色の変化は、壊死性筋膜炎などの重い感染症のサインのことがあり、緊急の治療が必要です。
治療・セルフケア
リンパ管炎は細菌による感染症なので、抗菌薬(抗生物質)の飲み薬で治療するのが基本です。多くは数日のうちに赤い線が薄くなり、熱や痛みも落ち着いていきます。症状が強い場合や、飲み薬で良くならない場合は、点滴での治療や入院が必要になることもあります。
治療中は、次の点を心がけてください。
- 抗菌薬は処方された日数を飲み切る: 症状が良くなっても途中でやめると、細菌が残って再び悪化することがあるためです。
- 腕や脚を高くして休む: 心臓より高い位置に置くと、腫れや痛みが和らぎやすくなります。
- 入り口の傷を手当てする: 傷を流水で洗い、清潔に保ちます。膿がたまっている場合は、医療機関で出す処置をすることがあります。
- きっかけになった皮膚の病気も治す: 足の水虫やひび割れ、湿疹のかき壊しなど、細菌の入り口になる場所を治療しておくことが再発予防につながります。
受診の目安
赤い線が見えたら、発熱がなくてもその日のうちに皮膚科か内科を受診してください。リンパ管炎は、早く治療を始めるほど早く治りやすい病気です。受診時には「どこに傷があったか」「いつ赤い線に気づいたか」を伝えると、診断の助けになります。赤い線のふちをペンでなぞっておくと、広がっているかどうかが分かりやすくなります。
よくある質問
赤い線は自然に消えますか?
軽いものは自然に治まることもありますが、どこまで広がるかは予測できません。抗菌薬で早く治療する方が、重くなるのを防ぐうえで確実です。
冷やした方がいいですか?
熱をもって痛いときは、保冷剤をタオルで包んで当てると楽になります。ただし冷やしても細菌はいなくならないので、受診までの一時的な対処と考えてください。
人にうつりますか?
リンパ管炎そのものが人にうつることはほとんどありません。膿が出ている傷は、ほかの人が直接触れないように覆っておきましょう。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-28)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-28)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

