「シャンプーのとき、排水口にたまる髪が急に増えた」「枕やブラシについている毛が多くて不安」「毎年秋になると抜け毛が気になる」。秋口は、抜け毛の相談が増える時期です。実際に、髪の抜ける量には季節による差があることが知られています。
髪が抜ける仕組みと、秋に増える理由
髪の毛は、ずっと伸び続けているわけではなく、「伸びる時期(成長期)」→「伸びが止まる時期(退行期)」→「抜けるのを待つ時期(休止期)」というサイクル(毛周期)を、1本1本が繰り返しています。日本皮膚科学会のQ&Aによると、頭髪は約10万本あり、そのほとんど(約85〜90%)が成長期の「伸びる毛」です。成長期は2〜6年ほど続き、休止期は2〜3か月とされています。
同じQ&Aでは、1日に抜ける毛の量は、個人差・季節差・ヘアケアの仕方などにもよるが、おおよそ100本程度までといわれています。つまり、ある程度の抜け毛は、新しい髪に生え替わるための自然な現象です。
秋に抜け毛が増えやすい理由として、次のようなことが考えられています。
- 夏の影響が遅れて出る: 休止期の毛は2〜3か月かけて抜けていきます。夏の強い紫外線、汗や皮脂による頭皮の負担、暑さによる睡眠不足や食欲の低下などで休止期に入った毛が、秋になって抜けると考えられています
- 季節による毛周期の揺らぎ: 動物の毛の生え替わりほどはっきりしたものではありませんが、人の髪にも季節によって抜ける量が変わる傾向があります
症状・見分け方(季節の抜け毛と脱毛症)
季節の抜け毛は「全体から、少し多めに、一時的に」抜けるのが特徴です。次の表で、治療が必要な脱毛症との違いを確かめてください。
| 状態 | 抜け方 | 期間 | 対応 |
|---|---|---|---|
| 季節の抜け毛 | 全体から少し多めに抜ける。地肌は目立たない | 数週間〜2か月ほど | 生活とヘアケアを整えて様子をみる |
| 休止期脱毛 | 全体から明らかに多く抜ける。発熱・出産・急なダイエット・強いストレスなどの2〜3か月後 | 数か月 | 原因を確かめる。多くは回復する |
| 男性型脱毛症(AGA) | 生え際や頭頂部が少しずつ薄くなる。細く短い毛が増える | 年単位で進む | 治療で進行を抑える |
| 女性の薄毛 | 頭頂部の分け目が広がる。全体のボリュームが減る | 年単位で進む | 原因を確かめて治療 |
| 円形脱毛症 | 丸く境目のはっきりした脱毛斑が突然できる | さまざま | 早めに受診 |
抜けた毛をよく見るのも手がかりになります。根もとが白く丸くふくらんだ毛は、休止期を終えて自然に抜けた毛です。いっぽう、細く短い毛ばかりが抜ける場合は、髪が十分に育つ前に抜けている可能性があり、AGAなどを考えるきっかけになります。
セルフケア
季節の抜け毛は自然に落ち着くことが多いため、次の毛が健やかに育つ環境を整えることを意識してください。
- 頭皮をこすりすぎない: シャンプーは指の腹で地肌をやさしく洗い、爪を立てないようにします。強い摩擦は頭皮の炎症のもとになります
- しっかり乾かす: 濡れたまま寝ると、頭皮が蒸れて雑菌が増えやすくなります。ドライヤーは頭皮から少し離して使います
- 食事と睡眠を整える: 髪はたんぱく質からできています。夏バテで食事が偏っていた方は、肉・魚・卵・大豆製品などをしっかりとってください。極端なダイエットは休止期脱毛の原因になります
- 紫外線を避ける: 秋も日差しはあります。長時間の屋外では帽子や日傘を使います
- きつく結ぶ髪型を続けない: 同じ場所が引っ張られ続けると、生え際が薄くなることがあります
抜け毛が気になるからといって、シャンプーの回数を減らす必要はありません。洗髪で抜けるのは、もともと抜ける準備ができていた毛です。
受診の目安
- 抜け毛の多い状態が、3か月以上続いている
- 地肌が透けて見えるようになった、分け目が広がってきた
- 丸く毛が抜けた部分がある、眉毛やまつ毛も抜ける
- 頭皮にかゆみ・赤み・フケ・かさぶたがある
- だるさ、体重の変化、月経の乱れなど、髪以外の体調の変化もある(甲状腺の病気や貧血などが関係していることがあります)
よくある質問
1日に抜けた本数を数えたほうがいいですか?
正確に数える必要はありません。抜け毛の量は日によって変わり、シャンプーをした日は多く見えます。それよりも、「数か月単位で続いているか」「地肌の見え方が変わったか」に注目してください。同じ場所・同じ明るさで、分け目や頭頂部の写真を月に1回撮っておくと、変化を比べやすくなります。
育毛剤を使ったほうがいいですか?
季節の一時的な抜け毛であれば、特別な育毛剤を使わなくても自然に落ち着くことが多いです。薄毛が進んでいるように感じる場合は、原因によって効果のある治療が異なるため、自己判断で続ける前に一度相談してください。
秋の抜け毛は、来年もまた起こりますか?
毎年同じ時期に抜け毛が増えると感じる方もいます。夏の頭皮の負担や生活の乱れが関係していると考えられるため、夏の間の紫外線対策や頭皮を清潔に保つことが、秋の抜け毛を目立たなくすることにつながります。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 脱毛症(確認日: 2026-10-02)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-02)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

