「新しい靴を履きはじめてから足の甲がかゆい」「両足の同じ場所が赤くなっている」「水虫の薬を塗っているのに良くならない」。靴は1日の長い時間、汗で湿った状態で皮膚に触れ続けるため、素材に含まれる成分によるかぶれが起こりやすい場所です。
靴かぶれとは(仕組み)
靴かぶれは、靴の素材に含まれる成分が皮膚に触れて起こるアレルギー性のかぶれ(接触皮膚炎)です。足は汗をかきやすく、靴の中は蒸れて温かいため、素材の成分が汗に溶け出して皮膚に入り込みやすい環境になっています。
原因としてよく知られているのは次のような成分です。
- 革をなめす(加工する)ときに使われるクロム: 革靴・革のサンダル
- ゴムを作るときに使われる薬品(加硫促進剤): スニーカー・長靴・ゴム底・中敷き
- 接着剤: 靴底や甲の部分の貼り合わせ
- 染料: 色の濃い革や布、靴下
アレルギー性のかぶれは、最初に履いたときではなく、何度か触れているうちに体が覚え、ある時から反応するようになります。そのため「前から履いていた靴」が原因になることもあります。
症状・見分け方
靴かぶれは、靴の素材が強く当たる場所に出ます。足の甲、指の上側、かかとの後ろ、くるぶしのまわりなどで、左右の足に同じような形で出るのが手がかりです。赤み・小さなブツブツ・かゆみから始まり、ひどくなると水ぶくれやジクジクが出ます。
| 考えられる原因 | 出やすい場所 | 手がかり |
|---|---|---|
| 水虫(足白癬) | 指の間、足の裏、土踏まず | 皮がむける・白くふやける。片足から始まることが多い。顕微鏡の検査でカビ(白癬菌)が見つかる |
| 靴かぶれ | 足の甲、指の上側、かかとの後ろ | 靴が当たる形に一致し、左右対称。靴を替えると軽くなる |
| 汗疱(かんぽう) | 足の裏・側面、手のひら | 小さな水ぶくれが季節の変わり目に出る。手にも出ることがある |
| 靴下かぶれ | 靴下のゴムが当たる足首、足全体 | 新しい靴下・色の濃い靴下で悪化する |
注意したいのは、水虫だと思って市販薬を塗り続け、かえって悪化させてしまうケースです。水虫の薬にかぶれることもあります。逆に、湿疹だと思ってステロイドを塗った水虫は、カビが増えて広がることがあります。皮膚科では皮膚の一部をこすり取って顕微鏡で見る検査(数分で結果が分かります)でカビの有無を確かめます。検査の前に水虫の薬を塗っているとカビが見つかりにくくなるため、できれば塗らずに受診してください。
治療・セルフケア
- 炎症を抑える: ステロイドの塗り薬で赤みとかゆみを抑えます。ジクジクがひどい場合は、ガーゼで保護しながら塗ります
- 原因の靴を避ける: 疑わしい靴は治るまで履かないでください。履き続けると薬を塗っても繰り返します
- 綿の靴下で間を作る: 皮膚と靴が直接触れないようにし、汗で湿ったら替えます。白や淡い色の靴下が無難です
- 原因を調べる: どの成分が原因か分かると、次の靴選びで避けられます。パッチテスト(疑わしい物質を背中に貼って反応を見る検査)で調べます
原因の成分が分かったら、たとえばクロムなら「クロムを使わずになめした革」、ゴムなら「ゴムの薬品を使わない素材」を選ぶ、というように対策が具体的になります。
受診の目安
- 水虫の市販薬を2週間ほど使っても良くならない、かえって悪化した
- 水ぶくれ・ジクジクがある
- 足が赤く腫れて熱をもち、痛む(細菌の感染=蜂窩織炎の可能性があります)
- 靴を替えても同じ場所にかぶれを繰り返す
- 仕事で安全靴や長靴を履く必要があり、避けられない
糖尿病のある方は、足の小さな傷や湿疹から感染が広がりやすいため、早めの受診をおすすめします。
診察室でよく聞かれる質問
受診のとき、靴を持っていったほうがいいですか?
持参するか、写真を撮ってきてください。素材の表示(中敷きやタグ)があると、原因を絞り込みやすくなります。症状が出る前後で履いていた靴をすべて思い出しておくと役立ちます。
仕事用の安全靴でかぶれます。どうすればいいですか?
原因の成分が分かれば、その成分を含まない安全靴や中敷きを選べる場合があります。まずはパッチテストで原因を確かめ、職場に素材の変更を相談するときの根拠にしてください。
水虫とかぶれが一緒にあることはありますか?
あります。水虫の上に、塗った薬や靴によるかぶれが重なることは珍しくありません。この場合は、かぶれを先に落ち着かせてから水虫の治療をするなど、順番を考えて治療します。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A かぶれ(確認日: 2026-10-05)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 白癬(水虫・たむし)(確認日: 2026-10-05)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-05)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

